第11話 お正月と人形遊び
お正月———
私はリビングでテレビを見ていた。——いつもならテレビなんて見ないが、私が毎年の正月はネットを使わないで一日ダラダラするという。恒例儀式を決めていたのだ。
ここ何日ネットに使ってばっかりだど依存してしまうという警戒で、元日くらいは何も考えず家に引きこもっていよう。———そう思った。
———まぁ、ダラダラするのはいつものことだな。
なんだか急に眠くなってきた。
私はソファーに寝っ転がって、天井を見てボーとしていた。
だんだん瞬きが多くなって、目をつぶった瞬間———ドスっと重みがかかって眠りにくく、一瞬目を開けたのだ。
————真っ暗だ、けど重みは抜けていない。って。
少女が私の顔をダイブした感じで体を伸びていて、即座にどかした起き上がった。
「あら、おはようございます。美希さん。」
隣にはさらさんが座っていて、私を見つめていた。
「あ、さらさん。明けましておめでとうございます。玄関から気配しなかったけど。」
「あ、明けましておめでとうございます。——いえ、美希さんに会いたいなー。と思って家まで近づいてきたときこの子にに出くわして、秘密の入り口に案内されたんです。」
「秘密の入り口?」
さらさんが二階を指さして、窓から入ってきたの。と無表情で言った。
普通窓から入らないだろう。と私は手を頭に当てて言った。
「今日は窓が良かったのだー。ベランダやクローゼットは飽きたのだから。」
ベランダやクローゼットからも入ってくるのかよ。とびっくりしていた。まぁ、幽霊だしな。
「で、家でゴロゴロするんですか…。」
私が言うとさらさんが怒った顔をして。
「ゴロゴロするために来たんじゃありませんよ。美希さん。」
少女もプクーとした顔をしていた。遊びたいんだろう。
遊びつったって、お正月はのんびり過ごしたい…。と思った時だ。
「あっ!」
私は唐突に思い出した。
「そういえば人形遊びやっていなかったな。」
少女が出会う前に、人形を使っておままごとに近いことの遊びをしていたんだ。
家に引きこもることが多く、飽き性だった私が長時間遊び惚けていたのがこの遊びで‥‥まぁ、やって見ないと思い出せないな。
「んじゃ!久しぶりに人形遊びでもやりますか。プレゼントももらったことだし。」
クリスマスイブのとき———少女のサプライズが皆すごかったのか。
忘れてしまって、仕掛けた私さえも缶蹴りに夢中になって忘れていたくらいで、みんなが帰る頃にアオイが気づき、順々に渡してもらったプレゼントが家の中に置いてある。
少女とかアオイとかは開けて見せていたが私はまだ開けていなかった。
それもかけて私たちは二階に登って部屋に入ったのだ。
※
私の部屋は———今年までに大掃除をし、友達を呼べるまでには片付いていたのだ。
だが、いたるところに散らかっているので、完ぺきとは言えない。
少女が先に入り、順に私、さらさんと入った。
「おい、先に入るなよな。」
いいじゃないのだ。と少女がクローゼットのほうに向かって探し始めた。
クローゼットの中には私が小さいときに母がクリスマスのときにもらったシルバニアファミリーを出してさらさんに見せた。
当時はサンタがいると信じ切って家の手伝いとしていたなー。
「あら、かわいいのお持ちで。」
「なんか捨てられなかったから、暇なときにはよく遊んでいたんだ。」
私が言った。少女が別の人形を持ち出して、自分で遊び始めた。
「じゃ、さっそく遊びますか。」
私はクローゼットからいろんなおもちゃを出していてどういう遊びかを説明した。
「まずシルバニアファミリーを使って遊ぶんだけど、このウサギの子が娘で——もう一匹のウサギの子が姉にしていく、そして舞台は学園の中。彼女らは双子の姉妹でここの生徒———だが実は姉妹愛を超えた深い関係を持っている設定で——。」
「はぁ?」
私が黙々しゃべっているとさらさんがキョトンとした声で言った。
「えっ、…ごめんなさい。おままごとみたいな遊びでいいんでしょ。」
「まぁ、そんな感じかな。」
さらさんはそう、とちょっと黙った。私は構わず話をつづけた。
※
———舞台は私立の学校。そこには恋に落ちている双子の姉妹———
・姉ウサギをやるのは私、川村美希。
・妹ウサギは少女。
———だが両親たちはこの恋は反対らしく、私たち双子と対立している。
そんなある時、学校から帰ってきたときに妹のほうが車に激突して瀕死な状態になっている。
・車は戦隊ロボ、その一部のパトカー。
これもまた小さいときにもらったものだ。
———私、姉ウサギは神様にお願いをするために神社に向かった。
・神社はテッシュ箱にして神様はクマのぬいぐるみ。どっちもさらさんがやるようにした。
———神様は願いをかなえるためには両親と仲直りをすること。
そして仲直りをして神様は妹を治して姉ウサギと妹ウサギは一緒に付き合うのを認めてもらって暮らすことになったのだった。
※
「まぁ———こんな感じだな。」
私が唐突に言い終わるとさらさんがちょっと引き気味に見ていて言ってきた。
「・・・・・すごい設定ですね。・・・・私が神様でいいの。」
遊びだからいいよ。と私がが言った直後——誰かがドアから入ってきた。
アオイだ。
何やらイヤな顔をして言ってきた。
「またやっているのかよ———。この遊び。」
「いいだろう!別に、それに最近やっていなかったから、久しぶりにさらさんとこの子と一緒にやろうとしていたんだよ。」
アオイが周りを見ていると、さらさんがども。と言ってこくりとうなづいた。
「お、明けましておめでとうございます。」
「今年もよろしくお願いします。」
二人とも丁寧にあいさつしたのだ。
少女は人形にハマっていて、振り向かなかった。
「そんなことより何しに来たんだよ!」
「あ! そうそう。今から、初詣に行くけど姉ちゃんも行くんでしょう。」
別に行かなくてもいいがさらさんが美希さんが行くなら行く。と言って目をキラキラしながら私を見ていた。これは私も行くの決定じゃねーか。
「分かった。私も行くよ。」
困惑しながら言ったのだ。
※
私とアオイとさらさんそれに少女とともに神社に向かっていたのだ。
「なんで、この子も一緒なんだよ!」
アオイが言った。
「いやー。途中まで誘っていたけど
アオイはため息をして。ネコかよ。と言った。
確かにネコだ。
「あ、今日、ヘンタイさん…?は来ないですか。」
唐突にさらさんが苦い顔をして言ってきた。
「ヘンタイ‥‥。あー。理沙さんか。なんでも家族と一緒にハワイに行くよて入れていたから来ないよ。」
「フン!
さらさんが睨みながら言った。なんか恨みでもあるのか。
「そうだ——アオイ、友達とか来ないの。」
「真菜は父方の実家に帰っている。」
「どこの実家。」
「確か‥‥。群馬。」
群馬に帰っているのか。と私は考えていた。
私は東京生まれで、県外とか行ったこととかないな。
あったとしたら修学旅行くらいだからなー。
一人でブツブツ言っていると神社に着いた。———正月と言うことであっけ、人がいっぱいだ。
やっぱり慣れてなく、私は少し緊張してきたのだ。
参拝に列に並ぶ人、屋台で並んで食べている人、おみくじを引いている人ににぎわっていたのだ。
私たちも列に並んだ。
みな、拍手をして、何か願いを込めて、やり終わり、順々に帰っていった。
そろそろ私たちの番が近づいてきた。
私の番だ———
アオイとさらさんがお金を入れて拍手をしていた。アオイはともかくさらさんは横から見ると美少女だから絵になるなー。
私もお金を入れようとすると少女が膝を掴んで言ってきた。
「ボクも入れたいのだー。」
せがまれていると隙を見て財布を奪って抜き取り、お金を入れたのだ。
しかも100円———。大した額じゃないと思うが私にとっては大きな額だから少女を
少女は見向きもせず100円を入れ、拍手をし、
後ろが待たせているので私もすぐさまお金を入れて拝んだのだ。
(どうかお願いします。今年は騒がしくせず、静かにのんびり暮らしたいです。)
たぶん無難だと思うがまぁ、いいだろう。
私はアオイとさらさんのほうに向かっていってきた。
「美希さん、なにお願いしたんですか。」
「えっ、お、大金持ち。」
「夢がでかいですね。———私は美希さんと死ぬまで一生ご一緒できますようにってお願いしました。」
「幽霊なのに!」
「そういうアオイは・・・。」
「別に。」
「かなえてないの。」
「挨拶しに来た感じて拝んだだけだよ。——願いなんて考えない。それに願いは自力でかなえるからいいの。」
偉いですね、妹さんは。とさらさんは笑顔で言った。ちょっと顔を引きつっているが。
「ところであの子は・・・。」
「あ、そういえば。」
私から財布をパクった時から見てやしない。
「どーせ、先に帰っているよ。そういう子だろ」
私たちは家に向かっているとアオイは私を見て嫌な顔して言ってきた。
「言わなくっても分かると思うがもうやめとけば」
何が。私はキョトンとして言った。
「人形遊び。」
「いいだろう。別に!もう趣味みたいなものだし。」
「趣味ねー。」
アオイが考えていると何かおもいついて。
「だったら私も混ぜてくれない。私もその人形遊び付き合ってやる。」
「はぁー。」
予想外なことにアオイが人形遊びやると思わなかった。
「それはいいアイデアですね。今美希さんは何やら恋物語をやると言っていたので楽しみでいるんですよ。」
「ほおー恋物語ね。」
アオイは少しニヤついて私を見たのだ。
なんか嫌な予感だー。そう思ったのだ。
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