わたしのすきなひと

榮樂佳那多

予告編

Part1

痛い。

あまりにも痛すぎる。

やっと好きになった。

でも君はいつも私の隣を見ているでしょう。

私は君が好きで好きで仕方ない。

でも君は私なんか見向きもしない。

私の隣は美しすぎるから。

負けを認めざるを得ない。

痛い。

悲しいより、辛いより、痛い。

君とすれ違う度に痛い。

君とすれ違うと君は私の隣だけを見るから。

私の隣を見る君の瞳は美しすぎるから。

私は痛くて、一粒の涙を零す。

でも君はそれに気づかない。

だって君の視界には私は入っていないから。


でもね、私の隣は君を見ていない。

私の隣はいつも君の隣を見ているの。

私の隣も、君が私の隣を見る瞳と同じ瞳で君の隣を見ているの。

だから、どんなに痛くても私は君を見る。

君が私の隣を諦めるのを見計らっていたの。

でもそれはもうやめる。

私は君の過去を知ったから。

これからは遠慮なく攻める。

君が、押しに弱いのを知ったから。






『ねぇ、私と悩んでみるのもいいと思わない?』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る