第238話 零れる嘘

孤児として紛れ込んだ「月の民」。そのあり得ない能力とカリスマ性でエンディングにおいて国王に登り詰めた「主人公」。


「貴種」でありながら、ひたすら負け続け、洗脳されて醜態ばら撒き、最期はいなくなってしまう「ライバル」。


ざっくり調べた範囲ですら痛いぐらいに焼かれるような感覚。このカリスマ性溢れるヴォーカリストは恐ろしい。


知れば知るほど、焼かれそうだ。

確かに「狂っている」。しかも「自覚している」。


ギタリストは嫌がるだろうが、なんとなく同情した。刺さるような「カリスマ」性に当てられ続けて、当時約8年間、よく狂わずに耐えたな、と。


いや、狂ったのか。引き金を引いたんだから。

狂ったままなのかもしれない。発言を見る限り。


嫌いの反対は無関心。表化された発言を見る限り、ヴォーカリストはギタリストに対してほぼ無関心。

一方でギタリストは嫌いか、好きかしか言っていない。


復帰記念曲などの歌詞が示すように「一体、誰に向けた歌なのか、わからない楽曲が紛れ込む」ヴォーカリスト。


インタビューで「言葉にできないから音楽を作る」という主旨を繰り返し発言されている。なのに作り出される「宛先不明な音楽」。


それが作られる時期は「転換点」。インタビューは揃えたように「自分との戦い」。


分裂したプロファイルが示すもの。

それは「歪」。


逃げているのは「ギタリスト」。そう、この方は「2人目のヴォーカリスト」や引き金となった「初めのパートナー」だっている。別に誰かと組めない訳じゃない。


選択肢を違えた直接の引き金は、バンドの形態。ギタリストの「彼女」が歌えば「彼女達」になり、ヴォーカリストが歌えば「彼ら」になる。ヴォーカリストはそれを「許容できなかった」。


その後はご自身も「彼女」と同様にバッグバンドを選んで変え続けていたのにも関わらず。そして「2人目のギタリスト」を選んだ。期間で考えれば彼のギタリストは「2人目のギタリスト」。なのに、バンドもユニットも組んでいない。


何故か「自分のモノ」が「他人」に取られるのが嫌だというように。


2011年の「該当時間」。

ギタリストが声を掛けたのに無視されたとされる事例。


ヴォーカリストは予定していたコンサートをチャリティーに変えた。そして全てを「バンド時代の曲」にした。ギタリストが作り出したギタリストを最も現す曲を「2人目のギタリストに演奏させた」。


2011年2月にギタリストはヴォーカリストを最も現す曲を演奏して「歌わなかった」。


全額寄付にするかどうかも、ヴォーカリストはいわば「常連客」。そもそも単独でドームツアーができる「金のなる木」な「リピート客」。寄付にした分を回収できる見込みがあったから全額寄付に回せた。


ギタリストは明確に拒絶された直後。やる気はなかったとの記載もある。彼にそこまでの集客力はない。いわば「一見さん」。「リピーター」にはなれないと把握していたのか、最初は経費を差っ引いた自分達の出演料を寄付しようとした記述がある。


もうお一方はヴォーカリスト様の敬虔な信徒だったようで、また喧嘩になっている。第三者としてみれば、別にギタリストは間違っていない。やる気が削がれ過ぎたのか、最後は報告がおざなりになったり要求変えたりと、本当に感情的な行動。


そして、この国からいなくなった。


ネットに溢れる情報。

奏でられるヴォーカリストを讃える讃美歌。


Never, never,never,never,never.

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