少女と私たちの日常生活
倉ぼっこ
第1話 出会い。
これは私が家に帰るときのことだった。
私は座席に座ってぼーっとしていた。授業ダルかったな。まぁ、家に着いたらゴロゴロしてればいいけど。私は、今何時なのか。と思い出しスマホを探した。
あ、そういえば家に置いてそのままにしてたんだ。使う必要なかったから忘れたよ。
その時、誰かの視線がして周りを見た。帰宅時間だから多少ひとがいっぱいいたが誰でもなかった。気のせいか。
家に向かって行った。その途中、また視線がしたので振り向いたが。
誰もいなかった。
「まさかストーカーじゃないよね。」
怖くなってきたので私は全速力で帰った。悲鳴をあげそうだったけど周りに迷惑かけたくないので我慢した。
家に着いて中に入り、玄関のドアを閉めて、ドアスコープを見たがやっぱりいなかった。
ホッとした。安心して部屋のほうに向かった。
別に散らかってるほどじゃないけど、服とかが無造作に床とかイスに置いてありマンガとかも積まれているだけ、プリントとかも何年前のか分からないけど。
私はあまり気にしないタイプだ。ベットに横になってゴロゴロし始めた。だんだん眠くなりそうなときだ。
「少しは片づけるがいいのだ。」
えー。やだ。
面倒くさい。と声がした方に振り向いたが、誰もいなかった。
おかしい。
「ただいま。」
ちょうど妹が帰ってきた。だが、妹の声じゃなかった。
だったら誰の声なんだ。
二階に登ってくる音がしたので話しかけてみた。
「ねぇ。今帰ってきたよね。ずっと家にいたとかじゃないよね。」
「はぁ、頭大丈夫か、バカな姉を持って少しは落胆したが、ここまでバカだとは思わなかったよ。」
私は妹の罵声を聞いてムッとなり反論した。
「なぁ。少しは言葉使い気をつけろよ。私ならともかく、友達とか、いろんな人に嫌われるよ。」
「大丈夫。私は姉ちゃんにしか言っていないし、姉ちゃんと違って知り合いや友達くらいいるよ。そんなダラダラ、ゴロゴロ、ブクブク太ってないで、少しは勉強して空っぽの脳みそを詰めて死ねばいいじゃない。」
本当に最低の妹だ。死ねばいい。は言い過ぎだろうと私が、一人でブツブツ言っていると、妹がため息出しながら、とりあえず話だけでも聞いてやるよ。と言った。
「まぁ、その、家に帰ってきて横になっていた時に誰かの声で言われたんだよ。」
「なんて。」
「片付けろって。」
そりゃ、あんなゴミ屋敷。私でも言っているよ。と妹はニヤニヤしながら言った。片づけない私が悪いけどなんか腹立つ。
「とにかく言われて気づいたんだが。今日誰もいないよなと思った瞬間に帰ってきたから聞いてみたけど。」
「まぁ、お母さんは仕事だし、婆ちゃんは知り合いと一緒に旅行に行ったるとなると、気のせいじゃないの。」
「本当だよ。確かに言われた。アオイ知らない。」
知るか。と妹に一喝されてしまった。
「もしも私だったら、最初にドアを蹴って、姉ちゃんに蹴りいれてる所だよ。」
この暴力妹め、実の姉にやるのかよ。まぁいいか。
「そうだよね。ごめん。ごめん。たぶん私の勘違いだと思うから。」
「姉ちゃん。気持ち悪いだよ。いつも一人で人形と遊んでいるから、頭おかしくなるからほかでやれよ。」
そう言ったら妹はドアを強く閉めた。なんでそんなこと知ってんだよ。あんま声出してないのに。
私は恥ずかしい所を知られ、顔真っ赤になってるその時。
タッタッタッタ足音がした。
振り返ると誰もいない。
まさかついてきたそう思ったらゾッとした。
私は自分の部屋に入り、布団をかぶってブルブル震えた。
勘違いじゃなかった。この家には知らない誰かがいるそう思った。
※
次の日の朝。
「本当に蹴ることないだろ。あのバカ妹。」
寝起きの悪い私はいつも二度寝して遅刻ギリギリで起きるから、たまに妹が起こしに来るけど、起こし方がひどく、本気で腹のほうに向けて足で踏みつけ、おまけに蹴りも入れるから痛くてしょうがないし、めちゃくちゃ笑顔でやるからたちが悪い。
今も腹のほうがズキズキしながら歩いてたら、学校に着いた。
下駄箱でシューズに履き替えている時に誰かの視線がした
その方向に振り向いたら、正体が見えた。
髪はショートヘア。
ワンピースを着ていて柄は水玉模様。
なんか昔の少女っぽい感じがした。
けど、靴だけがスニーカーだったのがちょっと変だった。
何やら少女は私のほうを見ている。
私もジーっと見てると、少女は走って校門前に消えって行った。
いつも視線がした原因がわかるとちょっとホッとした。
席に座り、ふと窓の方見たら少女が校門前に立っていた。
私の教室のほうを見ている。
ふと何か違和感がした。
まだ登校時間だから生徒や先生が挨拶しているけど、誰も少女を見ようとも、気づいてもいないかのように学校に入っていく。
幽霊なのは間違いない。そう思った。悪霊ではないが関わると良くないこととか起きそうだな。
私は窓を見ずに過ごそうと決意し我慢した。
私の席はよくアニメとかで主人公が座っている窓際の一番後ろ、じゃなくその前。
四番目の席だから、ちょくちょく窓を見てしまう。がまん。がまん。
昼休みになった時にふと、見てみるとさすがにいなくなった。
怖かった。
ひと息ついて、弁当を出しているとある生徒に呼ばれた。
「あの、美希さん、今日の提出する課題もらいに来たけど。」
彼女は小林理沙さん。学級委員長で、頭がよく、スタイルがめちゃくちゃ良い。おまけにかわいいからみんなの憧れの存在である。
私も理沙さんは好きな方で若干緊張してしまう。
まぁ、ほどんどクラスメイトと話さないし、話しても会話が分からないからいいけど。
プリントを渡したときに何気に廊下のほうを見たらドアの後ろに少女が顔をひょいっと出して見てる。
私は、一瞬、目をこすって見たがいなくなっていた。ゾッとしたが、たぶん気のせいだろうとそう思うことにした。
※
「もう限界だ。」
「何が。」
妹の部屋で相談を受けている。正直嫌だった。笑うと思ったが真剣に話聞いてくれるから、案外優しい。
「何、ブツブツ言ってるだよ。どうせ気持ち悪いこと考えてるのだろう。さっさと要件言って消えてちょうだい。」
ひど、まぁいいや。と私は妹に文句の言うのをやめた。
「一週間前くらいに別の声がしたとか言ったことあるじゃない。」
「あぁ、人が受験前で忙しい時なのにのんきにボケーっと幻覚見たと。イヤ、聞いたんのだから幻聴か。」
「もう慣れたよ。そういうの。話戻すけど、私も空耳かなと思ったんだけどね。けど最近になって、頻繫に声がするようになって、視線も毎日感じるから不安ばかりだよ。」
「そうなのか、姉ちゃんも不安なところがあるんだな。」
私がモンスターか何かだと思っていたのか。とツッコミながら言った。
「まぁ、さすがにきついのは分かる。それだったら私じゃなくてもお母さんとかに相談すればいいじゃん。」
「話しても信じてもらえないし、アオイは慣れてるから。」
「はぁ、ドМかよ。だったら徹底的に完膚なきまで叩きのめしてやるからな。」
———おい、やめろよ。と私はちょっとおびえながら言った。
「霊感とかないのにこういうのは初めてなんだよな。」
「霊感うんぬんの問題じゃないと思うけど、例えば踏切の前に花束があってなんとなく手を合わしたとか、変な場所にお地蔵さんが合ってただ通り過ぎただけで気に入られたとか、姉ちゃん知らない間に憑りつかれたんだよ。」
「そうなのかな。けど言われたことはやっていないし、初めて感じたの電車だし、しかも多少ひとが乗っていた時間帯だからな。お祓いした方がいいのかな。」
「きついなら祓った方が良いと思うし、姉ちゃん次第でしょ。別に悪さとかしてないから問題ないと思うけどね。」
そうなのか。と私は首を傾げた。なんか納得いかない。
※
相談を終え、風呂に入りにいった。私が最後になるが。
服を脱いでいる途中。妹が遠慮なく入ってきて、私のほうを見るなりゴミを見るような見をしていた。
「歯を磨きに来ただけだよ。別にそんなたるんだ体見たかねーよ。」
いつものことだ。気にするな。
そう自分に言わせて風呂場に入った。湯につかっていると香りがした。これは妹が気に入っている森の入浴剤の香りなので気持ちよかった。
その瞬間、ドアのほうから人影が出ていた。何故かユラユラ動いていた。
「な、なんだよ。歯磨いたら行けよ。」
返事がなかった。
また脅かそうとしているのか。
イヤ、妹だったら私をおどかしても何も得しないと言っていたな。
だんだん姿がはっきりして、私はゾッとした。
白い服を着ていて子供くらいの身長、あの子だ。
ついてきたのか。
目をこすりもう一度見るといなくなっていた。
背筋が寒い。私は体と頭を洗って、早めに風呂から上がった。
※
夢を見ていた。深夜、静かな私の部屋で何かを探している少女が出てきた。
体が動かそうとしたが、動けない。金縛り状態ってやつか。
お目当てのものが見つかったのか、少女は漁るのをやめ、それを持ってやり始めた。ゲーム機だ。
ニンテンドースイッチライト。
ソフトは何を指してたんだっけ、忘れてしまった。
少女は指でボタンを押しまくっていた。
電源が分からないだろうか。
ようやく見つけてやり始めた。
笑顔でやっているので私はなんだか癒された。
何故だろう。ずっと見続けられる。
30分くらいたっただろうか。
少女はゲームに飽き、ゴロゴロし始めた。
その時、目が合ってしまった。
少女がゆっくりと私のほうに向かってきた。
来るな。来るな。来るな。
そう思うが願いはかなわず私の顔まできて。
「今度はきみと遊びたいのだ。」
※
「気が付いたら朝になっていたんだよ。」
「へぇー。」
私はまた妹に相談を受けていた。
今日は二人とも学校が休みで、妹は受験勉強に忙しく常にピリピリしている。
「気分転換に話を聞いたけど。すがたかたちが真っ黒で記憶から思い出せないって。」
「なんか私呪われているのかな。」
「まぁ、よくある怖い話の典型例みたいなもんだし、人の顔も覚えてられないからね。」
「別に関係ないじゃん。暗くて見えなかっただけだよ。」
そうだね。友達いないもんね。———と妹がニヤニヤしながら言った。やっぱり嫌な奴だな。
「それはそうとして、私もいちいち部屋に入ってくるから勉強ができやしない。お祓いとか行けばいいじゃん。」
「けど、危害とか加えてこないし、少女がいると心が癒されてくろんだ。」
「キモチワル、人形遊びやりすぎて頭おかしくなったのか。」
「頭おかしくなっていないし、それに馬鹿にしているけど案外楽しいよ。今度一緒にやるか。」
やらないよ。と妹がわたしの冗談を受け、突っ込んできた。
いつもやられているから、ざまぁみろってんだ。
「だったらこのままでいいの。毎日視線を感じていたり、たまに見えたりして精神まいっちゃても知らないから。」
それは困るわ。どうしよう。私はそう言ったらワタワタし始めた。
「あ、そうだ。言い忘れたけど、今日一緒に寝てくれないか。」
「はぁぁ、やだよ。」
妹が汚物を見るような目で私のほうへ罵倒を放った。
「お願い。後で好きなもの、買ってやるから。」
「いったな。欲しい本あるからそれでいいな。たぶん高いよ。」
「おい、高いのはやめろよ。」
そういうことで、私は妹と一緒に寝ることになった。
「なぁ、もう寝たか。」
「何、修学旅行に言うセリフを堂々と言っているんだ。気持ち悪い。」
妹がそういうと足で私の頭を踏みつけた。
強くはやっていないけどちょっと息苦しい。
「わかったよ。もうしゃべらないから足どけて。」
仕方がないので、私は目をつぶって寝るのを待った。
妹の部屋は一般的な女子中学生の部屋とか違い、炭の香りがして、《和》の雰囲気があるものが好きなたちだ。私も好きだけど。
なかなか寝付けない。
私は一瞬だけ目を開けたと同時に。体が動かなくなった。
「金縛りだ。」
私はしゃべろうとしたが思うように口が動かない。
起き上がれもしない。
妹に助けを呼ぼう。とベットのほうを見た。
爆睡していた。
寝相のいいこった。まったく。
ギィィ。とドアが勝手にあいた音がした。
振り向くとドアが閉めたり開いたり繰り返しながらやっていた。
その時には誰もいない。
嫌な汗が出てきた。
私は金縛りが解くまで目をつぶって待っていた。
その一瞬だけ時計を見た。深夜二時。幽霊が活発な時間だった。
※
朝になりようやく怪奇現象が収まった。
私はほとんど眠れず、目にクマができてしまったようだ。
「姉ちゃん。イビキがすごくうるさい。おかげで眠れなかったよ。しかも寝相悪いし、もう二度と一緒に寝ないわ。」
何を勘違いしているのかと私は妹に話しかけた。
「隣で爆睡していたじゃないか。」
「してねーよ。ガーガー。と洗濯機の音みたいでイライラしていたよ。それに寝言も言っていたし。」
「ねごと。」
「少女がとか可愛いなとかとかいろいろ言っていて。完全に頭おかしくなったんじゃないかと。」
「いやいや、私も寝てないよ。寝言も言っていない。」
「嘘つけ。バカ。あーあ。今日、学校だからめっちゃきついよ。まったく。」
そう言いと、妹は顔洗いに部屋から出ていった。
私が見ていた光景と妹がみていた光景が別になっていた。
それじゃ。あれは一体なんだ。と私は背筋がゾッとした。
※
「ねむい。」
昼休みが終わりそうだが、まだ眠気が覚めない。
「だいじょうぶ。」
理沙さんが話しかけてきた。
「あぁ、今日、ちょっと変な夢を見て眠れなかっただけで。」
「体調悪いときは、誰かに言ったほうがいいよ。倒れた時では遅いから。」
その時にチャイムが鳴り、またね。と理沙さんは自分の席に戻っていった。
まぁ、授業中に寝れば大丈夫。そう思った。
※
授業が終わり家に帰っている途中。
今、電車に乗っている。
まだ寝足りない。
目的の駅に着き、改札から出た時に違和感がした。
いつもなら、この時間はサラリーマンや学生とかが歩いているけど、今日は誰もいない。それどころか駅員すらも見つからない。
物静かだった。
こういうときもあるんだな。
私は少し不思議に思ったが家に帰るのが最優先に考えて歩いて行った。
まだ眠い。そう思い、目を一瞬閉じた。
その時、草のにおいがした。足音もじゃりじゃりしていた。
違和感がして私は思わず目を開けて驚愕した。
コンクリートの道路や数えきれないくらいのビルや住宅街がなく、知らない公園に立っていた。だが、ほとんどの器具がさび付いていて動かせるか分からない。
私は周りを見ていたら視線を感じた。
「ねぇ。お姉さん、一緒にあそびたいのだ。」
びっくりして、声がしたほうへ振り向いたら、学校の下駄箱や家でゲームしていた白い水玉模様のワンピースの少女がこちらを見て笑っていた。
困惑したが恐怖を感じなかった。悪い幽霊ではないし遊んでみよかな。
「とりあえず何して遊んだ。」
私は何も考えずに少女に向かって言った。
缶蹴りなのだ。と少女はぴょんぴょん跳ねてどっからか出したのか空き缶を手に持っていた。
「お姉さんが先に鬼をやるのだ。」
そういうと缶を置き、走ってどっかにいなくなった。
勝手にしゃべり、勝手に決められた。私はこういう行動はすごく嫌いだ。
そういえば、なぜ、遊ぼうと思ったんだろう。帰りたい。そう思い出口に向かった。
出口と言った方がいいのだろうか。イヤ、出入口でいいな。
一歩。外へ足を運んだその時だ。 何故か公園に戻っていた。
茫然としていた。
私は振り返り、もう一度公園の外に出たが。また戻った。
困惑してきた。出られないってことか。
どうしよう。どうしよう。と悩んでると、どこからともなく少女が出てきて。
「ボクと一緒に遊ばないと出られないのだよ。」
ニヤニヤしながら私のほうへ向かって言って走ってどっかに消えていった。
笑っている顔が妹に似ていて少しムッとなったが。
そうだ。アオイに連絡して来てくればいいじゃないか。
閉じ込められても私が出られればいいし。日頃の仕返しということで。
私はスマホを探した。おかしい、今日は持ってきたはず。
あ、そういえば、朝、準備して寝ぼけて机に置きっぱなしのままだった。忘れてた。
途方に暮れて私は考えるのをやめて仕方ない。遊ぶか。そう思うようにした。
私はすべり台から探すことにした。隠れる所がそんなにないけど、目に入ったから。
隅々まで探し、いない。と分かって少しひと息ついたときだ。
———カーン。後ろから音がして、振り返ってみたら、少女がいきなり出てきた。
「また鬼なのだ。」
走ってどっかに行ってしまった。
まぁ、最初はこんなもんだろう。だが、いきなり出てくるのはびっくりした。
缶を拾い、もう一度探した。いろんな公園の器具の中や後ろを見たが、どこにもいなかった。
それどころか人の気配がしない。
私はキョロキョロしながらあたりを見ていた時。
———カーン。やられた。それも二度も。
だんだん腹が立ってきて少女のほうを向いた。
また鬼なのだ。と少女は言ってどっかに消えていった。
最初は気にしてなかったが、なんか馬鹿にされてるように見えてきた。
缶を置き、私は探しているフリをしながら、缶の周りをウロチョロしていた。
これでどこから出てくるかがわかるし、走ってくる音も聞こえるだろう。
———何分たったのだろうか。なかなか出てこない。結構粘ったがさすがにつかれてきて、ちょっとあくびをしたとき。
———カーン。しまった。
一瞬、目を離したら少女が出てきて缶を蹴り上げた。
チートすぎるだろうが。
走っている音もなければ、離れた瞬間に現れるのはさすがに無理だろう。
疲れ切った体でブランコに乗ってぼんやりしていた。少し休憩だ。
なんだろうか。田舎になんて行ったことないのに懐かしさが出てきて落ち着く。
小さい頃に行ったのかな。覚えていないけど。
私は昔のことなんて忘れているので、思い出そうとしている時。
手の感触に違和感がした。
恐る恐る見てみると、毛虫がついていた。———ギョっとした。
私は手で毛虫を払いのけ、立ち上がろうとしたら足をつまづいてしまって大いにコケた。
虫は苦手ってわけではないけど都会暮らしに慣れてしまったのだろう。
大げさに驚いてしまった。
「大丈夫なのか。」
少女がいきなり現れ私に向かって言ってきた。
心配しているのか。
「あぁ、ちょっとびっくりしただけだよ。特にケガとかしてないから大丈夫だよ。」
「そうなのか。ならまた鬼、よろしくなのだ。」
またどっからか缶を出して私に渡したら、走ってどっかに行ってしまった。
なんか冷たい。
私は缶を置き、再び探し始めた。すべり台、木の陰、土管っぽい公園器具、トイレやブランコ。にはいないか。ひと息ついて缶のほうに向こうとした。その時。
———カーン。
これで何度目だよ。もう限界に達した。
「もう出て来いよ。もう満足だろう。」
私はどこにいるか分からない少女に向けて言ってみた。
人の気配がする。その方向に振り向いた。少女だ。
顔をひょいっと出して寂しそうな視線をして私のほうを見ている。
なんて可愛い顔してまったく。じゃなくて帰りたい。帰りたいだからね。
少女くらいの目線までしゃがみ、少し考えてから。
「明日も来てやる。だからこれで最後でいい。」
——ウソをついた。
いいのだ。と少女は笑顔になり隠れ始めた。
まぁ、所詮は子供。前からそうすればよかった。
私は缶を置き、踏みぱっなしで待っていた。
卑怯だと思うが相手はいきなり出てくる無敵の少女だからおあいこだろう。
——10分経過。一向に出てこない。
まさか、離れないと現れないのか。そう思い、私は徐々に離した。
人の気配がした。振り返ると少女が隠れようと場所を探す姿を見つけた。
そして目が合った。
「あぁ、見っけ。」
私は情けない声を出して振り返って走った。
運動は得意じゃないけど距離はあるし、一瞬で来ていない。何故か自信があった。
このまま踏めばいけそうと思った。
だがこの光景を見て私は蹴ることをあきらめた。
少女がものすごい速さ。スポーツ選手くらいな走りをして、私を追い抜いてしまった。
———カーン。
これで終わった。全敗だけど別に悲しくなかった。
「じゃ、帰るね。」
そして私は出入口に向かった。
「お姉さん。一緒に遊んでありがとうなのだ。また一緒に遊ぼうなのだ。」
またな。と私は手を振り、公園の外に出た。
もう二度と来ないと思うけど。
※
目が覚めた時にはベットに入っていた。寝ていたのかパジャマに着替えていた。
公園から出た後のことは記憶にない。
まぁ、怖い話によくあるけど。
ドアを開け、部屋を出たら、妹も自分の部屋から出てきて。
振り向いて私の足のほうを見て言った。
「——姉ちゃん。そこにいる女の子は誰。」
私は言われた方に向いてみたら少女が恥ずかしそうに押しにしがみついてジーっと妹を見ていた。
これが私と少女の出会いだった。
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