勇者の愛したお姉さんは魔王軍四天王。
シノヤ
第1話突然の別れ
私はスプーン、亡くなった両親が食べ物に困らないようにこの名前をつけてくれました。
この世界には魔物や魔王がいて、人間と戦争をしていますが、辺境のスプマンテ村は平和でした。
「スプーン姉さん…俺と結婚してください!」
幼馴染みのディーノからプロポーズされました、彼が十五歳、私が二十歳、弟の様に思っていた彼をいつしか私も愛していました。
「…はい」
私は頬を赤く染め頷きます。
平民、それにディーノの両親も二年前に流行り病でなくなっていたので、私は式を挙げるつもりはありませんでしたが。
「きちんと結婚式をあげて、姉…いや、スプーンと結婚したい、金はなんとかするから待って欲しい」
それからディーノは働きました、彼は幼い頃から優れた身体能力を持ち、手入れこそ良くしていますが、安物の剣で多くの魔物を狩りました。
討伐報奨金や毛皮などの収入で資金は貯まりました、そんな矢先に神官が訪ねてきたのです。
「ディーノ様ですね?私の名はモニカ・グローブ」
白を基調とした神官服を纏った名乗った、金髪の美しい女性だ、両手には白い手袋をしてる。
「そうですけど?グローブさんはどうしてここに?」
「女神イシュタル様の神託によりお迎えに参りました、勇者ディーノ様、私とともに魔王討伐してほしいのです。」
「そんな、俺婚約者が居るんです!!女神様の頼みでも無理です、何かの間違いじゃあ?」
ディーノは動揺する、愛するスプーンを残して魔王討伐など行けるわけがない。
「偉大なるイシュタル様は間違いません、むしろ貴方に婚約者がいることが間違いなのです」
「何を言ってる!帰ってくれ!!」
婚約者を否定され、ディーノはモニカを追い出そうとするが、モニカは右の手袋を外し、かざしたモニカの手は美しかった、人のものとはおもえないほどに……そして掌から光が溢れ出す。
「こんな夜に話ってなに?」
スプーンはディーノのに連れられ、村外れの崖までやってきたのだ。
「すまない…結婚を待って欲しい…」
「えっ どうして!?」
「女神イシュタルに勇者に選ばれて…魔王討伐にいかなくては行けないんだ…」
ディーノは悲痛な面持ちでつげる。
「そんなのだめ! 勇者何か! 女神の生贄のようなもの、ディーノが勇者になったら私は貴方を…」
殺さなくてはならない、彼女の心にあり得ない選択肢が浮かぶ、顔からは血の気が引き、体は震えている。
「ディーノの様…あとの説得は私がやりますので先にお戻りください」
二人の間にモニカが割って入る。
「モニカさん…乱暴な事はしないでくださいね…」
ディーノは二人を置いて去って行く。
モニカはスプーンの腕を掴む。
「離して!」
「……」
モニカは無言でスプーンの腹に拳を放った、女の細腕と思えない衝撃が遅い、その場に倒れ込む。
「がっ、はぁ…」
「殺すつもりで殴ったのですが…」
モニカは顔に笑みを浮かべながら言う。
こいつ何を言って、苦痛に耐えながらスプーンは睨みつけた。
「貴方は魔物に殺された事にしますね、安心してください、ディーノ様を貴方の代わり慰め…貴方の代わりに抱いてさしあげますから…」
モニカは片手でスプーンの首を掴むと、まるでゴミをゴミ箱に投げ入れる様に崖に投げ捨てた。
次回泡沫の夢
当初の予定より、モニカさんがゲスになってしまった。
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