第5話 茂登子1
高校を卒業ご茂登子は地元企業の会社の受付嬢として就職した。僕が茂登子に初めて会った時、茂登子はまだ 中学生だったけれどもその美貌はすでに周りの注目を集めていた。整った顔立ちは茂登子を年齢よりもずっと大人の女性に見せた。高校受験の準備のために茂登子が初めて塾へ来た時立ち上がって頭を下げるのは職員の方だった。まさか 受験をする 中学生本人が受付に来ているとは誰も思わなかった。大学に行っているお姉さんか、若いお母さんが手続きに来ているんだろうと誰しも思っていた。受付に立って、入塾の手続きをしているのが入塾する中学生本人だとは誰も思わなかった。色白でほっそりとした美人が立っている、そうとしか思えなかった。どこにも中学生らしいところはなかった。透き通っるように美しい人がニコニコしながら立っているそんな感じだった。
茂登子の両親は茂登子と一緒に品野の奥に住んでいるのだが、2人ともあまり丈夫な人ではなかった。 2人とも難聴で耳がほとんど聞こえないなどの障害があったらしい。一家で元気なのはおばあちゃん 一人で、茂登子はほとんどおばあちゃんに育てられた。僕は茂登子のおばあちゃんには一度も会ったことはないけれども頑張り屋のおばあさんは可愛い孫を不憫に思いながら、大事に育ててくれたんだろう。
茂登子は美しかった。ある意味病的に。ここにこうして元気に立っているのが ほとんど奇跡のようなそんな存在だった。同級生たちもとうぜん茂登子のことは気にしていたが、 あまり綺麗すぎて容易には近づけなかった。品野というところには美人が多いのか茂登子の友人の女友達にもとても 中学生とは思えない綺麗な子がいた。ゆきえという名のもとこの女友達のその子もとても美しかった。あの小さな品野中学校に茂登子とゆきえの 二人の美人がいるなんて品野というころは美人が多いところなのかなと思ったけれども 品野は大昔にはらい病患者を集めて隔離しておくような土地だった。あまり健康的な土地柄ではなかった。大昔からそういう何かしら呪われたというか不気味な雰囲気の漂っている場所だった。汚れが汚れを呼んで 美しさだけが抽出されて残ったのだろうか、奇妙で不思議な土地柄だった。美というのは普通ではないので一種病的な匂いがただよっているものなのかもしれない。茂登子とゆきえ、2人は本当に美しかった。あの2人が揃って品野中学に通っている姿は逆に恐ろしく、一種猟奇的でさえあった。ただでは済まない残酷な何かがその後ろに隠されているような恐ろしさがあった。こんなことがいつまでも続くはずがない、というような危うさそんな雰囲気が漂っていた。しかし、2人は無事中学校を卒業し今では2人とも幸せな結婚生活を送っているらしい。
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