とある彗星のとある発見

色葉みと

とある彗星のとある発見

 僕は彗星すいせい。真っ暗な世界を旅している。

 旅していると言っても、真っ暗な世界の気の向くまま、そこに僕の意思はない。


『……何だろう? あの燃えている星は?』


 いつの間にかその星は僕から見えるところにいた。

 僕はぼんやりとその星を見ていた。


『……え? ちょ、ちょっと、世界さん? その星に突っ込んだら僕、消えちゃうよ⁈』


 気づいたら、その星は目前に迫ってきていた。

 この軌道きどうだと、その星のど真ん中に突っ込んでしまう。

 消えることを覚悟したその時、突如僕は軌道を変え出した。


『あ、ありがとう。世界さん』


 その星の横を通り過ぎた。

 正直ほっとした。

 これでも僕は長く存在しているというのに、どうやら消えるのが怖いようだ。

 しばらく真っ暗な世界を進んでいると、今度は、あおくて時々みどりやしろが見える星に近づいてきた。

 その星は見たことのないようなものだった。

 光に照らされる部分から逃げるように、金色の光が移動する。

 見ることができたのはほんの少しの時間だったけど、僕の気分は高揚していた。

 長い時間存在しているけど、新しい発見はいつでもある。


『世界さん、この世界宇宙にはいろいろな星があるね』


 今日も僕は旅をする。真っ暗な世界の気の向くまま。

 無限に広がるこの宇宙を。

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とある彗星のとある発見 色葉みと @mitohano

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