めたカワばくふっ! ~齋藤瑞樹は支えたい~

井野 ウエ

【まえがき】前作「ぐうカワばくふっ! ~豊臣彩美のほんとのきもち~」のざっくりあらすじ

幼い頃に両親を火事で亡くし、孤児院で育った後、齋藤家に引き取られた齋藤瑞樹は、しゃかりきに勉学に勤しみ、老中に就任する。幕府への初出勤日には、側用人・平賀姫花や、町奉行・初鹿野まおと会う。その後、将軍・豊臣彩美に謁見し、彼女とは、昔よく遊んでいた、幼馴染だということが分かる。(一~四話)




初鹿野まおと共に、世紀の大窃盗犯・濱島鬼兵衛を追いかけるが、あと一歩のところでとり逃がす。その時、齋藤瑞樹が、初鹿野まおを命がけで守ったことにより、初鹿野まおの中で、ある気持ちが芽生える。(五~六話)




齋藤瑞樹の老中就任記念パーティが開かれる。そこで、勘定奉行・伊奈朱里や、寺社奉行・久世音羽と出会う。パーティの途中に、怨霊が襲ってきて、久世音羽が退治する。怨霊騒動が終わった後、豊臣彩美は、齋藤瑞樹のファッションセンスの無さを会話の中で感じ取り、一緒に服を買いに行く約束をする。(九~一二話)




大阪幕府に、大物ファッションデザイナー・三井高家が謁見に来る。その目的は、次回のファッションショーでランウェイを歩くモデルを、幕府幹部から選出したいというものであった。齋藤瑞樹は、ファッションモデルに、初鹿野まお、久世音羽、そして妹の齋藤まりなを起用し、ファッションショーを成功に導く。(一三~一五話)




幕府幹部を起用したファッションショーにより、三井高家ブランドが爆売れしていると知った初鹿野まおは、幕府の予算確保のため、幕府ブランドで服を売ることを提案する。しかし、発注会社の株式会社赤鬼に騙されて、多額の負債を負ってしまう。赤鬼からの脅迫にも似た取り立てに、命の危険を感じた初鹿野まおは、齋藤瑞樹に、護衛を頼む。護衛をしていると、株式会社赤鬼が、濱島盗賊団の傘下だということが判明する。以前の窃盗事件で、齋藤瑞樹と初鹿野まおに恨みを持つ濱島鬼兵衛は、初鹿野まおをさらうことに成功する。(一九~二二話)




初鹿野まお奪還のため、将軍・豊臣彩美に、部隊の派遣を要請するが、二人で出掛けていたことへの嫉妬から、豊臣彩美は、要請を断る。齋藤瑞樹自ら奪還部隊を編成することを決心し、久世音羽、ピスタ(伊奈朱里の愛猫)、平賀姫花と共に、濱島盗賊団の本拠地、通天閣へ向かう。通天閣では、死闘の結果、なんとか初鹿野まおを救うことに成功するが、齋藤瑞樹は危篤状態に陥り、三週間寝たきりになる。(二三~三二話)




齋藤瑞樹が危篤状態の間、異国襲来という幕府史上初の大事件が起こっていた。その事件に乗じて、幕府の中で、開国派と鎖国派と政治闘争が起こり、鎖国派の大老・豊臣陽菜が、開国派の将軍・豊臣彩美に勝利。大阪城を焼き討ちし、枚方に新たな幕府を立てていた。それを知った齋藤瑞樹は、大阪幕府を復活させるため、伊奈朱里と共に動き出した。(三三~三七話)




枚方幕府将軍・豊臣陽菜より、豊臣彩美が愛知藩へ幽閉されていることを聞かされた齋藤瑞樹は、伊奈朱里と共に、愛知藩へ向かった。そこで、放浪陰陽師の安愚楽道満に出会い、陰陽道により体が完治する。愛知藩主・長束育良の欲しがる桃鯱を手に入れた齋藤瑞樹一行は、豊臣彩美の解放と、桃鯱の交換交渉に臨み、見事成功する。久々の豊臣彩美との再会だが、彼女の口から語られたのは、側用人・平賀姫花の裏切りにより、現状が生まれているというものだった。(三八~四四話)




幽閉から解放された豊臣彩美、そして愛知藩従者の蜂須賀はづきが加わった一行は、大阪藩へ戻る。しかし、新大阪駅で待ち構えていた平賀姫花によって、齋藤瑞樹と豊臣彩美は、捕らえられてしまう。その後、樟葉監獄へ収容された二人は、脱獄の計画を立てる。それは、娘の病気を治すために、海外へ行きたい濱島鬼兵衛の考えと、開国派の考えをすり合わせ、濱島盗賊団を利用するというものだった。安愚楽道満の治療により、一時的に霊体化できるようになっていた齋藤瑞樹は、通天閣へ赴き、濱島盗賊団幹部に憑依をして、濱島盗賊団の樟葉監獄襲撃を取り付ける。脱獄に成功した齋藤瑞樹と豊臣彩美は、枚方幕府倒幕に向け、最終決戦に臨む。(四五~四九話)




大阪幕府復活のため、文治的解決を望む豊臣彩美は、幕府の最高幹部会議・評定所に、自身と齋藤瑞樹を加え、開国か鎖国かを、再協議することを、枚方幕府へ提案する。絶対的有利な条件を理解した枚方幕府側は、これを承諾。評定所が開催される。枚方幕府側の一部幹部による裏切りと、齋藤瑞樹の手回しにより、一時は開国派が有利の状況に運ぶことに成功するが、枚方幕府老中・大河内済の策略により、開国票を集めることが難しくなる。起死回生の一手として、大河内済の女性従者に対するハラスメント問題を、新聞社にリークした齋藤瑞樹は、評定所の中断。そして枚方幕府の権威失墜へ導くことに成功する。元々、自分は上に立つべき器ではないと、思い悩んでいた豊臣陽菜は、枚方幕府を閉幕し、豊臣彩美の下、再度大阪幕府を立てることに尽力すると、大衆の面前で宣言する。(五〇~五四話)




大河内済によって、ピスタを拉致され、そのことが要因で鎖国派に回っていた伊奈朱里は、自分がピスタのために大河内済の言う事を聞いていたにも関わらず、ピスタが川へ投げ捨てられたことを知り、精神的ショックを受ける。齋藤瑞樹の励ましで、決心のついた伊奈朱里は、幕府を辞め、ピスタを探す旅に出ることを決意する。新制大阪幕府の組織体系が着々と進んでいたある日、齋藤瑞樹は、自身の気持ちを確かめるため、豊臣彩美を、以前より約束していて、なかなか予定が合わなかった、ショッピングデートに誘う。(五五~五七話)




豊臣彩美とデートしていく中で、過去の記憶が蘇る齋藤瑞樹。自身が、豊臣彩美のことが好きだったことに気付く。その気持ちは今も変わらないと思った齋藤瑞樹は、天保山の大観覧車で、告白をしようとするが、なかなか言い出せない。極度の緊張持ちの豊臣彩美は、告白をされるかもしれないという極限の状態が、長時間続いたことにより、気絶をしてしまう。大阪城医務室で寝ている豊臣彩美に、齋藤瑞樹は、独り言のように告白した。(五八~五九話)

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