電気と空と星空と


「おー星が綺麗だねー」

「ん……」


 車の上、一応ちょっとした2階建て構成になっているので、屋根裏部屋みたいな場所がこのキャンピングカーにはあるんだけど、そこで外の星を見ていた。

 ずっと降っていた雨もいつの間にかやみ、星がよく見える空になっている。もちろん、月も見えるけどね。

 ちょっとした屋根裏部屋? には小窓があるのでそこから空を見ることができる。一応、ここでも寝ることは出来るけど、基本的に下のベッドである。


 私達が今居る場所は、花を見ていた場所からそれなりに車を走らせた場所になる。そこそこ走らせたので結構遠いかな? よく分からないけど。


 そこには廃駅と廃線があって、駅舎は木造で結構ボロボロだった。窓ガラスも割れていたりしているけど、中には生活感が感じられる物がいくつかあった。まあどれも使い物にはならなくなっていたけどね。

 廃駅と廃線は既に育った植物に半分は飲み込まれているような状態だ。少し遠くを見ればビルだったような建物が崩れており、苔も生えていたかな。


 話が逸れた。

 昼間はちょっと散策をしていたけど、特に目ぼしいものはなかったかな。自動販売機はあったけど入れるお金がない。何故か自販機自体は稼働していた。

 今思えば、道中でも電気がついていたりついていなかったり、結構あったような気がする。電気が生きている理由は分からないけど……。


「町中ってさ時々、電気ついてたりするよね」

「ん。不思議」

「ルナもそう思う?」

「ん」

「そっかそっか。あれ何処から電気来てるんだろうね?」

「多分、ソーラーパネル、だと思う」

「あー」


 確かに。

 普通に忘れていた。ソーラーパネルという便利な発電機があったよ。太陽の光さえあれば充電できる優れもの。ただ悪天候時とかはあまり充電できないのは一番のデメリットだけど。


「……この車にもあるでしょ」

「うん、あったね……」


 この車には電気の確保として小型のソーラーパネルが搭載されている。他にもサブバッテリーと車載用の発電機もあって結構、家のように過ごせるようになってる。


「電気が通ってるところとないところの差はやっぱりそれなのかな」

「ん……多分? 正直よく分からない」

「まあそうよね」


 不思議だよね。

 人は居ないのに……ソーラーパネルは稼働しているんだなって。因みに道路だった場所にあった信号機とか所々割れていたのもあったけど、ちかちかと点滅していたものもあったし、完全に消えていたものとかもあった。


「これずっと進んでいったら何処に出るのかな」

「分からないけど、最終的には海に出るんじゃない?」

「それもそっか」


 と言っても、今どんな地形になっているか分からないから海に出ない可能性もある。


「南極とかに出たらどうしよっか」

「流石にないと思うけど……その時は引き返した方がいいかも」


 流石にキャンピングカーの暖房をつけても限度があるだろうし潔く引き返す方がいい。下手したら普通に凍死するだろうし。


「船とか用意した方がいいのかな」

「……出来るの?」

「……どうだろうね?」


 或いはこのキャンピングカーを水陸両用車にするか。


「いやそれも無理でしょ」

「……あはは」


 その時はその時。

 船があるんだったらそれに乗るのもいいけど……そもそも船の運転の仕方なんて分からないから駄目だね。


「その時は……ルナと一緒にお墓を決めようか」

「……縁起が悪いこと言わないで」

「でも最終的には、ね」

「そう、だけど」


 どのみち……私達だって不死じゃない。最終的には死ぬだろう。まだ先かもしれないけど、それでも確実にそれは来る。


「でも、まだまだ死ぬつもりはないわよ」

「ん」


 ちょっとだけほっとした顔をするルナ。今のは急過ぎたかもしれない。私も死ぬつもりはないのでまだまだ生きるさ。


「今日はここで寝よっか」

「ん」


 そう言って私が横になると、ルナも横になる。


「……ルナ?」

「手、つないでいい?」

「……いいよ」

「ん。ありがと」


 そんなこともあったが、私とルナはお互いの手を繋ぎそのまま夜空を上に、目をつむるのだった。



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