第259話 説明
下手人の事は警察と探索者協会に任せて、俺は家に戻ってきた。
「アリス。マジかぁ…。え? ほんとにこっちに居るの? ちょっとロリ神ー。性悪女神でも良いけど、説明してくれー」
とりあえず虚空に向かって声を掛けておく。これで寝たら神域に連れて行ってくれるだろ。
でもその前に。
「ふぬっ!」
久々に気合いを入れて魔力探知を地球全域に広げる。もし本当にアリスがこっちに居るなら、あいつの魔力の波長を捉えられるはずだ。あんな凶悪な魔力を見逃すはずがない。
そう思って気合いを入れて探したんだけど…。
「? 見当たらんな? 魔力を極限まで抑えてるのか? いや、あいつがそんな事をするはずが…」
常にこれでもかと自分の力を見せつけてた子供っぽいやつだ。魔力を隠すなんて小細工はしないはず。それにあのメッセージを信じるなら、会えるのを楽しみにしてるだとか言ってたんだ。
そのメッセージを聞いてすぐに探すであろう事は想像がつくはず。尚更隠す意味が分からん。一体どういう事だってばよ。
俺の魔力探知が甘いのかと、更に入念に探し回ってると、いつの間にか夜が明けそうな時間になっていた。
「ただいま〜って、団長〜!? 汗びっしょりだよ〜!?」
「んあ? あ、ほんとだ」
女子会をしていた桜達が帰ってきた。桜がリビングで座禅を組んでる俺を見てびっくり仰天。どうやらかなり集中してたらしい。久々にこんな真剣になったな。
「ちょっと汗を流してくる。それと、話があるから、まだ起きてて。犀と公英も呼んでおいてほしい」
楽しい女子会から帰って来て、後は寝るだけーって気分になってるところ申し訳ないけど、今回は緊急事態なので。
もしアリスが魔王で、再戦なんて挑んで来たら、地球全土に被害が出るぐらいの戦いになるかもしれん。
マジでそんなのごめんなんだけど。
「魔王アリス〜?」
「これまた大物が出て来たな! 筋肉が唸るぞ!」
シャワーで汗を流した後、リビングにみんな集まってたので、とりあえずさっきあった事を説明する。まだ確定じゃないけどね。
「せやったら、なんや。ワイはただメッセージの為に狙われただけっちゅう事かいな」
「ちゅうちゅうたこかいな」
「何を言うてんねん」
「いや、なんか語呂が似てたからつい」
まあ、犀が狙われたのは多分そういう事だろう。なんでこんな回りくどい事をしてるのかは分からんが。
俺に会いたいなら普通に会いに来たら良い。わざわざ犀を狙撃なんてして何がしたいのやら。
「とりあえず神様に聞いてみたら〜? 神域に行ってさ〜。何か分かるかもしれないし〜」
「それもそうだな。じゃあ寝てみるか。とりあえず色々はっきりするまでお前達は外出は控えてくれ。あいつが何を狙ってるのかが分からん」
そう言って今は一旦話を終わりにしようとした時。スマホにニュースの速報が飛んできた。
「はぁ?」
俺はスマホニュースを見て、慌ててテレビを付ける。そこでも速報として流れていた。
『今入ってきた速報です。先程アメリカに存在していた特級狭間が無くなったとの事です。恐らく攻略されたものと思われますが、攻略者は不明。忽然と狭間が無くなった事で、現地でも混乱が起きているようです』
「あいつ、アメリカにいるのか?」
アメリカの特級狭間が消えたらしい。あの狭間のスライムはマジで厄介なんだ。そこらの探索者に攻略出来るもんじゃない。桜達でも恐らく無理だ。ってなると、やったのは恐らくアリスだろう。
マジであいつは何がしたいんだ?
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