仲良くなると個人も可能
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「はい、烏賀陽さん。今日のお給料!!」
ニコニコと嬉しそうな保城から茶封筒を受け取るも「別に良いのに」と返す。「緑がどうしてもあげたいんだって」とキッチンカウンターで料理を作っている彼を見る。静かに近づきカウンターから「兄弟」と呼び掛けては「またね」と手を振る。
「今度、いつ来る?」
「フフッ気に入ってくれた。もしかして、惚れた? 保城に聞いてみ。分かったら連絡頂戴。いつでも待ってるから。なんなら次――服脱がせてあげようか?」
烏賀陽の言葉に赤面。それを見た烏賀陽は「冗談だよ」と笑うも本心は本気でヤりたくて仕方なかった。
しばらく緑とは会えず。
知らぬ間に年を越す。
だが、新年を迎えたころ連絡があった。
待ち遠しくて寝るも何度も起きやや寝不足の早朝5時。電車に乗り、駅前で待っていると緑の髪の毛が見え足を踏み出す。
改札を通った瞬間、ギュッと抱きしめ「待ってたよ」と手に指を絡める。
緑と同じ紙色に黒のYシャツにコート、ブーツ、灰色のマフラーとレザーグローブ。たまたまか服装が被っており満足げに笑う。
「良い子にしてた? 俺がいなくて寂しかったんじゃないの。顔、赤いよ」
口元を隠していたマフラーを少し下げ、人目を気にせず口付けすると緑の手が熱くなる。逃げようとする彼の手を引き、腰に手を回しては「ホント可愛いね、あまり俺を刺激すると食べちゃうよ」と脅し、何かを埋めるように舌を絡ませた。
手を繋ぎ、駅を出ると人の流れは目的地を示しており、あっという間に『鷽』で有名な神宮。入る前に会釈し、手を清め、チャリンとお金を投げ参拝。ご利益を得ようとふらつき、人が増えてきたところで外へ。
「お腹空かない? ちょうど出店もあるし一緒に食べようか」
このまま帰るのは勿体ないな、と緑の手を引く。軽く店を観ては緑がじっとチョコバナナを見ていたのを見逃さなかった烏賀陽は足を止め「一つちょうだい」と自ら金を出す。
「えっ……」
シッと指を立て「今日ぐらいは良いでしょ」と耳元で囁いては「はい、緑」とポテトチップスを嘴に見立てたチョコバナナを渡した。
バナナの甘味とチョコの甘味が口に広がる。
そ改札で交わしたキスの方がそれよりも甘い。
美味しそうに食べる緑をじっと見つめ、目が合う度にニコッと笑う。時々、口についたチョコを指で拭ってやっては恥ずかしそうに背ける彼が殺したいほど可愛らしい。
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