穴があった

穴があって 先へ進めなかった

だから 穴を埋めようと

ああでもない こうでもないと

プライドやら 概念やら 経験やら

さまざまなものを投げ入れて

呼吸するように風が吹き落ちていく穴を

ずーっと ずーっと

埋めようとしていた


もしかしたらその穴を埋めなくてもそのまま進むものなのかもしれない――

そう気付いたのは つい、最近のこと。

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