第8話 姉ちゃんとケンカとクリスマス。
私の名前は川村アオイ。
今、友達と一緒にカラオケで歌っているのだ。
私は、カラオケは好きではない。人前で声を出して歌うのは恥ずかしいと言うか。バカらしいって言うか。
「アオイ、どの曲歌うか決まった。」
この子は同じクラスの秋山真菜。元気があり余っている犬のような性格。
休みに入った時に用事がないか確認して暇と分かったらすぐさまに行動に移し。
東京中の行きたい場所に行かされている始末だ。
今日にいたっては強引に来させられたって言ってもおかしくない。恐ろしい女だ。
「真菜さんがもう一度歌えばいいよ。」
「いや、私はアオイの歌声が聞いてみたい。音楽の授業のときに歌っていた。あの波打つような歌声、まさしく美しいと思ったわ。」
「あーあの時が。」
あんなのピアノの音でごまかし小声で歌っていただけだし、音楽には興味ない。よく聞くと言ったらアニソンかゲームソングくらいかな。
「やっぱいいや。」
私は断った。
「いつも無理を言って誘ってばっかりだからね。」
「無理やりの間違いだろう。」
真菜さんに不敵に笑った。仕方がない。
私は機械に曲を入れマイクを持ち歌う構えをした。
いれた曲は「葛〇ラプソディー」
最近、アプリで「こ〇亀。」にハマって見まくっていたせいかオープニングの一番だけが脳に定着して覚えている。
たまにはいいか。私はそう思った。真菜さんは祈りするように見つめながら聞いていた。
———————————————————————————————————
帰りの際。
「あー。今日も楽しかったね。」
「はぁ~。あの曲で何度歌ったものか。」
「今度はアン〇ンマンマーチに歌ってね。」
「あぁ、前に遊んだ時のねぇ。」
私の十八番。
姉ちゃんもその曲が得意らしく、誰でもわかる曲を歌っていれば盛り上がるって言ってたから私もそういうことにしたのだ。
たまには姉ちゃん良いこと言うな。と私は少し見直した。
「あ、そうだ。アオイ、ちょっとショッピングモールに行っていい。」
「どうしたの。」
「ちょっと欲しい本買うの忘れていた。」
「まったく仕方がないな。」
こうして私たちはショッピングモールに行くためバス停で待ったのだ。
※
アニメ雑誌を読んで真菜さんの買い物を待っていた。
「お待たせ。よく使っている大学入試問題集があった。」
「んじゃ帰るか。」
私たちはショッピングモールから出て、バスに乗った。
「ねぇ。」
「ん。何?。」
「もう大学のこと考えてるの中学生だよ。」
「あー。これ別に趣味みたいなものよ。大学は行くけど今は考えていない。」
「そうか。」
「まぁ、将来は小学校の先生になりたいと思っているから、今考えてもいいかもね。」
「あー。教え方上手なもんね。」
「あと、子供とか好きだから。」
「子供っぽいのと間違いなんじゃないの。」
真菜さんがちょっと笑った。私も思わず笑った。
「そう。私って子供っぽい?。」
「その楽しそうな顔が証拠だよ。」
私は真菜さんの顔を指をさして言った。真菜さんはちょっと戸惑ってあわてて真顔になった。
「意味ないぞ。今日のカラオケだって、私がボソボソと歌っていたのにノリノリで歌っていたじゃん。」
「だってカラオケって歌うところでしょ。」
「イヤ、そう言うことじゃなく、ホラ、ネットカフェに行った時、ホラー映画で笑っていたじゃないか。特に笑うところないのに。」
「そんなのアオイだって、ニヤニヤしていたじゃないか。」
「それで一日中怖い心霊動画見ていたからな。」
そうだよね。と真菜が言って二人で笑っていた。
まぁ、何故か、怖い動画や感動するシーンは、ちょっと笑みを浮かべてしまう癖がある。
残酷な描写とか好きじゃないのに。真菜も同様だ。
目的地に着いた。
私たちはバスを降りて、歩いて帰っていた。
「そろそろ冬休みになるけど、アオイってクリスマスどう過ごすの。」
「家に引きこもっている。母さんも仕事だし、家にいるのはばあちゃんと姉ちゃんくらいだし。」
「だったらクリスマス、一緒に過ごさない。」
「二階だったら、遊んでもいいよ。って言っても姉ちゃんと、後、うるさいのが一人いたな。」
「うるさいの。」
「いや、なんでもない。真菜の家は。」
「うちはちょっと、家では遊べない。」
「親とかが厳しいだっけ。」
「いや、そんなに厳しくないけど。泊まらせるのはダメらしいって言っていた。」
「仕方ないよね。家の事情じゃ、うちもばあちゃんいるけど。泊まっていいって言うと思うから大丈夫。」
「本当に大丈夫?。家の人とか聞いてみれば。」
「ばあちゃんはともかく、姉ちゃんは言わなくっていいか。」
「なんで?。」
「どんくさいから。」
「分かった。それじゃ、私、こっちだから。」
じゃあ。と私は真菜を見送った。
「んじゃ、家に帰ってばあちゃんに聞くか。」
そして私は歩き始めた。
※
「あ、いいよ。遊んでらっしゃい。」
ばあちゃんは笑顔で受け入れた。
「リビングとか使うのかい。」
「使う。」
「じゃ、私はお母さんの店に行くとするか。」
「いや、そこまでしなくていいよ。」
「どーせ、家にばっかいてもしょうがないからね、お母さんと一緒にホテルに泊まってくるから、それに友達と一緒のほうがいいでしょ。」
「分かった。」
それじゃ。とばあちゃんはそう言って自分の部屋に帰った。
遊ぶことが決まり、一息つこうと二階に登ったら、何やら、姉ちゃんと少女が叫んでいた。
「悪かった。悪かったって、つい魔が差したって言うか。」
「ウソつき、ケーキ買ってくるって言ってたじゃん。」
「お金もあるし、珍しく、ケーキでもおそそわけしようと思っていたら、忘れてしまって。」
「うるさい。もう嫌いなのだ。」
「いて。」
少女は私の膝に蹴り、階段のほうに走って去った。
「おい、邪魔だ、どけ。」
「あ、ごめん。」
「姉ちゃん。あの子とケンカしたのかよ。」
姉ちゃんはしょげながら言った。
「まぁ、そうなんだ。」
「いいじゃないか、うっとうしいのいなくなって。」
「そうなんだけどね。なんか。いなくなるとさびしいって言うか。」
「馬鹿なだけでしょ。」
「お前は嫌っているけど、毎日一緒にいるとさびしくなるもんだよ。」
「あ、そう。まぁそんなことより、クリスマスのとき、友達がくるから姉ちゃんは、その日にどっか行ってくれない。」
「はぁ、私、別に行きたいところないけど。」
「だったら、部屋に引きこもってくれないか。」
「いや、無理だよ。」
「大丈夫だ。飯くらい持ってくるから。」
「そうじゃないって。‥‥なぁ、アオイ、私のこと嫌いなのか。」
「当たり前だろう。そうじゃなかったら、しゃべんねーよ。」
「あー。そうかよ。もうお前とは二度とじゃべらないから。」
不機嫌になり、姉ちゃんは自分の部屋に入り、ドン!。とドアを強く閉めた。
ちょっと言い過ぎた。
そう思ってへこみ私も自分の部屋に帰った。
※
学校———
はぁー。ため息をついた。
謝る機会をのかしてしまった。
私が落ち込んでいると、真菜が来た。
「おはよう。アオイ。」
「おぉ。」
「どうしたの深刻そうな顔をして。」
「あ、いや。」
私は目をそらし、少し考えてから、真菜に聞いてみた。
「ん、なに。」
「ちょっと相談があるけど、昼休みでいい。」
「あ、いいよ。珍しいものね。どちらかと言うと相談される側だと思っていたけど。」
「いつも相談乗っているから、たまにはいいでしょ。」
「まぁね。あ、先生が来た。」
真菜は席に戻り、授業が始まった。
——————————————————————————————
昼休み———
私は真菜さんと机をくっ付けて弁当を食べてた。
「相談って。」
「昨日、姉ちゃんとケンカした。」
「え、あの、仲がいいような姉妹がケンカなんて、雪でも振るんじゃないの。」
「降らねーよ。別に仲良くないし。」
「ツンデレもここまでくるとちょっと引くな。」
「ツンデレじゃねーよ。」
「本題に戻ろうか。それでケンカの仲直りをしたいと。」
「うん。まあー。」
「そうだな。ケンカの原因って何なの。」
「暴言。」
「え?。」
「言い過ぎたってこと。」
「確かに、アオイの言い方きついからな。」
「その前には姉ちゃんと少女がケンカしてたんだ。」
「なんで。」
「話から聞くに、ケーキを買い忘れたって言っていたな。」
「あの少女、幼すぎやしないか。けど、アオイってあの少女こと嫌いじゃなかったっけ。」
アオイはムキになり。
「そうなんだよ。あいつ。バカにしてるようで、腹立つし。」
「まぁ。まぁ。もう仲直りすればいいだろう。たかがトランプで。」
「トランプで。」
アオイは真菜をギロっと睨んだ。
「いや、なんでもない。‥‥・そうだ。今年のクリスマス、お姉ちゃんもご招待しましょう。」
「はぁ。」
「少女も招待して、同時に仲直りさせましょ。」
「そんなこと、やんなくったって。」
「そうもしないと謝る機会逃すでしょ。」
「まぁ、そうなんだけど。‥‥姉ちゃんとかは誰が言えばいいだよ。」
「アオイが言えばいいでしょう。見え張ってないで。」
「分かったよ。」
真菜が弁当を食べ終わり。机を戻した。
めんどくさいな。と私はふてくされて机を戻した。
※
「なぁ、姉ちゃん。」
「ナニ。」
私は、姉ちゃんの部屋に入った。
「その。なんだ。」
「なんだよ。早く言えよ。」
姉ちゃんはゲームをしていた。
「今年のクリスマスのことなんだけど。」
「あー。理沙さんと一緒にネットカフェで繕いでいようと思っている。」
「そのー。理沙さんと一緒でいいから、家にいていいよ。」
「どういう風の吹き回しだ。私が邪魔だから追い出したんじゃないのか。」
「ごめん、私が悪かった。言い過ぎた。お詫びと言っちゃなんだけどと聞いてみたんだ。」
照れながら言った。
「それと少女も一緒に。」
「嫌っていたんじゃないのか。」
「そん時に謝るよ。」
「はーあ、分かった。分かったよ。まったく素直じゃねーよな。少女と理沙さんには私が行ってやるから。」
「うん、お願い。」
アオイは顔真っ赤になって言って、自分の部屋に戻った。
面倒くさい妹持つのも疲れるものだ。
「どっかにいるんだろ。出て来いよ。」
突然、ベットの下からヌルリと出てきた。
「ケーキの件。クリスマスまで待っててやって、アオイと同時にあげるから。」
少女は笑顔になって。
「分かったなのだ。」
とりあえず、こっちは解決した。後はアオイが素直に謝ればいいが。
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