補給は大事


「あ、これもらっていこう」


 町の中を走りつつ、時折お店だったような場所に寄り道をして資源というか資材というか……とりあえず、そう言った使えそうなものを拝借していく。

 返す人はもう居ないから拝借というのはちょっと違うのかもしれないわね。日用品やら生理用品やら……大事なものは回収できるだけしておきたい。応急処置用に消毒液や脱脂綿、絆創膏等の医療関係品も使えそうなものは回収しておきたい。


 薬とかはかなり長い間使えるからね。使用期限が切れそうなやつは除外してまだ持ちそうなものを優先的に回収してリュックの中に入れる。ルナも流石にポーチでは心許ないからか、大き目のバッグを持ってきているようだ。

 まあリュックもバッグも一部拝借した物もあるけど、自分用というか自分のもあるのでそれを使っているけれども。


 あとは缶詰関係だろうか。非常食にはもってこいだし、何より持つものなら3年以上持つ代物もある。ちゃんと保管しておけば賞味期限が切れても食べられるって何かで聞いた気がする。ただ、味の保証はないらしいけどね。


「ワインももらっておこうかな」


 賞味期限は設定されていないワイン。まあ、ワインと言えば何十年何百年という業物もある訳だし、当然と言えば当然だろうか。

 飲み過ぎはよくないけど時々飲むくらいならいいでしょうしね。水だけって言うのも飽きてきちゃうし。

 ジュースについてはペットボトルはやめている。大丈夫そうな缶ジュース辺りを回収している感じだ。やっぱり缶は最強なのよ。


 ま、限度があるだろうけどさ。


「んー他は野ざらしになってるから危ないかな? 大丈夫そうなものはこのくらいかしらね」


 これも後で確認するけれど、大丈夫そうな物は回収する。確認と言っても実際開けて飲もうとした時にチェックするだけなのだけど。


「このくらいかな。思ったより回収できた気がする」


 そこそこ重くなったリュックを確認しながらそう思う。


「ルナは終わってるかな?」


 ひとまず、回収したやつをキャンピングカーの中に設置されているちょっとだけ大きめな冷蔵庫の中に入れるためにキャンピングカーの方に戻ることにした。



◇◇



「これで結構持つかな」

「ん。今現在でも十分貯蓄はある」

「それはそうだね。まあ、私達2人しか居ないものね」

「そう」


 2人で……しかも一応、私もルナも女の子である。女の子2人の食べる量なんて高が知れているので意外と消費は少ないのだ。私もルナも比較的小食というのもある。


「あとは……ガソリンスタンド探そうか」

「ん……戻ってくる途中でそれっぽいの見かけた」

「え、本当?」

「ん」


 ルナが嘘つくことはないから聞き返すまでもないけども。

 ガソリンスタンドも早々に見つけられたのはいいかもしれないわね。他の町も意外とガソリンスタンドがあるイメージだったんだけど、ほぼ全壊していたりとか零れていたりとかしている場所も少なくなかったから意外とないのよね。


「それは朗報! 行ってみようかしらね」

「ん……撫でないで」

「えー? という割には気持ち良さそうな顔をするわね」

「……」


 優しく撫でるとルナは気持ち良さそうに目を細めているのが丸分かりである。あ、ちょっとだけ顔が赤くなってる。


「……別に」

「照れなくていいのに。……それでガソリンスタンドはどっちの方向だった?」

「あっち」


 指を差して方角を教えてくれるルナ。

 まだ安心はできないけど……さっきも言ったようにガソリンスタンド自体があってもそこで補給できるかは別問題になる。溢れているというか零れている場所とかだと流石に使いたくないしね。


「あっちね。じゃあ行きましょ」

「ん」


 運転席と助手席、それぞれに座ってシートベルトをした後、エンジンを始動させてキャンピングカーを走らせるのであった。

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