31話。
気付けば早いもので、サングィスを仲間に迎えて既に一か月が経過していた。あれからは特に目立った事件はなく、奴隷商から送られてきた奴隷を用いて死霊術の研究に精を出しつつ時々ダンジョンの調整をするという至って平和な日々を過ごしていた。
変わったことと言えば、まずは第一階層のオリゴス率いる
正直、オリゴスが骸骨将軍と言いながら数十人しか率いる兵が居ないというのは心苦しかったので、今後も増やしていこうと思う。
次はガーラ達、
一度訓練中の様子を覗きに行ったことがあるが、周囲に人一人分とは思えない量の血と思しき液体が飛び散っていたから相当しごかれているのだろう。
『
と言われた時は思わず感動で涙が出そうになった。眼球も涙腺もないが。サングィス、有能。
そして最後、奴隷商について。あの商会長が死んだ直後、生き残った連中に奴隷商としての商売をやめさせることはせず続けさせるつもりだったのだが……彼らは何をするにも怯えた様子で私やサングィスが話しかけようにも一言目には『すいませんでした!』、二言目には『許してください!』とこんな調子で話をするのも儘ならず。
それ以上時間を掛けるのも面倒だったから適当に一人指名して新商会長に任命し、変に勘繰られてこっちの存在がバレるのも面倒だからひとまず
カタギではない商売をやっていると恨みを買った相手から脅迫恐喝は当たり前で、トップを始末した後商売敵に縁のある者を無理矢理新しく据えて気付けば実質的には吸収合併なんてこともざらにある、と奴隷を持ってきた男に言われた。あれだけの力を持った執事を従える私は当然そういうこともやってくるだろうと思われていたとのことだ。解せぬ。
少々納得できない点はあるが、それ以降多少は恐怖による従属姿勢といった雰囲気は残っている物の概ね好意的な態度になっている。特に
この一か月で変わったことと言えばそれくらいだろうか。残念ながら奴隷商の長が
そして今日は、新しい階層を更に追加しようと思っている。
まだ第一階層第二階層で調べたいことが山ほどある上に、洋館を第二階層に建ててしまったことで第二階層が本拠地感溢れる場所になってしまったため、この後に新しい階層を追加するのもなぁ、と思い作成するつもりはなかったのだが、ダンジョン運営画面について調べているうちに既存の階層の順番を入れ替える機能があることに気付いた。最初からそういう大事なことは書いておいてくれ。
しかしこれで考えなしに階層を追加しても好きに順番を入れ替えることが可能になったので、早速新規階層を追加した後に洋館のある元第二階層を第三階層へと入れ替え処理をする。ごごご……、という地鳴りのような音と共に画面上で第三階層が無事に洋館階層となっていることを確認すると、新第二階層へとすぐに向かった。
相変わらず殺風景な土壁空間に降り立つ。そしてダンジョン運営画面から、第二階層に墓地を設置するように選択する。洋館建設時に感じた眩い光を一身に浴びながら、今から新たな仲間を呼び出すというわくわく感が心を満たす。
さあ、それでは新しい階層を作っていこうか。今回の階層のテーマは……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます