第2話 キングブル


 またキラーラビットか、避けて剣で倒す。

もうキラーラビットには負けない。

 ドロップ品を拾って薬草を摘んで、今日の仕事はおしまい。

 これで、銀貨2枚にはなるな。

 1番安い宿屋が銀貨一枚。堅パンが銅貨2枚だから銅貨6枚の貯金ができる。

 貧乏が悪いわけじゃなくて働かない人が悪いのだ。


 またキラーラビットだ!避けて腹を切るとドロップになったこれで銀貨一枚増えたな!


 そうこうしてると街からやってくるクラスメイト達だ。笑われてるのもわかるし無様だと言いたげな視線を感じる。でも僕も一生懸命生きているから。


「ルーキー!今日も堅パンか?」

「はい!腹持ちがいいんですよ」

「ははっ!そうかそうか!」

 いろんな人にルーキーと呼ばれるようになった。

 だが、EランクからDに上がってしまったのだ。だから薬草依頼も魔物の依頼もランクアップしてしまう。下のランクの依頼は受けられない。


 しょうがない!下を向くな!森に薬草を取りに行く。

 出来るだけ気配を殺して薬草を摘んで行く。

 薬草だけでも銀貨2枚になるからランクが上がって良かった面もある。

『ブルルル』

「しまった!」

 ファングブルだ!Dランク最高のモンスターだ。僕には勝てないかもしれないけどそれでも僕は生きるんだ!

 剣を構えて突進をしてくるファングブルを避けながら斬る。それを繰り返してようやくファングブルが倒れたのでトドメを刺す。また体が熱くなるのを感じながらドロップ品の肉と牙と魔石を持ち帰る。

「凄いわね!ファングブルを倒せたのね!」

「はい!なんとか!」

 受付のお姉さんも大喜びだ。


「良かったな坊主!」

「ファングブルを狩るなんて珍しいなぁ」

「そういえばそうだな!どこにいたんだ坊主?」

「いつもの場所から少し東寄りですね」

「こりゃまずいな」

 なんだろうか?

「すぐに緊急非難を!」

「冒険者はこっちだ!」

「はい」

「おまえはDランクになったばっかりだからお荷物だ」

「何があるんですか?」

「魔物の氾濫だ。だから悪いことは言わねぇ、隠れときな!」

「僕にも何かできることがあるはずです!」

「あー、死ぬなよ!」

 冒険者さんは俺の肩を叩いて行った。

 僕もついて行くと、同じように冒険者が集まっていた。

「これから氾濫が起きる!できるだけ食い止めるんだ!」

「「「おおー!!」」」

「街を守るぞ」

「「「おおー!!」」」



 森にやって来た。至る所で戦闘が起きている!僕も今ファングブルと対峙している。


 突進して来たところを躱して斬りつける。

 動きが弱ったところでトドメを刺す。


 これをいつ終わるかわかんないくらい繰り返していた。

「はぁ、はぁ、はぁ、」

「よう坊主!生きてたか!」

「はい!」

「こっからが本番だ!大物が出てくるからお前は見ておけ」

「は、はい」

『ブモオォォォォ』

 ファングブルより三倍はでかい大きなファングブルだ。

「ブルキングだな!ちっ!やなやつだぜ」

「そうなんですか?」

「硬いから刃が通らねえ!喉をつくしか方法がねえのさ」

 色んな冒険者がかかって行ってもキングブルに致命傷は与えられない。

「俺も行ってくらぁ!」

 喉をつこうとするのを察知して牙を立てて防御する。

 さっきから見てると冒険者が喉をつく時に牙を盾にしているがその反対はガラ空きだな。

 僕は意を決して気付かれないように横に回ると待つ、牙を盾に反対を向いた!今だ!

 僕の剣がキングブルの喉を引き裂きキングブルはドロップ品に変わった。

「坊主!おめぇやるじゃねえか!」

「は、はい、あれ…」

「レベル酔いだな。目を覚ましたらおったまげるぞ」

 僕は意識をなくしていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る