9月14日

 今日、9月14日は【食いしん坊の日】なんだそうです。


 なんでも、「く(9)い(1)し(4)んぼう」の語呂合わせから、この日を「食いしん坊の日」と制定したとのこと。


 食いしん坊。美食家の巨漢探偵ネロ・ウルフが思い浮かびますが、ここは食べ物が美味しそうに描かれる作品ならコレというものをチョイス。

 今日、ご紹介する作品はこちら。


 『花の下にて春死なむ』


 北森鴻の香菜里屋シリーズ第一短編集です。第五十二回日本推理作家協会賞受賞作。

 ビアバー香菜里のマスターが常連の持ち込む謎を解いていくのですが、登場する料理がまぁ美味しそう。


 せっかくですので『日本推理作家協会賞全集95 花の下にて春死なむ』(北森鴻著/双葉文庫)から、ちょっと引用してみましょう。


「今年最後の冬瓜を、挽肉と煮て葛でとろみをひいてみました。コンソメ味ですから、きっとビールに合いますよ」(P.17)     「花の下にて春死なむ」


 平皿と見えたのは、帆たての貝殻である。それも普通の大きさではない。プロレスラーの手のひらを、さらに拡大したといっても過言ではない大きさの帆たての貝殻である。その縁まで澄んだスープが満たされ、ところどころに白い身が透かし見える。そして細長い身が幾つか。スープに浮いた油膜から、バターの香りが強引なほどの勢いで鼻孔に攻め入ってくる。

(P.74)    「家族写真」

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