黒い影
アーディ
第1話 夜の訪問者 1
これは私がかなり前に体験したお話です。その頃、私は事業を立ち上げようと思い今まで働いていた会社を退職し、昼間は事業の仕事をしていて別に収入を得るために、派遣社員として深夜に仕事をしていました。
昼間は事務仕事をして夜間は派遣社員として派遣先の仕事をしていました。派遣先はというと従業員10,000人位が働いている規模の会社だと覚えています。
派遣先の会社の場所は地方都市の郊外で4階建てのビルが畑の中にポツンとあるような場所で夜になると真っ暗な場所でした。
仕事はというと昼間に正社員さんが修理した基盤をパソコンを使って動作チェックするという仕事で修理上がりの基盤をセットしプログラムを動作させて正常に動作するかどうかチェックする仕事です。
一度動作チェックを行うと20分位は何もすることがなく、完了後のエラーが出ないか確認し、エラーが出た場合は画面をプリントアウトしてエラー項目を基盤に貼り付けNGへ、エラーが出なければ動作OKで完了箱に入れるという仕事です。
勤務時間は夜の20時から翌日の朝5時までで昼間の正社員の方は朝8時00分〜17時00分までが定時です。
また派遣社員はというと私が入った頃はすでに40歳代の男性の方と20歳代の男性の方が働いていました。そこに私が加わって3人で夜間の仕事をすることになりました。
仕事は一旦動作をスタートしてしまえば20分位は何もすることがないのでスタートした後は音楽を聞いたり本を読んだり自由でした。
一応食堂は建物内にありましたが、夜間の食堂はもちろんやってることはないのですが、食堂にホットスナックの24時間販売の自動販売機があり、カレーや牛丼、など10種類位の温かい物が食べられたので時々利用していました。
私たちが仕事をしていたのは4階建てのビルのうちの3階で1フロアで横30m奥行50mの広いフロアですが、私たちがいるフロアの1/3は明るいですが、残り2/3は消灯してあり真っ暗でした。
夜間は私たち以外に仕事している人はおらず4階建てのうち3階フロアで仕事している以外は全てのフロアは消灯しています。それ以外の人といえば警備員さんが私たちが仕事している間に3回位見回りに来るくらいでその他は人はいません。
わたしが入った頃は夏でしたのでまだ良かったですが、秋〜冬になるにつれて夜が更に早く暗くなり、建物は国道に面していましたが夜間だと交通量も多くなく建物内で物音とかはまずすることはありません。
音と言えばパソコンの操作音と完了し箱に入れるとまた新しくチェックする基板を取り出そうとぐらいの音しかしない静かな環境での仕事でした。
地方都市の郊外のところでしたので夜は真っ暗で私たちが作業してる以外のところは本当に真っ暗闇です。
私は20歳代前半位の方とは気が合いよく話をしていました。40歳代の男性(仮名:田畑さん)は仕事はゆっくりで怠けていた印象があり、20歳代の男性(通称:おっくん)は真面目に仕事をしていました。
私が働いて1ヶ月位になるあたりから20歳代男性(通称:おっくん)とは、ご飯休憩を一緒に取るようになりよく話をしました。そこである時20歳代男性(以下おっくん)が幽霊って信じますか?っていきなり聞いてきたのです。
またふざけているのかと思って笑いながら顔を見ると顔が真剣そのものでした。何かあったのと聞くと私が行く前は一人でここで仕事をしていて一人しかいないのに物音がすると言うんです。ちょっと笑ってしまいましたが、おっくんは笑っていませんでした。
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