24話。(奴隷商の長視点。)
最近の稼業は散々だった。奴隷に関する規制が続いて軌道に乗っていた売上がじわじわと下がり、
ご丁寧に見張り番は全員寝かしつけられていたが、奴隷の証としてつけていた首輪には主人として登録していた俺から一定距離無許可で離れると警告が来るようになっている。以前なら問答無用で、ある程度離れたらもう呼吸もできない程首輪が奴隷の首を絞め上げる機能がついてたってのに、今じゃ奴隷に苦痛を与える器具の装着が禁じられたせいでおめおめと逃げられちまった。手ぇ煩わせやがって、面倒くせえ……。怒りの余り警告音が鳴る受信機を掌で握り潰しちまった。ばらばらになった部品を地面に放り捨てながら、募る苛々に任せて周囲の部下達に怒鳴り散らす。
「さっさとあのクソ野郎共を連れ戻せ!商品の分際で俺に歯向かったことを後悔させてやる!捕まえたらテメェらも遊んでいいぞ!多少傷付いたって構わねえ、五体満足でいりゃそれでいい!分かったら早く行けこの愚図共が!」
明らかに不機嫌な俺の姿を見て萎縮していた部下達は俺の怒鳴り声を聞いてようやく我に返り、慌てて奴隷共奪還の用意を始めた。言われる前にさっさとやれっつーの、奴隷にしてやられるし……全く使えねえ奴らだ。
そして奴隷に追手を出してから数日経って、ようやく部下が奴隷を俺の下に連れて来た。だが一家揃って連れ帰ったのではなく、くすんだ肌の
思ってもいない礼の言葉を爺に伝えてやると、爺の方から提案があった。
嘘くせえ……胡散臭えったらありゃしない。そもそも何でこんな身分の高そうな爺が森の中にいる?それから
だが、落ち目の俺達に運が向いてきたって可能性もある。そうだ、今まで快進撃だった俺達の輝かしい奴隷商人生がこんなところで終わるわけがねえ!神だのなんだのは信じていねえが、俺達なりに頑張って来た成果が報われる機会が来たんじゃねえか?もう一度俺の稼業を盛り上げるため、この爺の提案を俺は呑んだ。
そして本題の
「……っ、妻と、娘は……森の奥に、あるっ……洞窟の中に、隠れて、いる……っう……くぅ……すま、ない……。」
奴隷契約の効果で簡単に家族の隠れ場所を敵と呼べる存在に話しちまったのが余程効いたのか、最後には泣き出しちまった。俺も含め、周囲を取り囲んでた奴らがあざ笑う。奴隷ってのは本当、哀れで無様で、情けねえなぁ。そんな中、爺だけは張り付けたようなほほ笑み顔で口を出すこともなく俺達全員を見ていた。不気味な爺だ。まぁ安心しろよ、あの
「こ、この道です……ここをまっすぐ進んで行けば、洞窟に……っぐ……!」
「嘘だったら今度は耳じゃなくて首が飛ぶからな、覚悟しておけよ!」
少しでも胸に溜まった鬱憤を解消しようと
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