第171話 協会でお話し
「邪魔すんでー」
「邪魔すんねやったら帰ってー」
「あいよー」
翌日。山田花子さんに会いに来た。
襲われたって聞いたから、心身にダメージを受けてないか心配だったけど、全然気にせず魔道具を作ってる。
「なんともないの?」
「護衛の方が守ってくれましたし。驚く暇もなく制圧されちゃいました。多分能力者ですらないんじゃないでしょうか」
ふーん? まぁ、うちの警備員が優秀だったって事で。
「それよりも新しい狭間の等級を計る魔道具が完成しました。これを狭間探知機に取り付けてもらうと、数値まではっきりでるはずです」
「はや。優秀かよ」
「ネックは魔石だけでしたからね。それも織田さん達が今回攻略してくれたお陰で手に入りましたし」
明日は協会に行く予定があるし、その時に持って行こう。山田花子さんにはまたまたボーナスが必要だな。
珍しい素材を渡しておけば満足かもしれんが。
「なるほど。やはり1級より上があるのは確実なようですね…」
翌日、探索者協会にやってきて朝倉さんとお話。大村さんがある程度説明してくれてるから、確認作業みたいなもんだな。
「で、これが1級と特級を区分出来る魔道具です」
「助かります」
一応世間にも1級よりも難易度が高い狭間の可能性ってのは公表している。
まぁ、ペルーの動画を見てくれたら1級ボスがモブで出てくるんだから、一目瞭然だと思うが。
「特級の中でも難易度が違うんですよね?」
「あくまで俺の予想はそうですね。アメリカに出現してる狭間はペルーのよりも難易度が高いんじゃないかと思ってます」
その為に山田花子さんにわざわざ数値化出来る様にしてもらったからね。
普通の1級が100だとすると、ペルーは150、アメリカは250ぐらいあるんじゃないかな。実際にそれは使ってみないと分からないけど。
そりゃアメリカは死者出しまくるわな。
今回の魔道具で諦めて救援要請出してくれたら良いけど。
「それにしても…。ようやく1級をなんとか攻略出来たと喜んだところなんですけどね…」
朝倉さんが大きな溜め息を吐く。
せっかく1級を攻略出来て喜んだのも束の間ってやつか。まぁ、慢心が生まれないようにする為には良かったのでは?
1級の攻略でそんな雰囲気もあったし。
「成長してるのは間違いないんですし、今は良しとしましょう。それよりいつか日本に特級の狭間が出た時に対応出来る様にしておかないと」
今回のペルーは難易度が禁忌領域の中でも簡単だったからなんとかなった。
半分俺が探索したい為だけに結界を張ってたようなもんだし。
『シークレット』の四人でもアメリカの狭間はかなりきついと思う。
あれは相手が悪すぎるよ。俺もめんどくさくなって、結界で出て来れないようにしたぐらいだからね。
生産者を底上げして武具や魔道具、薬品類を充実させつつ、戦闘系の人間もレベルアップさせる。
まだまだやる事はいっぱいだね。
俺が引きこもって自堕落な生活をするにはもっと時間が必要か。
☆★☆★☆★
「織田天魔に攻略要請は出してるのかね?」
「はい。しかし色良い返事は貰えておりません」
バチカン市国に1級の狭間が三つも出現した。国内は騒然となったが、これで織田天魔を我が国に招聘出来ると喜んだものだ。
しかし、肝心の織田天魔がこれを拒否した。どうやら、ペルーで迷惑を掛けられた事を根に持ってるというのだ。
「愚か者はこちらで回収したのであろう? 何が不満なのだ?」
「私ではわかりかねます」
「必要とあらば、来国した時に謝罪もすると言ってあるのであろう? それすらも受け入れないとは、少し傲慢すぎるのではないか? 神の力を手に入れて、浮かれているのではあるまいな?」
「おっしゃる通りかと」
「まぁ、良い。引き続き交渉は続けてくれ。織田天魔にはこの国の狭間を攻略する義務がある」
「かしこまりました」
天魔にはそんな義務は一切ないのだが、この人間達は本気でそう思っている。
いつまでこのスタンスを貫き通せるのか。
傲慢なのは一体どちらなのか。
世間から見れば一目瞭然なのだが、この国の者達には分からない。
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新作だすぜヒーハー。
体調を崩す前から書いてたんだけど、あっため続けてるのもなーと思ってとりあえず放出。
ストックはあるけど、それが無くなったら毎日更新出来るかは分かりません。
地獄からの刺客『エンマダイオウ』
競馬モノのお話です。初日は5話更新。
良かったら暇潰しに読んでくだせぇ。
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