夜景はなぜきれい?

@gobanme

第1話 初恋の人との再会

20歳の頃の私とあなたは、春の光の中で、本当に煌めいているように恋をしていた。あの頃は、携帯もポケベルもなく、連絡手段は電話と手紙のみ。

遠距離恋愛は、結構、しんどかったね。

あなたは獣医学部の学生、4年生で残すところ後2年の学生生活。

私は、社会人1年生。

やっとお金も自由に使えて、会いたい時に会いに行ける環境もできると思っていた頃だったけど、

環境の変化に疲弊していたのもあり、側にいて欲しかった。

心に寄り添ってくれるだけでも良かった。

けど、それを感じとる力が私にはなかった。

いつも孤独の中で、私は、ほぼ病んでいた。

看護師という不規則な生活。電話するタイミングも難しい。

手紙は、なかなか返信がない。

そんな筆まめな男の人なんて、そうそういない。

同じ獣医学部の彼と、まめに手紙のやり取りをしている彼女と友達だったことも、自身を不安定にした。

どうしても比較してしまう。

彼女には、毎日来る手紙。私には、なかなか来ない手紙。

ポストを見るたびに落胆する。

「電話が来るかもしれない」と、出かけらない自分にも嫌気がさす。

現代では考えられないような環境だった。

そして、幸せと辛さを天秤にかけて、別れを選択した22歳。

あなたの悲しい顔が、今も脳裏に焼き付いている。

そして、季節が巡って、またあなたと再会することになった。

あなたは結婚して子どももいて、私も未婚ながら子どもがいて、シングルマザーでがんばっていた時期。

恋を再開するつもりなどもちろんなかった。

嫌いで別れたわけじゃない。

あの頃、恋焦がれて、切ないほどの思いに身を置いていた頃への懐かしさ。

結婚していたこと、心から「良かった」って思えた。

きっと私より、絶対に素敵な人だから。

あなたが結婚を決めた人だから。

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