『刑法第三十九条 FLASH BACK フラッシュ・バック』(2001年/女と愛とミステリー)


監督 麻生学

脚本 高山直也

原作 永井泰宇

出演 黒木瞳、筧利夫、柄本明、野波麻帆



 新宿歌舞伎町で起こった通り魔事件。逮捕された男は周囲から赤ひげと呼ばれ、慕われている医師だった。男の精神鑑定を担当することになった小川香深かふかは男の過去に事件の鍵があると睨む。


 タイトルにある刑法第39条だけでなく、第41条をテーマにした作品。両方とも中身は違えど、特定の条件を持つ者の犯した罪を罰しないという点では共通しており、センシティブなテーマだけに「よくテレビでやったなぁ」というのが最初の感想。

 法律がテーマといっても小難しさはなく、むしろスリリングでミステリーとしての驚きもあり、エンタメ性は高め。さらに演出、撮影などのスタッフワークもかなり力が入っており、特に編集はフラッシュ・バックが題材となっていることもあり、非常に細かく、スピーディーで見応えあるものとなっている。

 特に印象的だったのは回想シーンなどに使われるフィルム風の画面効果。これが単にノスタルジックなだけでなく、昔の嫌~な事件を覗き見ているようなおぞましさがあり、エグ味満点。

 さらにここで描かれる過去の事件が実際に起こった凄惨な事件をモデルとしているため、犯人の過去を探る後半の展開は地獄巡りのようだ。


 キャストは芸達者ぞろいだが、なかでも柄本明の静と動を巧みに使い分ける演技は圧巻の一言。錯乱状態に陥った瞬間が特に凄まじい。

 また、意外なところでは、少ない出番ながら江頭2:50が重要な役で出演し、アンダーグラウンドな雰囲気をまとった演技で、作品の雰囲気作りに貢献、印象に残った。


 オープニングから凝りまくっている演出はエンドロールまで貫かれ、ドラマが終わってもまったく気が抜けない。エンディング曲が流れ終わってからのラストカットは、まさにトドメの一撃。

 罪を犯し、捕まった者の胸に去来するのは……。




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