朝が来なければ。

紬衣

Episode 1

毎日、目が覚めれば朝になっている。当たり前のことだ。

僕にとってそれは、ものすごく苦痛だ。

毎晩寝る前に思うことは、「このまま死んでしまいたい。朝なんて来なくていい。」ただそれだけ。ここまでくれば明確な理由はもうわからない。


心も体も、キズでいっぱいだ。


このキズはいつのだろうか。

もう、分からないや。









はぁ、





もう消えてしまいたい。

























そう思っていた。

僕が君と出会うまでは。







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今日もまた朝が来た。頭が痛い。なんだか目眩めまいもする。

学校なんか行きたくない。

行ったとて一人。いじめのトラウマから友達なんかできやしない。

親からの虐待から逃れるために始めた一人暮らしだが、

脳裏に張り付いたトラウマからは逃げられない。

成績のためだけに学校へ行くようなものだ。

少し伸びをして、温かいベットから出て凍えながら洗面所に向かう。

「う゛…さむ…」


蛇口を捻って水を出す。

冷え切った冬の朝の水の冷たさに耐えながら顔を洗う。

そこらへんにあったタオルで顔を拭く。

鏡に写った自分の醜い顔。

もっと違う顔なら人生は違ったのだろうか。

罵倒されるばかりの人生ではなかったのだろうか。

「はぁ…」

大きなため息をついてタオルを洗濯かごに投げ入れようとした。

「あ、洗濯物溜まったまんまだ…」

積み重なった洗濯物たちと着ていた寝間着を脱いで洗濯機に放り込む。洗剤を目分量で量り入れ、ボタンを押す。

洗面所を出てクローゼットの前に立つ。

シワだらけのワイシャツとスラックスを取って着替える。

「朝ごはんは…これでいっか。」

寝癖の付いた髪の毛を軽く手ぐしで梳かしながら、

近くのテーブルに残されていたカロリーメイトを口に放り込む。

提出する課題、必要なテキスト、その他諸々をリュックに適当に入れる。

ぐちゃぐちゃな部屋を見回し、玄関の近くにかけてあった上着を着る。



「それじゃあ、行ってきます。」


僕は誰もいない部屋に向かってそう言って外へと踏み出した。

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