第8章 海外の情勢
第172話 スライム
「アメリカが騒がしいな」
「そりゃそうだよ〜」
新しく特級狭間ってのが発表された。
狭間探知機に新しく山田花子さんが作った等級を計る魔道具を取り付けて、もう一度等級を計り直したんだ。
するとびっくり。
アメリカ、イギリス、ロシアの狭間は禁忌領域ではありませんか。
10級を一番下で数値の上限が10。
1級の上限は100って感じで、分かりやすくしたんだけど、アメリカは320ぐらいあるらしい。イギリスとロシアは180ぐらいなのにね。
「あそこは俺も行きたくないなー」
「スライムなんだよね〜?」
「うな〜」
ポテを撫で回しながらスマホで情報を漁る。
そう。桜が言うように、アメリカに出現してる狭間はスライムである。
スライムだからって馬鹿にしちゃいけない。マジで面倒なのだ。リム◯だよ、リ◯ル。流石にあそこまでバケモノ染みてないが。
とりあえず打撃はほとんど効かない。てか、触ったら手が溶ける。それでいて魔法への耐性もそこそこある。そして再生する。
幸いなのはこっちから手を出さなきゃ無害だってことだ。自発的に行動しないから。
襲ったら反撃してくるけどね。
だから俺は結界を張って放置した。
素材も魔石だけだぜ。スライムゼリーとかそんなのない。核になってる魔石だけ。
まあ、スライムの魔石は他とは違うらしいが。魔道具師によると、伝導率が云々とか破格の性能らしい。
だから名前も異世界では魔石じゃなくて核ってそのまま別物として扱われてる。現代では同じ扱いしてるけど。
それでも割に合わないんだよね。苦労して倒してもそれだけってのはやる気が出ない。
害がなければほっとくでしょ。
現代に狭間として出てこられたら、攻略するしかないんだが。崩壊したらシャレにならん。
「でも一回だけあそこのボス的な存在の奴は倒したんだけどな」
「じゃあボス不在でこっちに来たって事〜?」
「分からん。新たに誕生したかもしれん」
ギャラクシースライムっていう馬鹿みたいでかいスライムを昔に倒した。
真核がキラキラしてて、コレクションにしたかったんだよね。今も金庫部屋に飾られてる。
「面倒だなぁ」
「でも近いうちに要請があると思うな〜」
拒否してぇ。アメリカ観光はしたいけど、拒否したい。丁度アメリカから要請来た時は腹痛になるかもしれん。でも崩壊はさせられないしなー。あーやだやだ。
「覚えましたっ!!」
「おお。やっとか。今回は長かったな」
神田さんが新しく変態できる種類が増えたらしい。
ここまでヒグマ、オオスズメバチ、モンハナシャコと、攻撃重視だったから、防御重視のも覚えた方が良いんじゃねって安易に言っちゃったもんだから。神田さんは素直にゴリゴリの耐久力がある昆虫を選んだ。
そう。クマムシである。
現在、神田さんはシャコ姉シャコ姉って呼ばれてて、少し凹んでいる。どうせならもっとかっこいいのか、可愛いのが良かったと。
俺はシャコかっこいいと思うけどね。神田さん的には無しらしい。
で、次に覚えたのがクマムシ。
お世辞にもかっこいいとも、可愛いとも言えない。俺が安易に言ったばっかりに申し訳ねぇ。観察を始めて結構経ってた事もあって、やめるにやめれず今に至る。かなりちっこいから苦労しただろうに。
でもクマムシの耐久力は最強なんだぞ?
真空にだって耐えれるし、75000気圧にだって耐えるし、150度の高温から絶対零度だって耐える。放射線にも耐えるぞ。
乾眠しないといけないけど。
もしかしたらこれ、使いもんにならないかもしれん。なんとか乾眠しなくても使えるようになれば…。
「もう変態してみた?」
「はいっ! カメラがあるところでは絶対に変態しませんっ!!」
それはもう断固たる決意だった。
いくら織田さんでもここは譲りませんよってぐらい断固たる決意だ。安◯先生も大満足するレベル。それほどビジュアルは良くなかったらしい。確かに、正直気持ち悪いよね。
本当に勧めてごめんね。配慮が足りませんでした。
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