第245話 完成


 「中国も大変だな」


 「他人事みたいに言うね〜」


 「まあ、正直あんまり興味がないからな」


 ニュースで中国の復興についてが報道されている。どこかの誰かさんが、中国を滅茶苦茶にしてからというもの。日本を筆頭に多数の国がたくさんの探索者や、人員を送り込んで急ピッチで復興が進められている。


 探索者は随時発生する狭間の処理に追われてるみたいだが、今まで中国自体では馴染みのなかった探索者という職が注目されだしている。中国を滅茶苦茶にしたのが一人の探索者って事で、一定数の人間は探索者に忌避感があるみたいだが。


 それでも中国入りしてる『風神雷神』や『リア獣撲滅』なんかは、現地人から結構な人気を博している。それを見て能力持ちの一般人が探索者になろうって人が増えて来てるんだとか。


 今までは軍人として国に管理されてた中国の能力持ちだけど、これからは探索者という職が人気になっていくかもしれないな。


 中国は国土も広いし、探索者はどんどん増えて行ってもらわないと困る。この前『リア獣撲滅』の柴田さんは、そろそろ日本に帰ってゆっくりしたいって言ってたしね。


 流石に中国遠征は飽きてきたらしい。


 「まあ、元通りになるにはまだまだ時間が掛かるだろうな。上の層の人間は大体殺しちゃったし」


 「これから中国はどうなっていくんだろうね〜」


 「さあ、どうなるんだろうな」


 中国に探索者や人員を派遣してる国だって、何も善意だけでやってる訳じゃない。落ち着いた後に何か色々政治的な駆け引きがあるんだろう。


 日本人の俺が滅茶苦茶にして、日本政府が助け船を出す。なんか思いっ切りマッチポンプな気がしなくもないけど、そこは中国の自業自得だよね。


 甘んじて受け入れて下さい。




 「織田さーん! 出来ましたーっ!」


 そんなこんなで更に少し経って。ゴーレムのボディ作りをお願いしてた山田花子さんが、相変わらず髪の毛をボサボサにしながら、そして目がガンギまりの状態で完成報告をしに来た。


 どうやらラストスパートって事で、二徹したらしい。急いでないって言ったし、体を壊さない程度に頑張ってねって言ったのに。どうやら完成間近になってテンションが上がっちゃったらしい。職人さんってそういうところあるよね。


 まあ、完成させてくれたのはありがたい。感謝して受け取って、早く休ませてあげよう。


 「織田さん、前も言いましたけど、これはあくまでボディ。核が無ければこのゴーレムは起動しませんよ?」


 「うん、分かってるよ」


 そう言いながら、山田花子さんは期待するようなキラキラしつつ、キマッた目で俺を見てくる。


 「織田さんには何か手があるんですよね? よろしければ、私も起動するところを見せていただきたいのですが…」


 「うーん…」


 別に見せても良いけど…。多分上手く起動出来たとすると、間違いなく俺はこいつに恨み節をぶつけられる。そうすると、山田花子さんに異世界云々の事がバレちゃいそうなんだよなぁ。


 別に真剣に隠してる訳じゃないし、山田花子さんは俺が毎回未知の素材を出したりしてるから、何か隠し事があるのはうっすら察してると思うんだけど。


 まあ、バレるのが嫌なのは色々説明するのが面倒ってだけだしな。とりあえず起動して、山田花子さんが気になるようなら説明するってスタンスで良いか。


 「よし、じゃあみんなを呼んで早速やってみるか」


 「ありがとうございます!」

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