第13話 中層
俺は竜の巣の最下層でエンシェントドラゴンと話をしていた。
『それがお前の人生か』
「そうだよ、俺は落ちこぼれだったんだからしょうがないけどあいつらは違うしね」
『そうは思わんが、女神も粋なことをする』
「そう?僕は、じゃなくて俺はなんでもっと早く発現してくれなかったのか知りたいね」
『なぜじゃ?』
「僕にとっての天国だったから」
『天国?』
そう俺にとって王国の城の中は天国だったんだ。飢えることもなく剣の扱い方を教えてくれる。
「俺には結果的にノージョブが活かせているけど、死ぬ寸前だったんだよ。だから城の中で食べ物にありつけるだけで天国だった」
『それは天国じゃない』
「なぜ?」
『飼いならされる家畜と一緒だからじゃ。人は自分の足で立ってようやく人じゃ』
「家畜と一緒って。そうかもだけどさ」
『迷い子よ。しっかり自分を待て、そして帰る頃には自分と向き合える様にな』
「わかったよ!」
エンシェントドラゴンとの会話もそこそこにして外に出るとブラックドラゴンが牙を向く、避けて一閃。ドロップ品を拾いまた外を目指してドラゴンを倒して行く。
遠くに見えるのはレイナかな?近くにはヨシキもいるな。
「疲れてるみたいだから休憩にしないか?」
「お、おお!」
「する」
火を炊いてドラゴンの肉を焼くといい匂いで腹がなる。果実も取ってきたので水代わりに齧る。
「この果実甘いなぁ」
「あんまり取れないところにあるからいっぱいあるよ」
「最下層?」
「そうだよ」
「美味いなぁ」
ヨシキが肉を口に含んで言うと、
「美味しい」
と、同じ様にレイナも言う。
「うめぇ!もっと焼こう」
俺は腹一杯になるまで肉を食べると、少し横になる。
ヨシキとレイナも一緒に横になって空を見ている。
「チフユは最下層まで行ってるんだろ?」
「うん。もう最下層でもレベルの上がりが悪くなってきたね」
「そんなに」
「僕らはまだまだの様だな」
「負けない」
ふんすと鼻息荒くするレイナは可愛い。
空を見上げているヨシキはかっこいい。
二人はお似合いだな。
食休みも終わると二人は我先にと飛び出して行った!
俺は残ってるポイントで鍛冶屋を選択してポイントを使って鍛冶屋をマックスにする。
二人に贈るための剣を作るのだ。
あの剣はいい剣だけどもう刃がボロボロになって来ていて危ないからな。
レイナには蒼い刃の忍刀を2本。
ヨシキには紅い刃の剣を作った。
どちらもドラゴンの鱗などを使って作ったのでちょっとやそっとじゃ欠けたりしない。
二人が帰ってきた。
どうやら剣も寿命がきたみたいで二人とも折れた剣を持って買いに行かなきゃと笑っているが。
二人に渡したいものがあると昼間作ったものを渡すと出来の良さに感心していたが、自分のものだと知ると泣いて喜んでいた。
だって俺たちは仲間だろ?
「これでもっと強くなれる」
「負けない」
「あははは、これで武器も揃ったね!」
「「うん」」
次の日にはさっそく蒼い刃が煌めいてレッドドラゴンはすぐにドロップに変わる。
ヨシキもレッドドラゴンに向かっていた、紅い刃は一刀両断していた。
二人は戻ってきた。
「これすごい」
「凄いよこの剣!レッドドラゴンがあんなに簡単に斬れるなんて!」
「良かったじゃないか!まだ材料があるから今度は防具を作ってあげるね」
「やた!」
「かっこいいのにしてくれよ!」
「任せといてよ」
上層のモンスターはあらかた片付いたなぁ。
最近じゃレベル酔いもしなくなって来たみたいだし中層にいくべきか悩みどころだったが、あちらから言い出してきた。
「そろそろ俺たちも中層に行くべきだと思うんだが」
「レベル上がらない」
「そうか、そうだね、無理しないようにしてね!」
「「よし」」
二人ともガッツポーズだ。
ここら辺から中層だよ。
竜の巣は大きな穴が空いているみたいで下に行くほどドラゴンが強くなる。
いままでは一番上の方で戦っていたのでようやく下に降りて行ってる。
「ここは地龍が出てくるから」
「うおぉぉぉおぉぉぉ!」
地龍のグリーンドラゴンに体当たりされて叫ぶヨシキは驚きながらも体勢を整えて地龍と向き合う。
「ごめん!気付いてると思ってた」
「いや大丈夫だ!頑張るよ」
「私も行ってくる」
レイナも行って忍法で動けなくしている隙にヨシキが剣を振るっている。
「このぉ!」
「だめ!」
「ぐうぅ!」
「私が行く!」
今度は逆にヨシキが守ってレイナが攻撃して倒した。
「二人とも凄いね!」
「いや、気配さえ分かっていれば」
「あの鎧みたいな鱗の間、弱点」
「凄いねレイナ!すぐにわかるなんて」
「お、俺だって分かってたさ」
無理すんな、ヨシキ。
「んじゃこのあたりのドラゴンでレベル上げだね」
「「うん」」
地龍は土の中から出てくるからびっくりするんだよな。
もうちょっとわかりやすければいいのに。
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