誤逮捕から始まった刑務所生活

第33話 蒼と紫音

「あーもう、むしゃくしゃする。なんで寄りにもよってまたあいつなんだよ」

「まぁ頑張れよ」

「は？何言ってるの？お前ら全員俺と道連れだが？」

「「「は？」」」

「俺そんなこと聞いてねーぞ？え、なに？それとも怖いの？」

「そーや。そーや。さすがに僕は戦闘に向いてへんし、やめてほしいんやけど.........」

「ん、蒼はまぁ向いてないし、可哀そうだからいーや」

「よっしゃ。やっぱ紫音やなおおいきに」

「え、蒼がダメだったら俺もいいよね？俺治癒だし、瑠樹と違って戦闘に向いていない」

「だめ。お前回復要員」

「え、嫌なんだけど？」

「えー？じゃあ交渉しようよ？」

「まぁ……………いいよ」

「んじゃ、俺にタイマンして勝ったらいーよ。俺今あいつに命令されて動けなかったせいで

　消化不良なんだよね」

「えー。瑠樹ー俺の代理イケる？」

「それぐらいお安い御用だな。いいぞ」

「お前俺代理許可してねーぞ？そいつなら何回やっても絶対死なないからと思ったんだよ」

「は？黙れ。お前人の事サンドバック扱いするなよな」

「まーまー待てや二人とも。そないに仲間同士で争うてもなんもええことあれへんよ？な？」

　蒼が止めに入ってくれた。だが、紫音は苛ついているのか止まらない。

「待ってくれ蒼...俺マジで今蘭にむかついた。お前他の人を盾にしやがって」

「えー俺お前にサンドバックにされかけたんだけど？」

「紫音......黙れって言うてんやろうが。それとも力ずくで黙らしたほうがええか？」

　場の空気が凍った。いつも温厚な蒼がそんなに荒い口調になったのを見たのは紫音以外初めてだったからだ。そして紫音が急にしゅんとなった。

「ご、ごめん蒼.........」

「ちゃうやろ。言葉もっと丁寧にせえ」

「ごめんなさい」

「ん、それでええで。次から気ぃつけろや？」

「うん.........」

「そこうんちゃうくてはいな？」

「はい」

「ん、ええこ」

　そう言って蒼が紫音を沈めた。その様子を俺と瑠樹は固まりながら見ていた。

「んじゃ次どないすんの？みんなで尾崎のとこ行く？」

「「「はい行きます」」」

「そんな丁寧な言葉使わんといてや。こっちがやりにくなるから（笑）」

「うん、わかった」

「紫音対応早いな......」

「まぁね。俺そういうの得意だからさ」

「はは、すっかり和解してるなぁ」

「うん！ありがとな蒼」

「そんぐらいお安い御用やで。そやさかい、人をサンドバックにするんはやめや？わかったか紫音？」

「あ、うん。ごめんその時俺頭に血が上ってて………」

「紫音と蒼ってセットのほうがいいんだな」

「だね。いろいろ楽だし」

「そうやってここに来る前もやってたんかな？」

「そうなんじゃないの？」

「やっぱそういうやつらってなんだかんだ仲良くていいなー俺もそういうペアが欲しい！」

　そう瑠樹が紫音と蒼を羨ましがっているときに俺はふとあることを思い出した。

「というかさ、さっき紫音を止めてたあの...看守あの能力と性格......」

「ん？どうした？」

「いや.........兄貴かなって...」

「は？お前兄弟いたの？」

「うん。姉貴と兄貴いた」

「で、さっきのあの命令して人の動き留めてきたやつがお前の兄貴化かも...と？」

「うんそうそう。だってあんな能力兄貴ぐらいしか見たことないもん。それに兄貴将来警官か

　看守になりたいって言ってたし」

「まじ？それ絶対確定演出じゃね？」

「だよね？やっぱり兄貴なんかな」

「ぜったいそうだろ」

そんな会話をしながらふと蒼と紫音のところを見るとすっかり仲直りしていることに俺と瑠樹は驚いた。