『受験地獄』(1982年/火曜サスペンス劇場)


監督 瀬川昌治

脚本 岩間芳樹

原作 西村京太郎

出演 太川陽介、神保美喜、倉田まり子、大木隆介



 東大受験当日に寝坊してしまった浪人生。彼は会場にウソの脅迫電話をかけ、開始時刻を遅らせたことで、なんとか合格を手にした。しかし、今度はそれを知った何者かが彼を脅迫し始め……。


 タイトルは『受験地獄』だが、描かれるのは、東大が持つブランドや権威に振り回される人々の姿。メチャクチャ若い太川陽介が終始追い込まれまくる緊迫感あふれる内容だ。


 まず、驚かされるのは1982年当時の東大合格者に対する扱い。主人公の合格がわかると村をあげて祝賀会が開かれ、地元の新聞には合格者の名前が顔写真付きで掲載されるという。個人情報ダダ漏れ、1980年代恐ろしすぎる。さすがに今はこんなことはない……と思いたい。

 そんな狂乱ぶりなのだから、子どもが合格のため死に物狂いで努力するのは当たり前。親も私財を投げ打ち、サポート。子が東大生になることを見越して商売を始める親までいる。つまり、子どもが東大生になれなければ、商売も傾く一蓮托生。プレッシャー、半端ない。

 そんな当時の価値観や社会状況は劇中でメインとなる若者たちをがんじがらめにしていく。特に主人公の姿には夢も希望もなく、まさに地獄。


 全編に貫かれるヴィヴァルディの『四季』。特に『春』という本来明るく、うららかな楽曲が切なく恐ろしく聞こえるのは印象的だ。

 また、エンディング曲『聖母たちのララバイ』が流れ終わったあとのラストカットはいろんな解釈ができそう。



トラベル・ミステリー以外の西村京太郎原作作品といえば、こちらも。

『殺人志願』

https://kakuyomu.jp/works/16817330663537267590/episodes/16818093082296217809




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