ソウルイーターは魂の救済に追われています!!!

ササクレ

1話 ソウルイーター

20××年世界はマルチバースの研究が進み様々な次元をゲートで繋がれるようになった。

それにより大陸間での戦争は減少し、異世界の勢力との争いが生じた。

友好的な種族もいれば、敵対的な種族もいる。

対話が不可能なものは力で持って証明しなければいけなかった。

あらゆる戦力を導入し抵抗したが、私達人類の叡智は殆ど役に立つことはなかった。

そんな時人間がもつ本当の力〜スキル〜を持つもの達が現れた。

それにより人類はなんとかゲートのボーダーラインを守ることができ、平和が訪れた。

しかし、ゲートは残ったままの為いつまた攻め込んでくるかわからない状況であった。

この状況を打開するために人々はスキルの覚醒を急いだ。

それによりスキルは戦闘系のみだけじゃなく生産系スキル、サポート系スキルなど多種多様なスキルが生まれた。

あとはそのスキルを参考に適材適所に派遣され各々がスキルを使用して人類を発展させた。


そんな中俺は当時6歳で覚醒の儀式へと参加して

スキルを手に入れた。


俺のスキルの名は「ソウルイーター」

能力不明の全く使えないFランクスキルと言われていた。


世界の激変から10年・・・

ゲートから来る友好的な種族達との関係を構築して世界は大きな発展をした。

この世界になかったオーラや魔法なんかも素質さえあれば使える世の中になった。


まるでファンタジーゲームの世界になったのだ。


そんな世界で俺はゲートの攻略や都市の守備をするハンター・・・の荷物待ちをしている。

能力主義の世界だから使えないスキルを持つ俺にはこのくらいの仕事しか残っていなかった。

それにハンターになるって夢をどうしても諦めきれなかった。


「おい!荷物持ち早く歩け‼︎」


「はい!!!!」


荷物持ちの主な仕事はゲート内でハンターが討伐したモンスターの戦利品の回収だ。

これがかなりの重労働だ。


モンスターの素材はハンターにとって収入源であるから出来る限り無駄なく回収したいと言う。

だから、一度のゲート攻略で何十キロと素材を背負わされる。


「スキルさえ良ければ俺だって今頃アカデミーに通えてたのにな・・・」


俺はハンターに追いつくために走った。


「あんな若いのに可哀想ね」


「雑魚のことなんか気にすんな」


「おい、そんな言い方良くないぞ」


ハンター達の会話が聞こえてくる。

そうだ同情なんてされたくない。

俺は怒りに任せてモンスターの素材をバックに詰め込み重量のあるバックを持ち上げた。


「行けます‼︎」


どんどんゲートの中を進んでいく。

すると急にハンターたちが少し先で立ち止まった。


「リュウジここから先は未開の地よ

何が出てくるかわからないわよ」


「ビビってんのか?」


「別にビビってないけど・・・」


「油断はよくない、ここで一度引き返そう」


未開の地か

ゲートの中は地球と同じようの場所に繋がっているものとダンジョンのような限られた空間に繋がっているものがある。


ゲートは攻略が難しく何度も挑戦して調査しながら少しずつ攻略していく。


「何言ってんだ!ここまだ来たら俺らで少し調査をして報告すれば報酬が貰えるんだぞ」


「そうだけど、、、」


「わかった!少しだけだぞ調査をして戻ろう」


3人は歩みを進めた。

まぁ、荷物持ちの俺には何も選択肢はないわけないからな・・・黙ってついていくしかない。

俺も無言で後に続いた。


「特に変わったモンスターはいないな」


「ええ、そうね」


「警戒しろよ」


3人は警戒しながら進んでいく。

俺も周りを警戒しながら進んでいると何か影のようなものが目の隅で動いたような気がした。


「今あそこで何か、、、、」


「はぁ?荷物持ちが何言ってんだ」


「私の感知には反応はないけど」


「どこだ?」


3人の中でタンカーであろう男が俺が指差した場所を睨んだ瞬間


「スパッッ・・・」


と言う一瞬の音と同時にタンカーの男の太い腕が斬り落とされた。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁあ」


「なんだ今の!?」


「いやぁぁぁぁぁぁぁあ」


「クッソ・・・腕が」


3人は咄嗟に戦闘態勢に入る。


「全く目で追えなかった」


「逃げなきゃ!!!」


「あんなのがいる中で逃げれるわけねーだろ!!」


そういうと男は俺のことを見て不敵な笑みを浮かべた。


「俺が合図したら一斉に出口にダッシュしろ」


「アースクラッシュ!!!!」


広範囲の地面が割れ爆発する。


「今だ!!!」


俺たちは一斉に走り出した。

しかし、俺の後ろから来たリュウジという男は俺のバックを掴み斬りつけ素材が溢れてきたところをやつがいるであろう場所に俺共々投げつけた。


奴は宙を舞う俺に向かって


「役立たずは俺たちのために死ね!!」


彼はそう叫んでいた。


不思議と奴への怒りは込み上げてこなかった。

奴の言う通り何も出来ない自分自身への怒りが込み上げてくるだけだった。

素材と俺に阻まれた黒い影は追いかけることができず止まっていた。

そして俺を迎え入れるかのようにただそこにいて通り過ぎる俺を切り裂いた。


胸と腹部に激痛が走った。

死ぬんだそう悟った。


「スキルの使用条件を達成」


脳内でシステムの声が聞こえた。


「ソウルイーターを使用しますか?」


今更なんだよ・・・

俺は遠のいていく意識の中ふざけんなと思った。

何をしても発動しなかったスキルが死に際に発動するなんて・・・


俺は一か八か掠れた声で唱えた。


「ソウルイーター」


その瞬間奴らが討伐した数十体素材が青い炎に包まれ燃えていく。

それは燃えたまま俺の元にやってきて身体に吸収されていく。


傷は塞がっていき力が漲ってくる。


「魂(ソウル)39吸収

これより39秒間魂の救済を実行します」


俺はその場で立ち上がり黒い影と対面した。

黒い影は不思議そうに首を傾げて動き出した。


「消えた!?」


来ると感じた瞬間俺の身体は勝手に動き出し奴の攻撃を避けていた。


「残り20秒」


頭の中でカウントダウンの音声が聞こえる。

避けた俺は咄嗟に追撃を加えようと拳を振りかざした。


その拳は黒い影の腹部に直撃して地面に叩きつけられた。

その衝撃で地面は割れ黒い影はめり込んでいた。


「ど、どうなってんだ・・・」


「残り10秒」


「〜〜〜〜〜〜〜」


黒い影が聞き取れない叫び声を上げる。

ふらふらしながらも立ち上がりこちらに向かってくる。

「残り5秒」


この頭の中ならカウントがゼロになったら負けると直感した俺は黒い影目掛けて飛び出した。

身体は思ったよりも速く加速し、その勢いのまま殴りかかる。


「うぁぁぁぁぁぁあ」


「〜〜〜〜〜」


「3...2...1...0...ソウルイーターを解除します」


俺の拳はカウントダウンが終わる前に黒い影の腹部を貫通していた。


「助かった・・・」


俺は安堵してその場に座り込んだ。


「対象の魂(ソウル)を吸収しますか?」


頭の中で再び声がした。

俺は黒い影をみた。

あれのことか?


「はい」


黒い影はモンスターの素材と同じように青い炎に包まれ。

俺の中に吸収された。


「魂(ソウル)100獲得

スキル確認取得しますか?」


「素材のときより魂(ソウル)が多いな」

それにスキルを取得する?」


「ソウルはモンスターにより獲得数が変動します。

また、対象者がスキル持ちの場合スキルも取得できます。」


「それってチートじゃないか・・・」


そう感じながらもスキル獲得を選んだ。


「対象のスキル影の支配者を獲得

魂(ソウル)を1000使用することにより一部スキルの使用が可能」


「すげぇ・・・」


思わず声に出していた。


すると後ろから気配を感じた。


「あの、ありがとう・・・・」


「え??」


振り返るとそこには同い年くらいであろう女性が立っていた。


「誰ですか?」


「貴方が倒した黒い影の仲間だったものです」


俺は驚いてそこに立ち尽くしてしまった。

その後彼女から事情を聞いた。


彼は元々人間であり、この世界の幻影騎士団というギルドの団長だったようだ。

ある時団長は致命傷を負ってしまいその瞬間黒い影に包まれ自我を失ってしまったとのことだった。

それから仲間は何度も彼を止めようと試みたが、団長を止められるものは誰もいなく都市の外へと彼を排除したようだ。

それから異世界から現れるもの達が彼を討伐することを待っていたとのことだった。


「そんなことがあったんですね」


「はい・・・私達は貴方達と敵対することはもうありません

モンスターはいますが、友好的な関係を持ちたいと思います。」


「わかりました」


「戻って知らせておきますね」


俺は立ち上がりゲートがある方に向かおうとした。


「あの、これを受け取ってください」


そういうと彼女は一本の短剣を渡してきた。


「これは団長が使っていた短剣です」


「そんなものいいのか?」


「はい・・・彼もきっとそれを望んでいる」


「ありがとうございます」


俺は短剣を受け取り鞘から抜いた。

刀身はからの影のように黒く染まっていた。


「これでいいよね・・・」


彼女が最後にそう呟いた。

俺はゲートに向かい元の世界へと帰還した。

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