第26話 山口さらの日常とアオイの買い物

「暇ねー。」

山口さらです。———今日はバイトで神田明神のおみくじ売り場で暇を持て余していました。


この神社は参拝客や観光客が多く毎日賑わっている風景に見える。だがおみくじのほうは引く人が少なく。二時間待っていても五人くらいしか来なかったのだ。



「暇だー。」

私はぐてーとしていると引き戸から開いて誰かがやってきた。

「お疲れー。交代の時間だ。もう終わりだろう」


この人は私の同期、今村よしみさん、私と同じ幽霊であり大正時代からいた人で、神田明神で働いたのは最近入ったばかりでなんでも、泉鏡花とか芥川龍之介とかにもばったり会ったことがあるらしい。


髪は黒で顔が整っている肌は白い、雪のような美人だが話してみると、下卑た笑いや俗っぽい所があるので、いわゆる残念美人ってやつだ。

「はらはら早く。」とよしみさんは手で私を払うように追い出した。


「まったく、しゃべらなければ美人なのに。」

私は思わず声を出してしまったが、カエデは不敵な笑みを出して言った。

「それは言わない約束だろう。」

私は黙り込んで、おみくじ売り場を出て行ったのだ。


私は川村アオイ、今日が近くのスーパーでカレーの材料を買っていた。


数時間前——。

私が「今晩のごはん何にする」と言って台所を掃除しているとポーっとしていた姉ちゃんが「ん、カレー。」と言って冷蔵庫みたが材料が足りなくって———今に至る。


私はジャガイモ、ニンジン、牛肉を買っていると、ふと他のものも足りないこと思い出してかごに入れてレジに進んで買い、スーパー出て行ったのだ。


ちょっと買いすぎた。私は汗をかきながら、運んでいると誰かの視線がした。そして後ろから小声で言ってきた。

「一人持つには思いでしょう、私も手伝いましょうか。」

さらさんだ。唐突に現れたのだ。

「さらさんこんにちわ。」

「こんにちわ。アオイさん、偶然にも見かけたので声を掛けました。」

「いきなりはやめてください!ものが落ちそうになりましたよ!」

私は思わず大声で叫んだがさらさんは無視して片方の買い物袋を持っていき歩き出した。


「すみません。びっくりした顔が美希さんそっくなもんでつい、—————けどこんなにたくさん——牛肉にジャガイモ、ニンジン今晩はカレー作るんですね!」

「姉ちゃんがカレー食べたいっと言ったから、買いに来たけどついでに買いたいもの買っていたら結構な量になってしまったんだよ。」

そうなのですか。とさらさんは節操もなく言うと黙って歩いて私はふと、言ってみた。

「ここで出くわしたのも何かの縁だしよかったら、私の家でごはんごちそうしますよ。」

だが、さらさんが横を振って言った。


「キモチはありがたいが、今日はちょっと別の用事がありますのでいけません。ごめんなさい。」

さらさんがしょんぼリした顔をしているのを見て私は仕方なく言った。

「後で、姉ちゃんには言っとくからそう、落ち込むな。」

肩をポンと叩くとさらさんが前向きになって「次回は必ずお会いしますので」と腕をガッツしたのだ。


別にそこまでのことじゃないだろう。と思っていると家に着いた。

「では荷物お渡しします。またどこかで。」

さらさんがそう言うと即座に消えていったのだった。

私は特にびっくりすることもなく家に入ったのだ。


———ヨド〇シカメラ

四階の電化製品コーナーで私は冷蔵庫や洗濯機を見ていた。


最近、私の部屋————築40年の2階たてのアパート、家賃がなく、人もほとんど住んでいない心地が良かった場所だが先日カエデさんが言って7階のマンションの六階が入居者は、数か月もせずにいなくなるってすべての部屋が空いているから静かで、心地がいいからおすすめ。と言われたので引っ越しを決意してこの機会にあたらしい家電を買おうと考えヨド〇シカメラに向かったのだ。


ふと私は家電の間の隙間でチラっと見たらふと立ち上がって凝視した。

「何やら、見たことある子がいたのだ。」

メガネをかけて、グレーのロングスカート、黒デニム、手持ちバックを持っている姿———アオイさんが歩いてきたのだ。


即座に私は気配を消す能力を発動して、近づいて———そしてー。

「また出くわしましたね。アオイさん。」

すぐ背後に忍び込んで小声で言ったのだ。

アオイさんはびっくりし顔をして、振り向いた。だが振り向いた瞬間に右手で顔を直撃しそうだったが、何とか交わしたのだ。


「だからー!い、いきなりはやめてくださいっているでしょが!さすがに怒りますよ。」

「フフ、すみません。怒っている顔も美希さんに似ているとつい、それにどうしたんですか。こんなところで。」

「イヤ、別に、掃除機の調子が悪いから買いに来ただけですよ。」

赤面になったアオイさんが言っていると、私はあること思い出して手を取って。

「私も引っ越しで、新品を買いそろえようとしているから、一緒に買いましょう!」

そして私は、走って家電製品を見ていた。


掃除機を買い来た私にとっては早く帰りたい。

おばあちゃんから掃除機が調子悪く「もう寿命だな。」と言っていたから私は一葉、お婆ちゃんからお金をもらって掃除機を買いに行ったのだ。自動式掃除機を見ていた。

代々数万円か————買えないなー。


私はジーっと見ていて気が済んで別のコーナーに動こうとした時、さらさんがロボット掃除機を電源を入れたのだ。

「これは便利ですね、これ買っちまいますか。」

何やらカートを持ってきてロボット掃除機一台いれたのだ。


まぁ、幽霊のバイトがどのくらいだが知らないけど、引っ越しできるくらいだからお金がありそうだな。

そう思って私は無視して掃除機を見ているとさらさんがまた話しかけてきた。

「洗濯機なんですけど、マンションに引っ越すのですからドラム式洗濯機にしようとしたいですが。」

「いいんじゃないか、買えば。」

だがさらさんは深刻な顔をして考え込んでいた。

「だがあの洗濯機には捨てづらくて決められないです。」

「形あるものはいつか壊れる———。古いものも大事だけど、自分で新しいものにするって言っていたから、買った方がいいんじゃないか。」


私は恥ずかしく言って、さらさんが「それもそうね。」と言って買ったのだ。

「ちなみに洗濯機って何か思いやりがあるのですか。」

「いえ、昔、知り合いからもらった洗濯機で、がたは効いているんですけどまだまだ動けるから金もかけずに行こうかと思っていただけです。」


マジかよっと私はいいこと言ったことに何か損する気持ちになってまた掃除機を見ていた。


その後は———

「電子レンジ!一人暮らしだから小さいのにするか————。加湿器!持っていなかったから買って行こう————。冷蔵庫、部屋が広くなるからデカいので行きましょう。」

さらさんは気に入った家電をつぎつぎと買っていき、しまいには人間には持ち歩けないぐらい持ち歩いていて私は茫然した。


帰りの際にヨド〇シから出ると私はさらさんに質問してみた。


「大丈夫ですか。その荷物」

「えぇ、このまま歩いて行けますので、ではそれじゃ———。」

私は量が多いさらさんを見送ったのだった。


私は家に帰ってくると、ばぁちゃんが和室の部屋から出てきて言ってきた。

「おや、アオイ、掃除機階に行ったんじゃないのか。」

「あ、忘れてた。」

私は今日の出来事でびっくりして掃除機買うの忘れてしまったのであった。

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