第11話 チャンネル登録者数1000人突破
獣人の女の子の両親。そしてお姉ちゃんの3人の遺体を外で並べ、木に囲んだ。
空には満点の星。
ライターとか気の利いた物は、この世界に存在しない。
どうやって火を付けよう? と俺は悩んだ。
「ファイアー」と彼女が手の平から魔法を放った。
どうやら彼女は魔法が使えるらしい。
彼女の手の平から出た炎は木を燃やし、そして彼女の家族を燃やした。
ボウボウ、と鳴き声をあげて火が燃えて行く。
それを彼女はジッと火を見つめていた。
何時間も泣き続けて枯れたと思っていた涙が、また彼女の目から溢れ出した。
そして獣人の女の子は火に飛び込もうとした。
俺は彼女の腕を掴んだ。
「そっちに行っちゃいけねぇ。お前はまだ生きているんだ。こらから家族の分も生きないといけないんだ」
彼女が火に飛び込まないように俺は掴んだ腕を離さなかった。
火が消える。
彼女は泣き崩れていた。俺は背中を何度も何度もさすってあげた。
ミカエルやハリーを仲間にした時のことを思い出す。彼等も世界で1人ぼっちになってしまっていたのだ。
後に残ったのは3人の骨だった。
ミカエルにログハウスから壺を持って来てもらった。
このまま骨を放置するわけにはいかない。
燃やしたモノが冷めると、俺は骨を拾ってあげた。
「嬢ちゃんも拾ってあげな。骨は埋葬してあげるんだ」と俺が言う。
コッチの常識は知らない。だけど俺の常識では肉は燃やし、骨は埋葬する。
「足元から順番に骨を入れて行くんだ」
と俺は前世でお爺ちゃんのお葬式の事を思い出しながら言った。
獣人の女の子はヒックヒックと泣きながら、1つ1つ丁寧に骨を壺に入れた。
ミカエルとハリーには穴を掘ってもらっていた。
3人分の骨を回収すると壺を閉じた。
そして穴に壺を入れ、埋めた。
ココにお墓がありますよ、とわかるように紐で木を十字に結んで突き刺した。
俺達はお墓に手を合わせた。
彼女の両親がどんな人物だったかもわからない。彼女の姉がどんな人物だったのかもわからない。
だけど生まれ変わったら幸せな人生が待っていますように、と願った。
「アニキ」とミカエルに言われる。
「なんだ?」
「さっき、なんて書いているかわからなかったんですけど、配信の最後の方に色の付いた文字が沢山ありました」
「なんだって!?」と俺は驚きながらスマホを見る。
報酬アプリを開く。
1万円の報酬が入っていた。
すげぇー、1万円。
こんなに投げ銭してくれたのかよ。
右上のメニューの欄に『!』がついていた。
そこをタップするとキャンペーンの欄にNEWの文字が書かれていた。
キャンペーンをタップする。
1000人登録者突破キャンペーン。
1000人登録者突破?
俺は報酬アプリを消して、配信動画のアプリを見る。
チャンネル登録者数が1051人になっている。
目標人数の達成だった。
1度の配信で、いや2度目の配信か。あっ、俺語りも含めたら3度目の配信か。それで1000人以上の視聴者が登録してくれるなんて。
でも自分自身では何がどうなってバズったのかわからない。
今回だって女の子を襲う企画から、女の子を助けることになって、視聴者が増えていった。だけど助けた女の子はインフルエンサーじゃない。日本の文明を知らない獣人の女の子である。
配信されている時、俺が思ったことは配信なんてしていないで助けろよ、と思っていた。
俺はハリーを見る。
俺はミカエルを見る。
俺の力だけでは1000人の登録者数は一生かかっても無理だった。
「お前等がいてくれてよかった」
と俺は呟いた。
「えっ、なんっすか?」
とハリーが尋ねた。
「なんもねぇーよ」
と俺は言いながら、配信動画のアプリから報酬のアプリに切り替える。
1000人突破キャンペーンで新しいスキルが0円で購入することができた。
新しいスキルはスマホの文字が誰でも読める、というスキルである。
まぁキャンペーンの0円程度では、こんなモノですよ。
それと100円で充電器のバッテリーが100%にできるらしいので、それも購入した。スマホから購入のピポンという音がしてから、ポケットに入れていた充電器を見ると100%になっていた。
1000円だけ残してネット通販のポイントに変えた。
みんなで獲得した報酬である。
「みんなで美味いモノを食おう」
と俺は言った。
そしてネット通販で美味しそうなものを探す。
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そして『家出少女を拾ったので部屋に連れて帰って一緒に寝たら、その子は魔王の娘で俺はチート能力を無駄遣いしているおっさん勇者だったけど、女の子が懐いてきたのでバカップルになる。そんなことより彼女がクソカワイイ』という作品も同時連載しておりますので、もしよろしければソチラの方も読んでいただければ嬉しいです。
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