第185話 久々の
「私! 車の免許を取ってきますっ!」
神田さんはそう言って運転免許の合宿に旅立った。なんと神田さんは免許を持ってなかったらしい。
俺とかガチャ組はこの世界に来た時に神様パワーで免許証とか戸籍が一通り用意されてたけど、神田さんは15歳で探索者学校に入学して、卒業してからすぐに『シークレット』に入ったから、行く暇がなかったそうだ。
神田さん自身も別にいらないかなと思ってたらしいんだけど、みんなでサーキットに行こうかって話になって、免許がなかったら楽しめない事に気付いたらしい。
そこからの行動は早かった。
すぐに予約して、合宿所へ飛ぶように向かって行った。
「車を買いに行くのは神田さんが帰ってきてからにするか」
「みんなで選んだ方が楽しいもんね〜」
俺と桜の車は既にあるけどね。
スープラとランエボが。
陽花と公英もゲーセンのレースゲームの影響で、意外と興味があるらしく、最近は車のカタログを見たり、スマホで調べたりしてる。
「私はやっぱりRX-8ですかねぇ」
「がっはっはっは! 俺様はダッジ・チャージャー一択だ!」
二人とも某映画に毒されすぎてる。
カッコいいけどね。なんと役者は変わってるけど、今でも作品は続いてるんだ。
主人公の子供や孫が大活躍してるんだぜ。
もう少し能力の使い方が上手になったら、マジで空飛ぶ車とかが映画で使われだすかもしれん。そう思うと楽しみですな。
この映画だけじゃなくてもアメリカの映画は面白いのがたくさんある。
是非ロケ地巡りとかしたいんだけど、肝心の上層部がお花畑なせいでなぁ。
俺達がアメリカに行ける機会はあるんだろうか。
「びっくりした」
「んふふ〜! 良い感じでしょ〜」
録画してた再放送のドラマを見てたら吉野さんのCMが流れてきた。それは良いんだけど、出演してるのが桜だったからびっくりした。
そういえば牛丼の新作のあれこれで、吉野さんの会社に行ってるなとは思ってた。
CM云々の話も聞いてたけど、もう完成して放送されてるとは。
「こうしてみると桜って美人さんだな」
「あたしがいつも横にいる事に感謝するのだ〜」
「ははぁー。桜さんにはいつもお世話になってます」
テレビに映ってる桜はとてもべっぴんさんだ。桜の言う通り、当たり前のように隣に居てくれるのは感謝しないといけないな。
「にゃ? にゃにゃ?」
ポテはテレビを見て桜を見てテレビを見てを繰り返してる。同じ顔が二つもあって不思議なんだろう。可愛い。撫でてやろ。
「そういえば最近外食してなかったな」
「あたしは宅配で頼んだりしてるけどね〜」
最近は海外遠征ばっかりで、日本にいても食堂でご飯を済ませてばっかりだった。
桜のオリジナル牛丼も食べたいし、久々に吉野さんに行こうかな。
「吉野さん行くけど来る?」
「桜ちゃんだよ〜? 行かない訳ないよね〜」
そりゃそうだよな。
桜が牛丼を拒否するなんて、天変地異の前触れかと疑ってしまうくらいだ。
「公英と陽花にも起きてたら声掛けてきて。俺は出掛かる準備をしてくる」
「んふふ〜。了解〜」
因みに現在の時刻は午前3時。
特に理由もなく夜更かししてました。
いや、ドラマが溜まってたって理由はあるけど。
吉野さんは24hなのがありがたいよね。
行きたい時にいつでも行ける。
それでいて、安い、早い、美味いの三拍子が揃ってるときた。
ささっ。
流石にスウェット上下、髪の毛ボサボサの引きこもりスタイルではお外に出られない。
一応俺にもイメージってのがありますからね。
軽くシャワーを浴びてきますか。
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