第八夜 いけない言葉遊び

日川「陽翔はると、何してるんだ?」


中西「ん?…あ、今な、ちょっと危ない言葉を調べてるんだよ」


日川「危ない言葉…ってなんだ?」


中西「検索してはいけない言葉、ってやつさ。…どうだ?気になるか?」


日川「なんだそれ?…でも、気になるな」


中西「ようし…なら一緒に見ていこうか」


日川「それはいいけどさ…そもそも、その…検索してはいけない言葉、って何なんだ?」


中西「文字通りだ。そのワードをネットで検索すると、ショッキングな検索結果が出てくる…ってシロモノだよ。

ホラーとかグロとかびっくりとか、あとたまにネタもあるらしいぜ」


日川「なるほど。気になるな…よし!俺達で検索してみようぜ!」


中西「そうこなくっちゃあな。

じゃ、まずはこれだ。『あたしはもうお嫁にいけません』」


日川「…うっわ!こっわ!」


中西「このワードを検索すると、異様に首が長い女の絵が出てくるんだよ」


日川「いや、これ普通に怖くね…?

ひょっとして、精神的に病んでる奴が描いたとか、そういう系の絵か?」


中西「近いな。この絵は、ある男にストーカーされてて、精神的に相当なダメージを受けてた女性が描いたものなのさ」


日川「へえ…にしても怖いな。やっぱり、ストーカーなんてするもんじゃないな」


中西「だな。じゃ次行くぜ、次はこれだ!『わたくしの日記』」


日川「ワードだけだと、誰かの日記なりブログなりが出てきそうなタイトルだな」


中西「その通りだ。これを検索すると、とあるブログがヒットする。

けどな、その中身は…」


日川「うわっ、なんだこれ!グロっ!」


中西「見ての通り、火傷をして手の皮が真っ赤になった写真が貼ってあるんだわ。

しかも謎にテンションが高くて、文の最後によく星が書かれてたりする」


日川「なんで、火傷の写真撮ってブログに載せようと思ったんだ…」


中西「さあな。てことで次だ。

次はこちら、『アハハアハハ ウルサイ』」


日川「今度は何系のワードだ?」


中西「グロだな。ちょっとキツいから気をつけて」


日川「どれどれ…うわ、結構血出てるな…」


中西「これを検索すると、かなり古い日記が出てくる。

で、そこにはリスカの写真が貼られている。

結構血出てるから閲覧注意」


日川「てかこれ、写真もだけど文章もなかなかキツいな…メンヘラかよ」


中西「確かにな。ちなみにこのサイト、元はネットアイドルのサイトだったらしいぞ。あと、ちょっと先に行くともっとグロい写真が出てくるぜ?」


日川「…え、遠慮しとくよ。な、次いこうぜ?」


中西「わかったよ。次はこれだな。『臼井儀人 遺書』」


日川「遺書?自殺系か?」


中西「違うぜ。こいつは、そんなのよりずっと怖い代物だ。検索するぞ…」




その夜


中西「いやー、検禁ワード巡りって最高だな」

カチャカチャ


中西「…わっ!?急にレッドスクリーンになった!?

なんだ…?」


中西「あれ…?まさか、ウイルスに感染したか!?

…あっ、今日見た深層Webのサイトで感染したんだな。

ウイルスが何をしてたのか、調べないと。

…あれ、俺の現在地情報が…?」


ガチャ


中西「!誰だ!?」


「この男がパソコンの持ち主か」


「子供だったとは驚きだな。まあいい、稼がせてもらおう」


中西「な、何者だお前らは!?」


「ダークウェブのサイトで稼いでる組織…って言えばわかるか?」


中西「え…ま、まさか、拷問サイトとかそういう系の!?」


「ご名答だ」


「さあ、行くぞ。喜べ、次の動画の主役はお前で決定だ」


中西「え!?ちょ、やめ」









数年後 どこか


男子高生「なあ、『泣いた少年』っていう検索してはいけない言葉知ってるか?」


女子高生「えー?知らない。何それ?」


男子高生「これを検索するとな…ダークウェブで見つかったらしい動画がでてくるんだ」


女子高生「どんな動画なの?」


男子高生「高校生くらいのアジア系の少年が、変な仮面をかぶった男達に拷問される、っていう動画なんだよ…」










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