【完結短編】異世界最強魔王、現実世界を蹂躙……出来ませんでした!!
Bonzaebon
第1話 未知との遭遇!?
「我が名は魔王なり!この世を統べる覇王なり!!」
ある日の夕方、愛犬タニシの散歩中、変なやつを見かけた。そいつは河川敷の堤防部分に仁王立ちしていた。近所の小学生だろうか?小学五、六年生ぐらいに見える。ごっこ遊びにしては年齢が高すぎる気がする。衣装のクオリティは妙に高かった。コスプレイヤーだろうか?でも、こんなキャラクターがいたような記憶はない。それとも、早熟の厨二病患者かな?
「おい!そこの女!我にひれ伏せ!さもなくば、貴様の想像できないような、恐怖を味合わせてやろう!」
やばい!からまれた。絶対、この手のやつには関わりたくないのに。早いとこ、この場を立ち去りたかったが、タニシがそいつに向かってけたたましく吠えている。
「生意気な犬め!我に楯突くつもりか!成敗してくれるわ!」
すると突然、堤防を滑り降りてきたそいつはタニシに対して殴りかかろうとする。慌ててリードを引きタニシを手元へ引き寄せる。
「ちょ、アンタ!何してんの!動物をいじめたらアカン!」
「うるさい!貴様も楯突くつもりだな!まずは犬!手始めに貴様からだ!」
再び、タニシに殴りかかってきた。今度はリードを引いても間に合いそうにない。しかし、タニシへの攻撃ははずれた。空振りしたそのままの体勢のところへ、タニシがそいつの手首に噛み付いた。最悪の展開だ!
「ぎゃあああ!痛いっ!」
タニシは噛み付いた手首から離れ、牙を見せて唸っている。相手は大げさに痛がっているが、タニシは甘噛み程度にしたのかもしれない。
「おのれ!よくも我に楯突いたなあ!」
「自業自得や!アンタが悪いんやで!動物虐待反対!」
そいつは悪びれることもなく、噛まれたことに対して、怒りで体を震わせていた。
「今日のところはこれぐらいにしておいてやる。憶えておれ!」
言うなり、そいつはそそくさと立ち去っていった。何だったんだろう。
「完全に小悪党やん。」
呆れるほかなかった。突然発生した珍事に頭が追いつかない。まるでどこかで見たコントのようだった。
「アカン、アカン!気持ちを切り替えな。」
気持ちを切り替え自宅への帰路についた。
このときは想像していなかった。再び、あの非日常に遭遇することになることを。
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