第205話 仕切り直し


 中国全土に隕石が降り注ぐ。

 まるでこの世の終わりのような光景に、配信していたコメント欄も阿鼻叫喚だ。

 日本語だけじゃなくて、色々な言語が飛び交っててすんごい事になってる。


 「恐竜もこうやって滅んだのかな」


コメント

・何を呑気な事を…

・流石にこれはやばいでしょ…

・一体これからどうなるんだ…


 現実逃避をしています。勢いで行動しすぎたかなと反省してる。後悔はしてないけど。織田天魔君に襲撃して、無事で済むと思って欲しくない。


 流石に今回の襲撃は度が過ぎてると思うんですよ。俺がやってる事も度が過ぎてますが。


 「やっぱり関係ない一般人を巻き込んだのは問題か? 中国人以外の人がいたら国際問題とかになりかねん。ただのとばっちりだからな」


 「でもどうするの〜? もうやっちゃったよ〜?」


 「仕方ない。仕切り直しだ。これを使うとまたどこぞの組織が騒ぎそうだけど」


 俺は隕石群を止めて慈悲ミカエルに憑依する。そして、現代に帰ってきて初めて疲労するほどの魔力を練り上げた。


 「パーフェクトヒール。リザレクション」


 今まで隕石が降っていた中国全域に光魔法をぶちかます。まあ、簡単に言うと回復と蘇生ですね、ええ。蘇生は死んだ人の為に。回復は隕石にやられても生きてる人の為に。絶対どこぞの宗教組織は騒ぎ出す。まあ、知ったこっちゃないけど。


 「ふぃー。久々に感じる疲労感。半分以上魔力を持っていかれたぞ」


 「それでも魔力が枯渇してないのが異常なのだがな」


 公英君。異世界はこれぐらい強くないとやっていけなかったんだよ。実際魔力量だけで言えば、俺より上の奴は居たし、一属性限定なら俺より上手に使える魔法使いも居た。


 そんな面々が居ても世界の危機だったのが、俺が行ってた異世界なんですよね。ほんと、魔王が強すぎんだよ。


 そしてそんな世界になるまで目を離してたポンコツ女神。ほんとポンコツ。俺が神を敬わないのも仕方ないね。憧れの異世界に行かせてくれた事には感謝してるけど、もっとイージーな世界が良かったです。


 お手軽に俺ツエーがしたかった。現代に帰ってきてからは出来てるけど。


 「ふむ。ざっと気配を探ってみた感じ、ちゃんと蘇生出来てるな。建物とか道路はどうしようもないけど」


コメント

・は?

・え? 何があった?

・蘇生?

・どういうこと?


 コメント欄が混乱してるところ申し訳ないが説明する気はない。なんか良い感じに察してくれ。見たら分かるだろうし。


 「私達は一体…?」


 生き返った目の前の軍人達は何がなんだか分かってない様子。周りをキョロキョロして、そして俺と目が合った。


 「ひぃぃぃぃいい!」


 軍人達は発狂した。蘇生したとはいえ、隕石に潰された記憶はしっかり残ってるらしい。すぐにその場から逃げようとしてるけど、そうは問屋が降ろしません。


 結界で全軍人を確保して、その中に火魔法を放り込む。生き返らせたけど、軍人を許すとは言ってない。あくまでも生き返らせたのは、関係ない一般人とか他国の人間のためだ。一々対象を指定したりするのも面倒だったし。


 お前達を許した訳ではない。

 上から命令されたとかそういう理由もあったのかもしれんが、実行したのはお前達。しっかりその身で償ってくれたまえ。


 「ぎゃーっ!!」


 今回は隕石で潰された時みたいに一瞬で死ぬ事も出来ない。じわじわと火に炙られてしっかりと後悔しながら死んでいってくれ。


 もうコメント欄は無言である。

 いきなり火炙り配信になっちゃったからね。因みに狭間の動画をアップしたりしてるからか、こういうグロ動画でBANされたりしない。しっかり生配信でお届けしますよ。


 「これからどうするの〜?」


 「勿論上層部に殴り込みだ。命令した奴にもしっかり報いを受けてもらわないとな」


 どこにいるのか知らんが、なんかでっかい建物の場所に行ったらいるでしょ。なんなら書類とか探して、命令した奴の名前を告知して、国民に差し出させるのも良い。


 出さないと殺しちゃうよって脅して。一回殺してるし、この脅しも効果抜群だろう。

 もうここまで来たらとことんやらないとね。中途半端が一番よくない。一般市民は生き返らせたけど、このボロボロの土地で生きていけるとは思えない。


 ここからどうなるのかなぁ。

 とりあえず流れに身を任せて行動しようかなと思います。


 

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