第240話 ストレス発散


 「憑依ポゼッション:慈悲ミカエル


 もう悪魔という手札を全世界に発信した俺に怖いものはない。勿論見た目があれな怠惰ベルフェゴールやTSしちゃう色欲アスモデウス、異形化しちゃう嫉妬レヴィアタンはなるべく見せないようにしたいけど。


 これはTHE・悪魔って感じでまずは見た目から入りやすい。これで、馬鹿な宗教団体が俺に対するあれこれを自重してくれたりしてくれたらなぁなんて思ってる。悪魔なんて、色々許せないでしょ。知らんけど。


 「反転せよ。憤怒サタン


 さっきまで、仲間のピンチに颯爽と登場するヒーローだなんて言ってたけども。


コメント

・使徒様が闇堕ちした!?

・すげぇ真っ黒www

・なんてコテコテの悪魔

・なんか絵本とかに出てくる典型的なフォルム


 これじゃ、探索者にトドメを刺しに来た悪役である。コメント欄もさぞかしざわついてる事だろう。悪魔をどういう風にお披露目しようか考えてたんだよね。


 一応これまでに見せたのは、堕天使フォルムの傲慢ルシファーだけだ。反転って言ってるから、それぞれの天使が反転するんじゃないかって考察されたりもしてた。


 大正解である。


 憤怒サタンは単純に身体能力の爆上げである。憑依した全能感に支配されそうになるのをしっかりと抑えて、大量に出現した量産機に突貫する。


 「ふはははははっ!」


 おもちゃのように吹き飛んでいく量産機。俺も久々に暴れ回れて気持ちいい。これは良いストレス発散になりますな。


 「あれがヒーローだなんてちゃんちゃらおかしいよね〜」


 「どこからどう見ても悪役ですっ!」


コメント

・天使との落差がひどいwww

・しかも肉弾戦

・天使は魔法をブッパしてるだけだったけど、これはこれでありだな

・テンションがおかしいwww


 人聞きの悪い事を言わないで欲しい。俺はこのフォルムで異世界を救った実績があるんだぞ? そりゃ、異世界でも背教者扱いされた事もあるけども。


 これも由緒正しい勇者スタイルなのである。


 「ほら、次行くぞ! このまま攻略じゃーい!!」


 呆然としてる各国の探索者達を急かして、次に向かう。量産機なんて鎧袖一触である。桜が糸でドロップ品をさっさと回収してくれるから、俺は目の前の敵を粉砕するだけで良い。


コメント

・いつもとは違う使徒様を見れてなんか新鮮だな

・この状態を果たして使徒様と言ってもいいのか…

・闇使徒様か

・厨二病くせぇなwww


 「我らが頑張ってたのはなんじゃったんじゃろうな…」


 「実力の差がありすぎるぜ。数年前に出てきた時も思ったが、なんであんなのが今まで無名だったんだ」


 「そうじゃのぉ…」


 すっかり自信をつけてた探索者達が落ち込んでしまってる。ちょっとやりすぎだっただろうか。でもなぁ。少なからず特級に勝てると思ってる奴らもいた訳だし。


 現実を見せる為には致し方ない部分もあったんだよ。大丈夫。1級でやれる実力はあるからさ。




 そのまま進む事6時間。触れる者皆傷つけると言わんばかりに出てきたら即殺してたら、遺跡の最深部に到着した。


 「でっか」


 「今までとは段違いだよね〜」


 まだ憤怒サタンに憑依してるものの、すっかりテンションが落ち着いた俺。


 そんな俺を最深部で出迎えた門番は、大きさが20mは超えてるだろうロボットゴーレムだった。


 マジでやりたい放題やってるな、あいつ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る