第7話
「これで三十五個め」
黒炎によってどこまでも燃え上がる小さな小屋を横目に僕は小さな声で呟く。
三十五個。
それは大小問わず僕が潰した魔導の天廻のアジトの数だった。
「ここも外れ、かぁ……」
無事に三十五個めのアジトを潰し、得られるだけの情報を得た僕はこの場を後にするべく背を向ける───その瞬間だった。
「……ッ!?」
己が立っていた地面が崩壊し、僕は遥か地下へと落ちていく。
「……っと?」
どこまでも続く落とし穴の中を進む僕をお出迎えするかのように数多の魔法が牙を剥き、万は超えるであろう飛び道具の数々が
「あっつ」
僕が異能によって魔法が利かないことを知っているラミアの仕業か。
火炎放射器などの文明レベルが中世から近世くらいのこの世界とは思えない魔力に一切頼らない化学兵器までもが僕に牙を剥いている。
「びっくりしたぁ」
数多の魔法に万を超える飛び道具の数々に化学兵器。
それを受けてもなお、傷一つ負うことのなかった僕はそのまま地上から地下深く、およそ数百メートルの降下を物ともせずにそのまま降り立った僕は実に浅い感想を漏らす。
「というか、地下にあったのね。地下を完全に調査出来るシステム構築にはまだ一週間くらいかかる……こんな深くに本拠地があるなんて反則でしょ」
僕はぶさくさと文句を言いながら近づいてくる人影へと視線を送る。
「さて、熱烈な歓迎の割に人は少ないのかね?ラミアよ、一人か?」
どこまでも広い地下空間の中。
僕は自分の方へと近づいてくるラミアへと声をかける。
「貴方が相手だと下手な手合いは無駄でしょう?」
「それもそうであるがな……が、それも汝も同じたるぞ?」
僕は一息で黒炎を発動。
自分とラミアを囲むように黒炎を展開し、決して逃げられないようなフィールドを整える。
「次は逃さぬ」
「貴方を倒すのに強さなんて必要はないわ」
だが、それに対してラミアは一切動じることなく無表情のまま、落ち着いた雰囲気で言葉を続ける。
「ねぇ?異世界人、川上蓮夜くん?」
「……っ」
ラミアの口から出てきた前世の己の名前を前に僕は驚愕で言葉を詰まらせるのだった。
あとがき
前世の主人公の名前って出していたっけ?
あっ、それと星よろしゃす!次話で伏線回収するので乞うご期待?
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