いけいけ勇者様27

最上司叉

第1話

【ガチャ】


「どうやら帰ってきたみたいだな」


バタバタと廊下を走る足音が聞こえる。


【ガチャ】


「魔法使い」


「あぁ早かったな」


「頼む」


「了解」


「今から薬を調合するから邪魔しないで」


「あぁ分かった」


魔法使いは素材を持って自分の部屋に行く。


「チビ勇者もう少しだからな」


「…」


「では私はそろそろ帰るとしようか」


そう言うと先生は帰り支度を始めた。


「ありがとう」


「なに、大したことはしとらんよ」


「毒と分かっただけでもありがたい」


「今回のお代はタダで良い」


「そんな訳にはいかない」


「お前たちが素材を取りに行ってる間に魔法使いから簡単な薬の作り方をいくつか教わったからな」


「そうか、じゃあお言葉に甘えて」


「あぁ、またなにかあったら来なさい」


「ありがとう」


先生は帰って行った。


そしてどれくらいの時間が経った頃だろうか。


女がサンドイッチとお茶を持って部屋に入ってきた。


「何か食べないと身体もちませんよ」


「ありがとう」


「こんな事くらいしかできないから」


「いつも感謝してる」


そう言われ女は嬉しそうだ。


「あのドラゴンの女の人大丈夫なのかな?」


「分からないが大丈夫だろ」


魔王と婚約者はドラゴンの女の相手をしている。


盗人はいつもの猫と散歩している。


俺たちより先に戻ってきていた婚約者と盗人は素材を魔法使いに渡してそれぞれ街にでていた。


そこへ丁度俺たちが通りかかったのだ。


「魔王様お早いお帰りで」


「ごめんね、急いでるから」


「すみません魔王様」


「ううん大丈夫」


「魔王、ドラゴンの女を相手しててくれ」


「えっ!!素材は届けないの?」


「俺1人で行ってくる」


「…分かった」


「すまないありがとう」


「ううん」


そして俺だけ家に帰ってきた。


女が持ってきたサンドイッチとお茶を食べながら俺は薬ができるのを待った。


「うー」


うめき声が聞こえて慌ててチビ勇者の方を見る。


「チビ勇者どうした!!」


「うー!!」


チビ勇者は苦しがっている。


薬はまだか?


そう思った時ドアが開いた。


「お待たせ」


「魔法使いチビ勇者が!!」


「分かってる、ちょっとどいて」


俺はそう言われて慌ててベッドの横を離れる。


魔法使いはチビ勇者に何かを刺して薬を送っている。


「?」


「これで大丈夫」


「チビ勇者?」


「…」


「明日になれば意識が戻るさ」


「ありがとう」


「今回のお代は高いからね」


「あぁ分かった」


俺は安堵してドラゴンの女の所へ向かう。



「勇者がきたぞ」


「?」


魔王と婚約者は訳が分からない。


【キィ】


店のドアが開いた。


魔王と婚約者は俺を見て驚いている。


「本当にきた」


「だから言うたじゃろ!」


「チビ勇者は?」


「薬を打ったから大丈夫だ」


「そう良かった」


「あぁ」


「ところで妾の鱗が必要な毒は心当たりはひとつしかないのじゃがのう」


「?」


「詳しいことは明日チビ勇者の意識が戻ってからじゃないと」


「楽しみじゃのう」


「???」


「なに、そのうち分かるじゃろう」


そして俺たちはお代を払いドラゴンの女をホテルへ泊まらせることにした。


「じゃあまた明日のう」


「あぁ」


俺たちは家に帰った。


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