第6話







「でよぉ」


「…」


「ああ、念話、つかえんだろ。つかえよ」


『シンロになったんダ、キミ』


「…あの街を去る為の大仕事のお陰でな」


『じゃあヒトリでヤれるネ。ゼン必要ないネ』


「ざっけんな、アイツは俺の家族なんだ。家族はいつまでも一緒なんだよっ」


『セッカクふたりダケだったのに…ザンネン』


「ケっ、誤解で振られた奴がよく吼える」


『ウルサイ…ボクは浮気してない…オマエの鼻が知ってダロ』


「知ってっけどよぉ…なんでここ居んの?」


『ゼンが…居なくナッタカラ』


「追っかけてきたってか?俺よりも早くなんて、どーやったんだよ」


『ボク、ゼンの位置監視デキル。ダカラ、連絡ナクテモ、ゼン、街と外行来シテたから、お仕事大変って思ってたタ』


「まさかのストーカー…だから、あいつから連絡なくても無反応でいられたのかぁ…」


『ボク、ゼンに…キレーってホメてもらうタメにディーバ、シテたの…だけど、ゼンと一緒にイレナクテ…変なウワサイッパイナガサレテ…でもボク、ゼンが信じてくれてればそれでイイってオモッテタノニ…』


「アイツの推し活エグかったもんな」


『オシカツ…嬉しかったヨ…?愛されてるジッカン…。でも…、シツコク言い寄られてるトコミラレテたなんテ…ホテルにもムリヤリついてキテ、まじ、ブッコロソウかと思っタ…でも、ゼンに浮気してるって思われテ…アンナ、いなくなりカタ…ボクの誠実さ伝わってナカッタ、反省、ダカラ、海の魔女と取引したンダ』


「あ、やっぱそれ魔女の匂いか」


『ン、全部取引材料にシタ。そしたら別人にナレタ。また、好きになってもらえタ…しあわせ…二度とハナレナイ…』


「…まじでバレてないっぽいもんな」


『ン。アルテって名前、魚人族によくあるカラ。見た目も全然チガウカラ。ダイジョーブ。二度と二度とハナレナイ…』


「大事な事なので二回言ったな」


『フェンリル』


「ん?」


『バラしたら、ボク、コワイよ?』


「…家族にだけは手ぇ出さないで?」


『当たり前ジャン。オマエだけだヨ、ゼンの唯一の同胞ヨ』


「…そういう理由でオメー俺に嫉妬してたんかー」


『当たり前ジャン。ボク、オマエに成りたかった。でもアルテでヨカッタ』


「だろうな」


『オマエだと最悪置いてけぼり可だってワカッタカラ』


「ホントそれな!!」

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