第11話 曇る太陽

学校が始まって2ヶ月経って少しずつ東京の生活にも、学校生活にも慣れてきた。


ひーちゃんとは久々に再会した反動からかつい甘えてしまう。

でもいつも隣には、なおちゃんがいるからか思いっきり甘やかしてくれない。

「さびしいなぁ」

ついこぼしてしまう。


「どうしたの?姫王子」

なおちゃんが話しかけてくる。ひーちゃんは中間テストの補修に

かかっているため二人っきりだ。


「その呼び方やめてよ」

「いいじゃん、似合ってるよ」

入学式の日にひーちゃんに甘えてる姿を見られてからこんな調子だ、失礼なやつだ。姫はひーちゃんのほうが似合ってるでしょ、姫のひーちゃん。ちょっといいかも。


「いまくだらないこと考えたでしょ」

「な、なんのこと?」

思わず図星をつかれれてビビってしまう。


「ほんと似た者同士よね、あんたたち」

「そう?」

ひーちゃんに似てると言われて思わずうれしくなってしまう。


「うん、今みたいなところなんか特にそっくりよ」

「?どういうところよ、教えて」

「いやよ、自分で気づきなさい」

言いたいことだけ言って、なおちゃんはそっぽを向いてしまう。

問い詰めようとしたその時。


「おわったよー!!早く帰ろうよー!」

私のお姫様が帰ってきた。


「うん、早く帰ろう、そしてたくさん甘やかして」

「これ以上甘やかされんのかよ、ブラックコーヒーがほしくなるわ」

私のお願いをなおちゃんが冷やかす


「う、うんいいよ」

ひーちゃんの返事はすこし暗い声だった。


「大丈夫?何かあった?疲れてるならおんぶで運ぼうか?」

「無理やりお姫様抱っこしろよ」「ちょっと///」

「それいいね」「ひゃっ///」

なおちゃんの提案どおりひーちゃんをお姫様抱っこする。

「///ちょっと!おろして!重いでしょ!おろしなさい!///」

「ううん、全然重くないよ、むしろ軽すぎて飛んで行っちゃいそう」

抵抗するひーちゃんを黙らせる。


「もう他所でやってくれよ」

元凶のなおちゃんが苦言を呈すけどそんなこと知らない。


「なにか困ったらすぐに言ってね。絶対助けるから」

絶対にひーちゃんは私が守る。3年間離れていたんだ、これくらい良いだろう。


「う、うん!絶対にすぐに言うね!」

そういうひーちゃんの声はどこか無理して明るくいているようだった。

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