第2話

ああ、駄目だった。

もう光汰は助けられない。

医者からそう告げられた時、どうしようもない悲しみが押し寄せた。

提案された。

せめて安心して逝かせてあげましょうと。

そうよね。最後の手術にしましょう。

あの子には安心して逝ってほしいわ。


「聞いて。もうすぐ手術があるの。それでこーくんは治るわ。これが最後の手術よ。」

そう言った後、泣いてしまった。

あの子を騙して殺してしまうのか。

でもあの子は生きていても治らない。

ただ苦しみ続けるだけ。

「あなたが薬を入れてあげてください」

麻酔を打たれ眠る君。

この手であなたが死ぬ。

これが最後の手術。

最期の時。

「生まれてきてくれてありがとう。いつまでも愛しているわ。」

弱まっていく電子音とともに、私は崩れ落ちた。

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さいごのしゅじゅつ 和谷(kztn) @kazu_hono

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