北青連絡大橋
「これは……」
「ん。橋だね」
何の変わり映えもなく旅を続けていくと私達は大きな橋を見つけた。ここからでも分かるけど向こうの方が霞んでいて見えない。かなり長いものだと分かる。
「ん……潮の匂い」
「ってことはこの下に見える水は海?」
「たぶん」
海。
今までは陸ばかりだったから少し新鮮さがあるかもしれない。湖とかもあったけどね。それでも海を見たのは、世界が終わった後ではこれが初めてかな?
「ずっと道路は続いているように見えるけど」
対向4車線の道路で出来た橋だ。下に広がるのが海……となるとこの橋はどこに繋がっているのか? ってなる訳だけど。
「掠れ切っているけど……辛うじて読めそうだね」
「ん。……北青連絡大橋」
「あれ聞いたことあるわね、その名前」
「ん、同じく」
だいぶ有名な橋だったような……あ。
そこで名前に注目する。
「北と青?」
「……あ」
そこで記憶が蘇る。
北青連絡大橋……別称ノースブルーブリッジ……北海道と青森を繋ぐ全長20キロを超える大きな橋だ。それはつまり……この橋があるってことは……。
「私達北海道に居たみたいね」
「うん。そうだね」
まさか北海道とは。
でもよくよく考えたら私の生まれは北海道だしおかしい話ではないか。
「ルナってどこ出身だっけ」
「ん。茨城」
「茨城県かー」
茨城と言えば北海道とはフェリーで繋がっているなぁ。いや茨城空港と新千歳空港も繋がっているか。何かそういった繋がりがある県だね。
「なんで北海道に?」
「分からない」
「あ、そうなの」
いや……世界が滅ぶとかいうことが起きているのだからどっかに飛ばされたっていう可能性も否定はできないか。神様と呼ばれる存在が居るのであればどこかに飛ばすなんてことも容易いか。
「……そう考えるとこの世界の人達は消えたではなく、何処か別の世界に飛ばされた、なんてこともありえなくはないね」
「ファンタジー読みすぎ」
「いやそこまで読んでいた訳ではないんだけどね」
嫌いではないけどね、ファンタジーは。
「でも……世界がこうして終わっているからスフィアの言うこともあり得るかも」
まあ、そんなことを今考えても意味がないけどもね。
「この橋、最後まで繋がっていると思う?」
「どうだろ?」
現在位置が分かったっていうのはかなり大きい。
まだ日本の北端に居たってことは、先はかなり長そうだねえ。燃料とかはまだまだあるし、食料関係も問題はない。どれくらい長いかは分からないけどこの橋くらいな抜けられるだろう。
ただ、さっきも言ったようにこの橋が最後まで繋がっているとは確信できない訳で。
「行ってみれば分かる」
「まあそうね」
繋がってなかったら引き返せばいいだけだし。
「じゃあ行ってみよー」
「ん」
ということでキャンピングカーに乗り込む。
一応双眼鏡で向こうの方が見えないか確認してみたけど霧がかかっていて結局は見れずだった。さっきまではそんな霧はかかってなかった気がするんだけどね。
「ちゃんとライトを付けましょう、なんてね」
「ん、交通ルール大事」
ルールを定めた人も既に居ないんだけどね。
そんな訳でアクセルを踏み、キャンピングカーを発車させる。運転席は私で助手席はルナといういつもの構図だ。基地で拝借した武器も運転席近くに念の為置いてある。
「繋がっていたらルナの故郷にも帰れるかもね」
「ん。どの道人は居なくと思うけどね」
「それはそうだね」
世界から人が消えたのだと思う。
いや世界って言い切るのは出来ないかもしれないけど。海外には実は人が居ましたー的な展開があるかもしれない。……いや流石にないか。
もし橋が繋がっていればついに私達は今までの場所ではなく別の大陸……いや大陸ではないか。本州に入れる訳だ。
まあ橋のおかげで今回が北海道だって言うことは分かったけど、この先また見失いそうだよね。
「逆方向の可能性もあるのか」
「青森側から北海道側に行く可能性もあるね」
確かに考えてみると、今まで居た場所が本州でこれを渡ったら北海道、な展開もあるな。
「行ってからのお楽しみ」
「うん」
そのまま私達は橋へと入るのだった。
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お久しぶりです。
一応生きては居ます……いつもありがとうございます。
色々と忙しいのもあってまた離れていましたが、ようやく時間が少し出来そうなのでのんびり復帰できたらと思います。
不定期かつ連絡途絶とか普通にあると思いますが……生暖かい目で見て下さると幸いです。
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