第260話 再臨
更新お待たせしましたー。
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「特級の狭間が無くなっただと!?」
「は、はい! 現在確認を急がせていますが、無くなったのは確実かと」
「だ、誰がやったのだ!? 織田天魔か!? いや、流石にそれはないか…」
「まだ分かりません!」
アメリカでは急に特級の狭間がなくなった事で大混乱が起きていた。以前の大統領が辞任し、急遽その座についた新たな大統領は、日に日に悪化していく治安、高騰する物価にハゲるほど苦労していた。
元々は若者に大人気の議員で、就任当初はビッグマウスを連発し、とにかくアメリカファースト、最高最強だったアメリカを取り戻そうという、馬鹿馬鹿しいスローガンを掲げ、天魔に噛みついたような人間だ。
天魔は相手にしなかったのだが。とにかく天魔を煽ってアメリカの狭間を攻略させようという浅はかな考えをしていたぐらいには、馬鹿な人間である。スローガンとやってる事が矛盾しているのだ。
まあ、それが政治家だと言ってしまえばそれまでだが。
結局天魔に相手にされず、国民からはいつになったら狭間は攻略されるのかと突き上げられ、自慢の甘いマスクがやつれて、頭頂部の輝きが目立ってきた頃に、まさかの狭間が消えた知らせ。
大統領は喜びよりも先に戸惑いがきた。いくら馬鹿でも、この状況でアメリカの狭間を織田天魔が攻略する事はあり得ない事は分かる。
「まさか我が国の国民が…? いや、しかし国の探索者が匙を投げたダンジョンだぞ? 何故今になって…」
アメリカ政府は必死に攻略者を捜索するも、見つける事は出来なかった。そして公式発表で『アメリカに織田天魔を超える逸材が誕生した』とホラを吹いた。
やはり馬鹿である。
☆★☆★☆★
アメリカの片田舎にて。特級の狭間をどうする事も出来ないと首都圏や都内が荒れてる中、この田舎では普段と変わらない牧歌的な生活が続いていた。
そんな田舎にまもなく15歳を迎える一人の少女がいた。田舎にいるには勿体ないぐらい容姿端麗で文武両道、性格も抜群に良いと町で評判になるような少女だ。
そんな少女が15歳になる前日。急に謎の高熱に襲われた。両親や町の人間が総出で看病して、一命は取り留めた。
そして15歳になった日。少女はそれまでの高熱が嘘だったかのように元気になった。
「ふふっ。そういう事。この世界にも天魔がいるのね」
町で看病してくれた人や、両親にお礼を言って、ようやく自室で一人になった少女は独り言を呟く。
「私を殺したお礼はしなくちゃならないわよね。とは言っても…」
怪しい笑みを浮かべて天魔との邂逅に想いを馳せたのも束の間。少女は自分の体をみてため息を吐いた。
「能力は前のままなのは良いけど。保持魔力が少なすぎるわ。今すぐ会いに行くのは無しね。とりあえずメッセージだけ送ろうかしら。後は最近世間を賑わせてる狭間を攻略して魔力を調達して…」
15歳になった日に授かった能力。以前から変わらぬその能力を行使して、少女満足げに頷きいそいと準備を始めた。
高熱で魘されていた時に記憶の統合は済んだ。能力はまだ完全に使えないが、この世界のレベルを考えてもとりあえずは問題ないと判断した。
この日魔王アリスはアメリカの片田舎で目覚めた。
「アリスー! ご飯食べる元気はあるー? シチューがあるわよー!」
「食べるー!」
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