第7話 追試。
私は今、図書室で理沙さんと勉強していた。
何故、勉強しているのかというと。この前、私の甘さで赤点を出しまくって追試を取ってしまって、理沙さんに相談したところ、今日は学級委員の仕事ないから勉強、手伝えるって言っていたので、集中できる図書室でやっていたのだ。
「あーここ違うよ。…よく見たら、一問ずつずれてない。」
「えっ、‥あ、ホントだ。」
「たぶんだけど。前のテストも同じようなことで落ちたんじゃない。」
「そういえば、アオイと答え合わせしていたら、言っていた。ずれてるって。」
「今度から気を付けてね。」
分かった。と私は消しゴムを取って消し、ずれてるところを直した。
こんな単純なミスを気づかなかったのはちょっと恥ずかしい。
「あ、私、ちょっとトイレ。」
理沙さんが席を立ち、私に言いかけ、図書室を後にした。
物静かな図書室。一人で黙々と勉強。なんか飽きてきたなー。私は背を伸ばし、ぼーっとした。
今、図書室にいるのは私と図書委員の女の子。私のクラスにはいなかったな。先輩かな。髪型はストレート、眼鏡をかけている。が何故か顔が見えない。
イヤ、髪の毛で覆いかぶっているっていうわけではなく、何か顔あたりが真っ黒な感じがした。
まぁいいか。と私は席を立って、本棚に寄った。
読みたい本がない。いつも読んでいる怪談本や昔話がない。仕方なくとある本を持って席に座った。
【どうしたら猫を飼えるのか。】
別に猫が飼いたいわけではないが。ふと目にしたから取って読んだ。
しばらく読んでたら来るだろう。そう思った。
だが、一時間くらいたっても理沙さんが来ない。
「理沙さん。遅いな。」
私は少し不安になった。
仕方がなく、図書室に出ようと私はドアまで来て引いたが何故か開かない。
おかしい。
私は図書委員に呼びかけた。
「あの、すいません。なんかドアの調子が悪いんですけど。」
だが、図書委員は微動だにせず本を読んでいた。
「あのー。ドアが壊れているんですけど。」
私はちょっとボリュームを上げて言った。
それでも動かない。
私は恐怖を感じ焦りながら。
「ちょ、ちょっと開けてくれない。お願い。開けて!」
無我夢中に図書委員に呼びかけていた時。
「ごめんなさい。遅くなって…あれ、美希さんどうしたの。」
突然、理沙さんが帰ってきて私は泣きそうになって抱き着いた。
「ちょ、美希さん。ちょっと嬉しいけどここでは‥‥その。」
「あ、いや、だって理沙さんがあんまり来なくって開けようとしたら開かないし。あそこにいる図書委員の子だって返事もしない。」
「図書委員?。委員の人たちはみな帰って、私が先生に頼んで鍵もらったって入るときに言ったよ。」
「へぇ。」
「それに今日は午前の授業だけで部活も委員会も休みだよ。」
「それじゃあの子は一体。」
私はあの子がいた風へ振り向いたが、もう誰もいなかった。
「まぁいいわ。先生の手伝いで三十分くらい、遅くなったから今日は帰りましょう。」
「三十分。一時間くらいじゃないの。」
「そんなことないよ。確かに時間かかったけどスマホ見た時には足ってなかったよ。」
「そんな。」
そんなことって、私のほうの時間と理沙さんが感じた時間帯がちがうのになんだか背筋がゾッとした。
「は、早く帰ろう。」
「それもそうね。」
私たちは、勉強ノートを鞄にしまってそそくさと図書室を出た。
————のちに分かったことだが、先ほどのネコの本は図書室から消えていたのだった。
※
日曜日——
今日は家でアオイに教えられながら勉強していた。
「おい、そこ違うよ。…まったく教えてもらっていないところをなんで姉ちゃんに教えているんだよ。」
「良いだろう。別に、私より頭いいから、この問題くらいわかるっと思っていたから。」
「まぁ、頭いいのは認める。———ホラ、さっさとやれ、私はマンガ読んでるから、分からないところあったら呼んで。」
なんか腹立つ。私はそう思った。
少したって、座りっぱなしだったので背筋を伸ばした時。
階段から上がってくる音がした。けど、私たちは分かっているので驚きもせずに無視してた。
ドアをガチャガチャし始めた。
「ねぇ、お姉ちゃん。ここにいるでしょ。開けてよ。」
怪談やホラー映画とかでよくある光景をやっていた。
それでも無視してた。
「開けてなのだ。」
いつも、自分で勝手に開けるくせに。
「開けてなのだ。」
「開けてなのだ。」
何度も言ってきて私はちょっとおかしくなりそうだ。
アオイのほうは何事もないようにマンガを読んでいた。
「なぁ。」
「ん。」
「あの子、気にならないの。」
「気になってどうするの。どーせ強制的に遊ばさせるからほっとけばいいでしょ。」
「それはそうだが、苦しくないの。」
「少しね。だが私はあいつと遊ぶのはごめんだ。」
確かにな。と私はアオイの言っていることに一理あるので一緒に無視し続けた。
「開けてなのだ。」
一時間くらいたってまだ少女はドアから開けようとはしない。
「な、トイレに行きたいけど。」
「我慢しろ。」
「いや、限界に達しているんだけど。」
「部屋に入ってきたら終わりだぞ」
「だったらアオイも出ればいいじゃん。」
「トイレに行けってことか。」
「ちげーよ。下に降りればいいってことだよ。そうすれば部屋に入ってこないし、入っても誰もいないから、あきらめるだろう。」
「姉ちゃんにしては頭さえてるな。それもそうだな。」
アオイは私の意見を飲み。私たちは立ち上がり一緒にドアの前まで来た。
「行くぞ。」
「おぉ。」
「「1、2、3!」」
私がドアノブをつかみ、そして一気にドアを開けた。
その直後、いなくなって声もしなくなった。
私はすかさずトイレに行き、アオイは下で紅茶でひと息ついていた。
———トイレから出た後、私はアオイの部屋に戻って見たが。
「アレ、誰もいない。」
仕方がないので部屋で待ってようとした。
「おい!、やめろ。」
下からアオイの叫び声が聞こえた。
私は降りて、リビングを見ると、少女がアオイの頭をつかんで顔を引っ張っていたのだ。
「やめろ、髪の毛も引っ張るな。痛い。痛い。」
「だったら、遊んでなのだ。」
「嫌に決まっているだろう。だいだい遊ぶこと以外ないのか。」
「無い。のだー。」
「あ、姉ちゃん、この子何とかしろ。うっとしったらありゃしない。」
アオイが言ってきた。
けど、私から見たら楽しそうな雰囲気をしているよ。仲良くなったんだな。
「私、アオイの部屋で待っているから、遊び終わったら来いよ。」
そして二階に戻ったのであった。
おい、ちょっと待って。とアオイが言ってきたけど、日頃の行いが悪いから自業自得だ。無視。無視。
※
ようやく声がやんだ。終わったみたいだな。誰かが二階に登ってきた。
アオイだ——。髪がぐじゃぐじゃで今まで寝ていたかのようだった。
「それじゃ、勉強はじめるか。」
私はマンガを読んでダラダラしてたのをやめ、お互い机を向き合って始めた。
序盤から生き詰まってしまった。
「アオイ。これなんて言うんだっけ。」
「あぁ、あ、それ
「じゃ、これは。」
「
「じゃ、これ。」
「
「はぁ、別に何もないよ。偶然だよ。」
「ホントか。…もしかして誰が好きな人いるじゃないのか。」
「はぁ、いるわけないでしょ。」
顔真っ赤になって言った。それでもアオイはジーっと見て。
「いるんでしょ。男、女。」
普段ならここであきらめがつくのに。仕方がない。私もアオイの顔をジーっと睨みつけた。
沈黙が続くとようやく降参したのか。アオイが言ってきた。
「まぁ、いいか。次、分からないところあるの。」
「英語かな。せめてギリギリまで入れるくらい欲しいわ。」
「姉ちゃん。ごめん。私も英語、苦手、赤点取らない程度でやっていたから。教えられるほどじゃない。」
「それじゃ、英語はがむしゃらでやっていくか。」
「じゃ、歴史でもやるか。」
「そうだな。」
なので今度は社会を始めた。
「なぁ、杉田玄白って何やった人だっけ。?」
「はぁ、解体新書だろ。」
「あ、そうだ。」
「死体から、心臓とか肝臓とかを抉って切って調べていくってそれで覚えておいた方がいいよ。」
「お前、さらっとえぐいことを普通にしゃベるなよ。」
次は理科だ。
「元素はどうやって覚えたほうがいいの。」
「知らん。」
「知らねーのかよ。」
「そこの教科書に載っている元素、全部覚えればいいじゃね。」
「無理に決まってるだろ。」
「無理やりでも入れないと何出るか分かんねーだろ。無駄に打ってればあたるかの世にすればいいんだよ。」
「そんなもんでいいのかよ。」
数学のほうは、アオイが確率や図形をちょっと覚えておいて計算のほうですべて当てればいい。と計算式のほうを夜遅くまでやり、勉強は終わった。
「なんとか終わったな。後は追試で点とればいいだけだ。」
「姉ちゃんは物忘れ激しいからな。また追試取ったら、無駄になるからその時は教えないから。」
「分かった。分かった。——わぁ~あ。疲れたから。もう寝るわ。」
「寝たら忘れるってことないでしょうね。」
「その時はアオイ、よろしく。」
はぁー。とアオイはため息を出しながら下に降りて行った。
まぁ、そんなことはないから、私は自分の部屋に帰っていった。
※
「はぁ、やっと終わった。」
なんとかギリギリで間逃れた。私は学校内で売っている自販機でサイダーを買って一息ついていた。
「終わったのか。」
厄介な奴な出てきた。
あー。終わったよ。と私はサイダー飲みながら言った。
「何点だったのだ。」
「現代文、42点。漢字50点。数学45点。科学58点。社会60点。で肝心の英語は30点。何とかいけた。」
「よかったじゃん。」
少女は、へらへらしながら言った。なんか腹立つ。
私はサイダーをゴミ箱に捨てて、学校から出て帰った。
それとついでに、少女も一緒についてきた。
「今日は、どっかに遊ばないのか。」
「今日はいいかな。帰ってダラダラしたい。後、おやつ、ホットケーキらしい。アオイが作った奴。」
「んじゃ、帰るのだ。」
「そうだな。」
そう言って私たちは急いで家に帰ったのだ。
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夕食後。私はアオイの部屋で、マンガ読んでいた。
「なーんだ。間逃れたのかよ。」
なんかがっかりしているアオイ。
「何、また赤点取ってほしかったの。」
「そうだね。そのまま留年すればいいと思って。」
「そうなるとアオイと一緒のクラスになるけど。」
「だいじょうぶ。姉ちゃんと同じ学校には入らないから。」
「あ、そう。まぁ、せいぜい頑張れ。」
「うるせー。」
アオイはわたしを軽く蹴って勉強をし始めた。
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