第5話 Gyroの終焉

Gyroはその後、いくつもの弁論を並べ立てたが、サリンジャーが卓球のカットマンのごとく翻弄する展開の末についに処分が決定した。

オルレアンとゲオルギとアルバートは数日の審議の中で夜の家と昼の家が子どものごとく夕刻の家を中心とした誤解があったことを再確認したという体裁をもってそれぞれの国に誤解の事実を公表しあうことを決めた。

祝儀代わりの勝利だったと事実を伝えられた亜種白路は、玉音放送を聴くようにただその悲しみに沈黙して堪えるしかなかった。もはやサンドバッグになるような対象、たとえばセオとか、たとえばめぐみとか、たとえばスカーニーとかはオルレアンを中心にゲオルギとアルバートと共に座っていて自分たちのパンチが届くような位置にいなかったからだ。

パンチを繰り出したり、ナイフを上に向かって突き立てたりすると、ゲオルギとアルバートの家の者がその身体を回収し海に沈め魚の餌にしてしまう。特にゲオルギの夜の家は長年のスパイ活動で培った特殊能力により鮮やかに速やかに仕事を遂行してしまっていた。


昼の家は夜の家と50年ぶりに握手を交わした。イワンとビルは10月中旬には公式に同じテーブルにつく。もちろんそのバックにはゲオルギとアルバート、そして中心にはオルレアンが座り、会談を見守る。


Gyroはあっけなく処分されてしまった。そのこともまた亜種白路の人々にとっては絶望させるものだった。

藤村家、山蘇野家、黒沼家、天村家、多胡家の人々はGyroと同じように即日あっけなく処分され、三閉免疫不全者全員、百舌鳥柄と亜種白路に所属していた全ての者はBRONZE-FROzenに引き渡された。


「Gossipについて。アリは劉志漢とイワンが管轄し、イナゴはダミニとラムジの地域の管轄とする。カマキリは三閉免疫症候群の右炉と左吾の家が、蚊はセオとスチュワートに全権が譲渡する。エリア担当は夜の家と昼の家で5割ずつとする。なおこの島内で起きた外国人の亜種白路の直接リクルート者に関してはセオとスチュワートに全権を委任する」


ゲオルギとアルバートとオルレアンは互いに握手を交わし、新しい時代のMjustice-Law家を創設した。

Mjustice-Law家の取り決めに11項目目が追記されるのは実に100年ぶりとなった。

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