第26話 奇跡の再会

俺は蒼にまた新しく回復薬の人体実験を迫られていた。

前に失敗作を飲んだ痛い記憶があるので断ろうとしたら、紫音がいた。

そして蒼のほうを見ている。

「お前...結構前に毒盛ってきたやつ...」と蒼を見ながら言っている。

「あ、君は...なんか見たことある気ぃする」

「お前見たことある気がするじゃねーよ。人に毒盛りやがって、おかげ様で俺救急搬送されたんだからな?死にかけたんだからな?」

「そうやったんやな。大丈夫か?」

「お前...」

「えっと、君たちは知り合いなの?」と俺が戸惑いながら聞くと、二人そろってうんと言った。

ここに入る前に少し一緒に過ごしていた時期があったそうだ。

「んじゃ、奇跡の再会ということで俺はあっち行くね」

「待って」

「なんだよ」

「薬作ったから飲んでほしいねん。回復薬だしええやん?今度こそ成功した思うんや」

「お前まだ人に薬飲ませたりしてたのかよ...」

と紫音が呆れながら言う。

「薬学に後れを取りたないさかい」

「そうかよ。お前は後れを取っていないし何なら進んでると思うぞ」

「そらおおきに。ほな蘭の代わりにこれ飲んでや」

「いやだね」

「えーあ、ちょいどっか行こうとせんといてや蘭」

「そこの紫音に頼んでくれ」

「お前俺を身代わりにするな」

「前の関節外された恨み」

「なんや君まだそんなんやっとったのかいな」

「お前には関係ねーだろ」

「まぁ別に僕は紫音でもええで」

「俺は全くよくない」

「いやもしかしたら、君の宿敵?に効く薬ができるかもわかれへんから...お願いできるかいな?」

「マジかよ。それ先言えよ蒼。それならいくらでも協力してやるぜ?」

いきなり紫音が蒼に対して優しくなる。とんだ手のひら返しだな。

まぁ紫音の宿敵?は多分尾崎の事だろう。それに効く薬ができたらそりゃ喜ぶか。

そして蒼が自分の実験室に紫音を連れて行き、紫音にこれと言い差し出す。

なんとなく直感でわかるがこれは絶対にヤバい奴だと思う。

流石の紫音も息をのんでいる。そして意を決し飲んだ。

「なんだ、意外と甘い...」

紫音がバタっと倒れた。俺のほうに倒れてきたため俺が下敷きになった。

「痛い...重い紫音。...あれ紫音?蒼これ何の薬なの?」

「即効性の睡眠薬やで」

「なんてもの飲ませてるんだよ。こいつめっちゃ重いんだけど」

「ま、めっちゃ効いてるみたいやしええんちゃうん?」

「俺のこの状況を見てよく言えるな」

「まぁそれどけるんは手伝うたる」

「謎の上から目線...」

何とか蒼に手伝ってもらって紫音をどけた。

「これ何時間くらいなの?」

「うーん...3時間ぐらいや思うで」

「これが尾崎に効きそうって言ってたやつ?」

「うん、せや」

「そうなんだ。そういえば蒼と紫音ってどんな感じだったんんだ?」

「僕はいろんな薬作っとるやないか?そやさかいその材料を持ってきてもうたりしとった。他にもちょっかいかけてくる警察やら処理してもうてた」

「警察の処理...?」

「結構いろいろあるんやで」

「それで今まで警察の手を煩わせてたと」

「そうやな。せやけど、紫音が捕まってもうたから僕もいろいろ引っ越したりせなあかんくなってじゃまくさかったな」

「あれ?紫音が先に捕まったの?ここに来たのは蒼が先じゃない?」

「紫音の能力は表面上では持ってへんように見えるから、こっちに送られんと最初は一般の刑務所に入れられとったんやけど、あっちでは大暴れやったそうでこっちに送られてきたんやて。そのついでに紫音が能力持ちだってこと発覚したんやて」

「どんな能力なの?」

「相手の弱点がわかる能力やで。なんかその人の弱点に赤丸がついて見えるんやて」

「だからあいつ俺の急所的確に狙ってきたのか...」

確かにあいつは的確に俺の首を狙っていた。

「まぁあいつは根はええ奴やし、いろいろ一緒におると楽やねん。まぁ人見知りがあって、知れへん人には攻撃的やけどなぁ」

「そーなんだな」

意外と紫音と蒼はここに入ってくる前は仲が良かったことがわかった。

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