いけいけ勇者様28

最上司叉

第1話

チビ勇者が毒に侵され薬に必要なドラゴンの鱗と聖女の涙(乙女の血)を取ってきてチビ勇者に薬を投与した次の日。



「うーん」


チビ勇者が見知らぬ天井を見上げ起きた。


「ここは何処だ?」


【コンコン】


「?」


「チビ勇者君入るわよ」


【ガチャ】


ドアが開いたら見知った顔がいた。


「!!」


「意識が戻ったのね!良かった!」


女は涙を零しながら喜んだ。


「そうだ!皆来て!チビ勇者君意識戻った」


ぞろぞろと皆チビ勇者の寝ている部屋にきた。


「ホントだ、意識戻ってる」


そう言うと魔法使いは何処かに出かけてしまった。


「…」


魔王の婚約者は無言で食事に戻る。


女も忙しそうに部屋を出ていった。


部屋に残ったのは俺と魔王だけだ。


俺は何故こんなことになったか聞いた。


「何があったんだ?」


「…分からない」


「分からない?」


「そうなんだ」


「…そうか」


俺と魔王は顔を見合わせた。


どうしたものか?そう考えているとドラゴンの女の声が突然聞こえた。


「妾には1つしか心当たりがないのだがのう」


「誰!!」


チビ勇者は驚いている。


「きたのか」


皆がどうしようか悩んでるとチビ勇者がふと口を開いた。


「…花だ」


「花?」


「ああそうだ!!思い出してきたあの花だ!!」


『?』


3人共不思議顔だ。


それをしりめにチビ勇者は続けた。


「森の中に黒い花が咲いていたんだ…僕はよく分からないけど嫌な予感がして…」


「あぁそれで?」


「花を葬ろうとした瞬間…」


『?』


「駄目だ…分からない…」


「そうか…」


「聞けるのはここまでじゃの、花の所へ行くしかあるまい」


「あぁそうだな」


「そこの子供、案内せい」


「チビ勇者頼めるか?」


「勿論任せて」


「魔王」


「うん」


そしてすぐに俺たち4人は黒い花が咲いているという森へ向かった。



「どこら辺だ?」


「もう少し…!!あった!!」


「どれ妾にも見せてみろ」


皆一斉に花を覗き込んだ。


「ほほう、これはこれは上手く化けたものよ」


「知ってるのか?」


「知ってるも何も…それ!!」


ドラゴンの女はいきなり躊躇うことも無く口から咆哮を吹いた。


すると黒い花は眩い光に包まれその姿を女に変えた。


「ちょっと!!誰よ!!私の眠りを邪魔するのは!」


「妾じゃ」


「ちょっと信じらんないんですけどー!!なんであんたがここにいる訳ー!!」


「なにお前の毒に侵されたと妾の鱗を取りに来たバカがいてな」


俺たちのことか?と内心思いながら会話を聞いている。


「ちょっとちょっと!!誰よそのバカは!!」


「こやつらじゃ」


「!!」


あっさり俺たちを売りやがった!


「なんですってー!!許さないんだから!!」


眩い光が突然俺たちの方目掛けて襲いかかってきた。


俺と魔王とチビ勇者は咄嗟に避けた瞬間魔王が反撃の呪文を唱える。


「ふん!!効かないわよ!!」


そう言いながら余裕の顔をしている花の女が突然真顔になった。


「え?」


花の女が慌てた様子で自分の左腕を見た。


ツーと血が流れ落ちてきていた。


【怒怒怒】


何やら花の女は激怒している。


「この私にキズをつけやがってー!!」


今度は凄まじい光が俺たちを襲ってきた。


俺はもうダメか?と思った瞬間パァンと襲ってきた光が弾かれ花の女に襲いかかった。


「きゃー!!」


【バタッ】


花の女は血を流しながら倒れた。


「なんですってー!!なんでこの私が負けるのよー!!」


「また妾の勝ちじゃな」


「あんた何もしてないでしょうが!!」


ドラゴンの女は花の女に突っ込まれている。


そんな2人をよそに俺は魔王に聞いた。


「最後の魔王か?」


「うん、防御呪文」


「助かった」


「うん」


「そこなにをコソコソ話とるんじゃ?」


「なんでもない」


「ところで花の女もう悪さするなよ」


「なんであんたにそんな事言われなきゃなんないのよー!!」


「懲りないやつじゃ」


「だな」


そして俺たちは帰路についた。


何故かドラゴンの女がついてきているが。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

いけいけ勇者様28 最上司叉 @moemee

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

同じコレクションの次の小説