『特急さくら殺人事件 死体蒸発の謎!東のハコネ西のセノハチとは?』(1982年/ザ・サスペンス)


監督 竹本弘一

脚本 山浦弘靖

原作 西村京太郎

出演 宝田明、三ツ木清隆、犬塚弘、鈴木瑞穂



 走行中の特急さくら号で起こった殺人事件。死体を発見した刑事が犯人の手刀によって気絶している間に走る列車から死体も犯人も消えていた。

 西村京太郎原作の十津川警部シリーズを「ザ・サスペンス」という枠で映像化した作品。十津川役は宝田明。


 テンポは良いし、トリックも面白いのだが、なんといっても手刀殺人のインパクトに尽きる。首を手刀でパンッ! と打ったら、首が折れたのかなんなのか、被害者死亡。凶器が手刀って、2時間サスペンス史上最強の犯人だろ。ところが十津川たちはトリックや事件の背後関係ばかり洗って、死因や手刀にはまったく触れない。手刀の達人とか調べたほうが早いと思うんだけど。

 結局、犯人が捕まっても手刀に関しての説明はなく、「手刀殺人あたり前の世界なのかな?」と思ったら、この謎はエンドクレジットで解明された。


 製作が大映テレビ室で、監督が竹本弘一。つまり、極端な作風で知られる大映ドラマと、大映ドラマだけでなく、昭和の東映特撮でも知られる竹本演出、その両方が見事に融合した結果が「手刀でパンッで死」だったのである。特撮ヒーローのノリも取り込んでしまう大映ドラマってスゴいな。



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