やんのかコラ、とオラついた咬ませ犬に転生した底辺配信者、獣人美少女に懐かれたり、勇者の剣に懐かれたりしながら異世界でバズる
お小遣い月3万
第1話 謎の強い青年にボコられて
「やんのかコラ」と俺はオラつきながら持っていたナイフを舐めた。
俺はモヒカンでマッチョだった。マッチョを見せるためにズボンしか履いていない。それも全て相手をビビらせるためである。相手をビビらせることに成功すると無駄な戦闘を避けられるのだ。
だけど目の前の青年は俺の脅しに怯まなかった。
「アニキやっちまいましょうぜ」とスキンヘッドのミカエルが言った。
彼も俺と同じように半裸族である。
短髪を尖らせたハリーがニヤリと笑った。彼も半裸族である。ハリーは筋トレが足りていないので枝のように体が細い。
俺は何か嫌な予感がした。
いつも俺達は3人で行動している。小規模の盗賊である。
今は商人の馬車を襲っているところだった。
せっかく馬車を奪えそうなのに、1人の青年がやって来た。彼はどうやら俺達から馬車を守るつもりらしい。
本来なら無装備の青年ぐらい簡単に倒す事はできる。
だけど盗賊の勘で、コイツはヤバい奴だと警告音が鳴っていた。
そもそも1人の無装備の青年が、盗賊から馬車を守ろうとするのがおかしいのだ。
俺達の事を倒すことが出来るという確信を持っていないと近づかないだろう。
「アニキならこんな奴、1発っすよ」とハリーが言った。
彼は俺の強さを信じている。
でも俺は強くないからこそ冒険者で一攫千金を狙うことが出来ず、盗賊に成り下がったのだ。
だけど弟分の信頼は裏切りたくなかった。
「お前みたいな小僧が俺とやろうって言うのか? 100年早ぇーよ」と俺は行って、持っていたナイフを舐める。
ナイフを舐めるという行為も相手をビビらせるためのものだった。
だけど青年は1ミリも怯まない。
むしろコイツ何やったんだ? みたいな顔で俺のことを睨んでいる。
えーい、と俺は持っていたナイフを振り上げた。
俺の攻撃を青年はそよ風に当たるぐらいの涼しい顔をして簡単に避ける。
やっぱり強い奴じゃん。
俺の勘が当たったじゃん、と思った時には3発、いや4発、もしかしたら5発、お腹を殴られて倒れそうになっていた。
倒れそうになったところに顎を殴られて、俺は意識を失って地面に抱きついた。
俺は脳天を揺さぶられてある事を思い出していた。
俺がまだ、この世界に生まれる前の記憶である。
前世の記憶というものである。
俺はこの世界とは別の世界にいた。
地球の日本という場所である。
その世界で俺は動画投稿をしていた。
動画を作り、ネットに上げていたのだ。
動画といっても大きく分けて3種類存在する。短い動画、長い動画、そして生配信である。
その3種類とも全力でやって、3年以上も頑張っていたのに、チャンネル登録数は3人だった。
やりきれねぇ、バズって有名になって、それだけで生活できるようになりたかった。
そして俺は動画の企画で餅の早食いをやって喉を詰まらせて、死んだのだ。
生まれ変わっても底辺なのかよ、と俺は気絶しながら思った。
気が付いた時には弟分2人が俺を両脇に抱えて青年から逃げていた。
「アニキ!!」とミカエルが叫んだ。
「うるせぇーな」と俺は言った。
悪態をついたのは、負けた気恥ずかしさからだった。
「回復薬が効いて良かった」とハリーが泣きそうな声を出す。
「泣くんじゃねぇーよ」と俺が言う。
俺はポケットに違和感を覚えた。
「ちょっと待ってくれ」と俺は言って2人の足を止めた。
そして俺はズボンのポケットを弄った。
「なんですか、それ?」とミカエルが尋ねた。
俺はポケットから取り出したソレを見つめた。
「なんかの板っすか? 盗んで来たんですか?」とハリーが尋ねた。
「板じゃねぇーし、盗んでもねぇーし」と俺が言う。「これはスマホだよ」
スマホ? と2人が首を傾げた。
俺のポケットには、なぜかスマホが入っていた。もちろんこの世界に携帯キャリアも家電量販店も無い。
だけど俺はスマホを持っている。
前世の記憶を思い出した事により、転生特典が貰えたんだろうか? わからん。
画面を開くとスマホには4つのアプリが入っているだけだった。
————————————————————
読んでいただきありがとうございます。嬉しいです。
面白かったと思う方は↓の☆での評価やフォローでの応援をよろしくお願いします。応援していただければ、より多くの人に読んでいただけます。
そして『家出少女を拾ったので部屋に連れて帰って一緒に寝たら、その子は魔王の娘で俺はチート能力を無駄遣いしているおっさん勇者だったけど、女の子が懐いてきたのでバカップルになる。そんなことより彼女がクソカワイイ』という作品も同時連載しておりますので、もしよろしければソチラの方も読んでいただければ嬉しいです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます