16話
それから俺は先ず両親にこのことを報告するために故郷に帰って来ていた。
小さいころからハンターに憧れをもっていた俺が諦めきれず両親の反対を押し切って
荷物持ちになって以来全く連絡も取っていなかった。
「今実家はどうなっているんだろうな」
家の近くに到着すると目の前に身に覚えのある家が見えてきた。
昔と変わらないごく一般的な戸建てが見える。
災害の後から建て直して数年住んだ家がある。
近づいていくたびにいろんな記憶が蘇る。
家のすぐ横に来た時あるものが目に入った。
それは俺の名前が刻まれた墓だった。
「え????」
俺は現実を受け入れられずに呆然と立っていた。
「お兄ちゃん・・・・??」
聞覚えのある声が背後から聞こえた。
買い物袋を手から提げている女の子
彼女の顔には身に覚えがあった。
まだ小さいころよく俺になついて離れなかった妹の姿と重なった。
「大きくなったな」
ミコは買い物袋を落としてこちらに走り寄ってくる。
感動の再開と思い俺は手を広げて待った。
「この馬鹿兄貴がーーーーーーーーーー!!!!!」
ミコの勢いに任せた渾身の蹴りが男の急所にクリティカルヒットした。
「!!!!!!!!!!!!!!???????????」
俺は叫び声も上げることが出来ずに意識を失った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
目が覚めると見慣れた天井が見えていた。
「起きたか??」
「父さん?」
「ああ」
「お帰りミツルギ」
「母さんもいるのか」
俺は起き上がり二人の顔をみた。
記憶の二人とは違って少し老けてしまっていたが、俺の大切な両親の姿がそこにあった。
「ただいま」
二人は涙を浮かべながら俺に抱きついてきた。
しばらくたって落ち着いた両親に墓の話を聞いてみたところ、一緒にゲートに入ったという二人のハンターがやってきて俺が死んだということを伝えに来たとのことだった。
二人は私たちの責任ですと謝ってお詫びにいろいろと用意していたが、取り乱した母が何もかも受け取らず追い払ったそうだ。
「そんなことがあったのか・・・」
恐らくだがリュウジといた2人のパーティーメンバーだろう。
リュウジはそんなことするはずがないからな・・・
「どうして生きているの??」
「あの二人は絶対に死んだといっていたのに」
「俺のスキルが死に際に発動したんだ」
「使えないって言われていたスキルが??」
「そう!それでハンターにもなれたよ」
俺は両親にハンターライセンスを見せた。
これで少しは二人にも恩返しができると思う。
「それは嬉しいことだけど・・・」
「危険じゃないのか??」
2人は不安そうな顔をしていた。
それは当然だろう。
なんせ死んだと思っていた息子が生きていて今度はハンターになろうなんて言っているのだから。
「大丈夫!もう心配をかけるようなことはしないよ」
安心させてやりたいが、今俺に言えるのはこれだけだ。
ハンターとして実力をつけて安心させるしかない。
「そういえばミコは??」
「あれから部屋にこもってるわ」
俺はミコのいる部屋の前に向かった。
「ミコ心配かけたな」
「うっさい馬鹿兄貴
勝手に出て行って死んだなんて知らせが来てみんな心配したんだよ」
「ごめんな」
「帰ってきたと思ったらまたハンターになって出ていくなんて」
「聞いてたのか・・・」
「ハンターなんて諦めてここでお父さんの仕事手伝えばいいじゃん」
「そうだな・・・・そうすれば安全だろうな。
だけど、それは嫌なんだ」
「なんでよ!!」
「俺は災害が起こった日みんなを守るために戦った人たちを見たんだ。
俺はそんな人たちの姿を見て憧れちゃったんだ。
何度も諦めようとしたけど、諦められなかった」
「お兄ちゃんじゃ無理だよ!!弱いもん・・・・」
「やっとみんなを守れるような力を手に入れたんだ」
「そんなの嘘!!」
「今は信じろなんて言わない。
だけど、見守っててほしい」
「このわからずや!!!!!」
ミコの部屋の扉が思いっきり開いた。
目を赤くはらしながら出てきた。
「私決めた後3年・・・・そしたらハンターアカデミーに行ける・・・
お兄ちゃんは、わからずやだから私がハンターになって守るしかない!!!!」
「え???」
「お母さん!!!私もハンターになる!!」
「なんですってーーーー!!!???」
「母さん!!!??」
下では気を失う母、慌てる父の声が聞こえた。
カオスな状態になってしまった。
その後はみんなでご飯を食べてつかの間の休日を満喫した。
翌日俺は都市に戻ることにした。
「もう少しゆっくりしていけばいいのに??」
「これからやることはいっぱいあるからさ」
「そう・・・」
母が少し残念そうにしていた。
「気をつけてな」
「ああ!!母さんとミコのこと頼んだ」
「当然だ」
「お兄ちゃん私が行くまでは無茶なことしないでね!!」
「わかったよ」
「それじゃ行ってきます!!」
「「「いってらっしゃい!!」」」
俺は都市に繋がる列車に乗り都市へと戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます